日々の手触り

垂井真

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放課後

2024年3月21日から、音楽レーベル・出版を中心に活動する制作プロジェクト「放課後」を発足しました。"発足"というと何か新しいことのようだけれど、以前から活動していたレーベル放課後スタジオと自著作の出版をこれからも続けていく、という宣言のようなものです。 社会人になってはじめた放課後スタジオや書籍の出版は、自分にとっての精神的な逃げ場所のようなものでした。仕事を終えた後にある自分を取り戻す時間、そういう意味を込めて、放課後スタジオ、と名付けたレーベル。どうしたら仕事を辞め

    • 短歌-海とアニメ(9首)

      あけたまんまのどこでもドアから満潮のかぜが吹いていました 電動削り機を下で姉が使役するだだだ崩壊のおと ゆずちゃんが映り込みして手を振っているフィラー AM2:54 SEのついていない雨 タクシーの空車が3 おかげでぶつからない天使 空洞にきみたちは抱きつくふたりして作画:池田晶子みたいに 絵コンテに書いてあったセリフを青が抜かした瞬間、光った 「再見っ!」眼差しが宙に浮かんで解ける制服の裾は汀に ポッピングシャワーのままで君が溶けた海からまばたきのような花火

      • 4月の日記/もうわたしは誰のヒーローにもなれないしならない

        4.8 午後、ちょっと喉に違和感があって、家に帰ったらぽわぽわとしはじめた。これは、風邪がはじまるなあ、と思う。色々と原因を考えてみる。うっすらクーラーの当たる部屋でずっと仕事をしていたからかもしれない。ここ数週間色んなジャンルのことをやりすぎたのかもしれない。季節のせいかもしれない。 寝たら治るとおもって、布団を頭の上までかぶって横になる。 眠れなくてyoutubeで「僕らの別荘」を観る。 4.9 起きたらぽわぽわが強くなってた。とりあえず今日いく予定だった健康診断をキャ

        • 短歌-a premonition of loss-ver.2

          リミテッド・アニメーション内側にたまっている ひかっている ぷにっ I (don’t)keep having a premonition of loss. 廃墟のGIF 昼の 肌のグラデーションで最終系へ分離した木漏れ日のタイムラプス 君の目が髪が流星になる顛末を繰り返し観ていた 起きなくちゃ 眩しい街 網膜縫うドビュッシー褪せてくスーサイドな少女たち 再会の余白のように残った泡を啄む鳥と光暈の多重露光 練習室のガラスに映っていたミュウツー どこかにいるミュウ

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          4月の日記/雨が降っていたからデニーズでデビルズブラウニーサンデーを食べる

          4.1 雨が降っていたからデニーズでデビルズブラウニーサンデーを食べる。低気圧に脳みそが締め上げられるようになっているのが治まっていくわけでもないのだけれどまさに悪魔的な甘味こそ一番の処方箋だと思って長いスプーンでデビルズブラウニーサンデーを食べる。誰も座らないカウンターで休日に撮ったMVの編集をする。ほぼ絵コンテ通りにいって不安になったので1日寝かせることにする。お会計の時に「いつもありがとうございます」と言われて、思わず頭を下げる。 4.2 MV、他の編集も思い浮かばな

          4月の日記/雨が降っていたからデニーズでデビルズブラウニーサンデーを食べる

          短歌-糸状になってはme-ver.2

          薄光 おやすみのとちゅう出逢ったいくつものおはようがぼやけている 深海の水槽で命が混ざりあって糸状になっている ちょんぎれてる 夜 上向きの風で潤んだティアー ふたりはおんなじ雪をみていた 前髪をあげてコツンと骨に額を当てるSEに薄くまざる潮の音 どこまでも細かくなって酸のうみをのぼっている 空の流線形 AとBがあってCができたらBは希望でAは音楽になります キミが重力の恩寵を受けずにこっちへとくりかえすまばたき さっきまで君が揺られていたような雨の火曜だ白のカ

          短歌-糸状になってはme-ver.2

          3月の日記-特別に生まれたわけじゃない

          3.24 「百年」に納品に行く。百年が置いてくれていることが大きな精神的支えになっていることを再確認する。昼は来週撮影するMVのロケ地を探して歩きまくった。「ここだよなあ、多分」と思っていた公園がにぎわいすぎたり画角のバリエーションがなかったりして、逆にたまたま見つけた公園がよくって、引き返してそっちに決めた。 甲府に帰る前に映画『デデデデ』を観た。原作を何回も読んでいて、自分の中でキャラのトーンや画角や「この漫画の面白さ」みたいなものがありすぎてしまっているというか、自分の

          3月の日記-特別に生まれたわけじゃない

          3月の日記-嫉妬のようなものだったから

          3.16 夜、しゃぶしゃぶを食べて、ごまだれよりもポン酢の方が断然おいしく感じられることを再確認した。もうごまだれじゃないと嫌だった頃には戻らないのだ(大人になりきってしまった、ということを実感するばかりの日々です)。 一緒に食べていたパートナーと「しゃぶしゃぶはお肉いっぱい食べられていいよね」って言い合った。胃弱。 3.17 美術の作品を、多分人生で初めて買って、それが届いた。嬉しくって本棚に飾る。しばらくの間眺めていると、すでにその場所に作品が馴染んでくれたような感じが

          3月の日記-嫉妬のようなものだったから

          企画-終電がきて3月がおわる

          *期間* 3月31日(日)0:00〜23:59 *対象* 期間中、オンラインストア「放課後」からアイテムをご購入くださった方 *内容* 3月31日にオンラインストアの商品をご購入くださった方限定で、アイテムに手書きの手紙を同封して郵送させていただきます。 ☆ご購入の際、備考欄に「新年度への不安や期待」をご記入ください。特に思い当たることがなければ、なんでもいいです、近況や最近の悩みなどをご記入ください。返答する形で手紙を書かせていただきます。 *注意点* サイト内の全商

          企画-終電がきて3月がおわる

          短歌-第5使徒に突き刺す

          「この螺旋階段を降りていった先にほんとに海があるんだろうか?」 繰り返す bluetoothになってから命が軽くなった気がする 数ピース見つからないまま額縁に入れられた赤のジグソーパズル 〈風呂は命の洗濯よ!〉ラブホはたぶん新宿でずっと夜で青い光閃 靴脱いで行儀をわるくするときの愛されるのがうまいように見えるかなってわたしの 〈自分の美しさまだ知らないの〉パートナーみたい 半透明な愛のくらやみ 知らない天井をずっと知らないままでいること その処世術 そのはしたなさ

          短歌-第5使徒に突き刺す

          3月の日記-寂しくはないけれどひとりだ

          3.8 攻殻機動隊を観ている。難しい会話が多くって細部まで理解することができないのだけれど、人生の悲哀が垣間みえる大人の雰囲気を楽しんでいる。 冷蔵庫に入っていた魚肉ソーセージの期限が過ぎていた。多分ほとんどの食材の期限が過ぎているのだと思う。そんなのを確認するのも億劫になってここまで来てしまった。 3.9 朝からずっと仕事だったので久しぶりに張り詰めていた。うまく行ったかはわからないけれどとりあえず終わることはできた、というような感じ。 角銅真実さんのLantanaを聴く

          3月の日記-寂しくはないけれどひとりだ

          幻みたいな曖昧さ

          今回の歌 1 夕暮れのような暗さのアパートの、あなたは脱衣所を褒める たるい)なんかこう、部屋の狭さがわかるのがすごいいいなあと思って。 いつか)わかるな〜。 たるい)部屋の狭さから、付き合いたての20代を想像しちゃった。まだ2人の関係っていうのは温かくてさ。 いつか)絶対2DKとかじゃないもんな。 たるい)じゃない。なんなら共同の洗濯機まであり得るアパートだよ、これは。 いつか)そうだね。 たるい)「あなたは脱衣所を褒める」って言ったときの、「そういうあなたが

          幻みたいな曖昧さ

          繰り返す毎日の中で、文化的な体験を通して何かが変わる

          ✳︎目の前の人たちを喜ばせるところから  だからオードリーの東京ドームの配信観てたのね。春日みたいな圧倒的なスターと行ったデュオリサイタルで、よしきは完全な「じゃない方芸人」だった。私の周りに座っていた同い年くらいの男女が、明日人くんの話をして、明日人くんのMCで笑っていた。  演奏会が始まって、よしきが舞台に出た時、顔を上げて全体をゆっくりと見回していていた。「ここにきているお客さんに向けてこの演奏会をやるんだ」という目的をはっきりと持っているのだと思った。開始前に会場

          繰り返す毎日の中で、文化的な体験を通して何かが変わる

          言葉によって私たちの間に距離が生まれて

          今回の好き:角銅真実『oar』 たるい)角銅真実さんのアルバム『oar』。持っているレコードの中で一番聴いたアルバムなんだよね。 いつか)え?そんなに? たるい)そう。一時期エンドレスで聴いていた。角銅さんは打楽器専攻の方っていう話をしたけど、ピアノも弾くしギターも弾くしフルートも演奏する方で、この人の中で音楽を奏でるっていうことと感覚的な部分がすごい近いところにあるんだろうなと思う。音楽を通して自由になってる、みたいな。聴いているだけでこっちもうれしくなるというか。

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          残ったケーキに手紙を添えて

          *期間* 3月12日(火)0:00〜3月14日(木)23:59 *対象* オンラインストアから歌集「いないとケーキ余っちゃうから」をご購入くださった方 *内容* 本に手書きの手紙を同封して郵送いたします。 ご購入の際、備考欄に「最近の悩み」や「嬉しかったこと」など、近況を(ほんとなんでもよいです)ご記入ください。特に書くことがなければ企画にちなみ、「好きなケーキ/おすすめのケーキ」を教えてください。 返答する形で手紙を書かせていただきます。 *注意点* 残り在庫が10冊

          残ったケーキに手紙を添えて

          3月の日記-全部食べちゃうよ?

          0301 いつもいくチェーンではない喫茶店に中学生くらいの女の子ふたりが「すごーい」「かわいいねぇ」と入ってきた。ちょっとそわそわしているのが伝わってくる。運ばれてきたカプチーノとマフィンのセットを店員がいなくなってから「お客さま、どうぞ」とお互いに勧めあって笑っている。 「わたしまだ、一人でお店入ったことないんだよね」 「え、わたしなんでも入れるよ」 「すごいじゃん」 「昨日一人で中華屋さん入って、唐揚げが食べたくなって入って、ついたら油淋鶏頼んだのね、なんでだと思う?」

          3月の日記-全部食べちゃうよ?