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誕生を祝福するなんて

この記事は、2024年1月31日限定で行う贈り物企画に寄せたものです。1月31日はわたしの誕生日。この日のみ、オンラインストアで本をご購入くださった方に、書き下ろしの「あなたの誕生日にまつわる掌編」を同封いたします。詳細は記事下の〈ご案内〉をご覧ください。

困ったことに、小生何かにつけて行われる行事ごとが基本的に苦手である。高校がハロウィーンの仮装にすごく力を入れていて、同級生たちはなんや魔女宅のキキになったりエレキテル連合になったり殺せんせーになったりしていたものだが(びっくり、「暗殺教室」がちゃんと懐かしいね)、わたしはとにかく「どうやりすごすか」ということしか頭になく、文化祭で使ったミュージカルの衣装をそのまま着て1日を過ごした記憶がある。

特に苦手な行事のひとつが自分の誕生日だ。祝われたって生まれた時の記憶はないし、わたしが生まれてきてほんとよかったよな、おめでとう、って自分で思うことは今も昔も多分これからもずっとできないし。家族には本当に申し訳ないことをしたと思う。運ばれてきたケーキをアニメを見ながらぼうっとつまんでいて「あんたって祝いがいがないよね」と母が言っていたことが思い出される。まじすまん母。喜ぶフリすらうまくできん息子で。

一方で、他人の誕生日を祝うのは好きだ。LINEで友だちの中に「今日が誕生日」のアイコンを見かけると、何年も話していない人でも500円とか1000円のLINEギフトを送ることがある。それはなんか、「誕生日おめでとう」が他人に対する自分の本心としてあるからだと思う。

どうもわたしは行事の当事者として楽しむことは難しいけれど、他の人に向けた行事、この場合は、他の人に「誕生日おめでとう」と思うことなら、(たとえもう会うことのなさそうな人にだって)本心を持てる節があるらしい。

だから、というといささか急だけれど、今年の誕生日には、あなたの誕生日を祝福したいと思ったのだ。やっぱり「誕生=存在」自体に目を向けることができる、それは特別な日だと思うから。たとえばわたしにとっての「いや、でもいい日だったよね、あの年は」と思える年になったらいいし、わたしみたいに誕生日が苦手なあなたのちょっとしたひとつになれたらいい。


〈ご案内〉
わたしの誕生日である1月31日に、オンラインストアで本を購入くださった方に、手書きで書き下ろした「あなたの誕生日にまつわる掌編」を同封いたします。

期間: 2024.1.31(wed.) 0:00~23:59
対象: オンラインストア「放課後」にて本をご購入くださった方
※CDは対象に含まれませんのでご注意ください
方法: 購入フォームの備考欄にご自身の誕生日をご記入ください

配送ですが、お一人ずつ手書きで書き下ろしをお送りしたい(手紙2.3枚の予定)と思っているため、人数によっては数週間いただく可能性があります。あらかじめご了承ください。


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