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4月の日記-風になったみたいな轟音なのに

4.22
春の健康診断に向かう途中、わがつまさんの「犬が通る」をきく。わたしはこの曲をどこから見つけたんだっけ。SNSのタイムラインか、Apple Musicのおすすめか。忘れちゃった。誰もいない県立病院への細道を小さく手で指揮を振りながら歩いた。「空っぽの私 誰にも優しくなれない 忘れ始めている 遠くなっている」
診断は異常なしだったけれど体重が東京にいた頃より3キロ落ちていた。

4.23
なんだか、短歌に向き合う角度みたいなものが急にしっくりくる。作中主体と主体と対象の距離感なんだ!なんかピカッとひらめくみたいな感じ。そこを意図的に探れるようになったら、いわゆる「狙ったところにうてる」短歌がかける気がする。
なんか最近全くと言っていいほどいいことがなくってさ、財布盗まれたり仕事でちゃんとめに怒られたり一向に風邪が治らなかったりするのだけれど、でも全部このためと思えば安いものだと思った。短歌、やり始めてから1年半くらいずっと苦しかったんだよね。夜道を5億年ぶりに全力疾走してみる。ポッケの携帯が鋭く太ももに当たる。ウサイン・ボルトってこれより速いん?すご。って思った。こんな、風になったみたいな轟音なのに。

4.24
結局街に馴染めていないのか、9時半のマクドナルドだけが自分の居場所のような気がする。マックのこの、通りにポツンと光っている虫が集まりそうな光は本当にいい感じなんだ。
なんか同世代で活躍してる人見て嫉妬みたいなのなくなってきた。愛があふれる。愛、愛、愛(The Beatles)。別に自分が世間的に活躍できるようになっているわけではないけど。すごいものをありがとう、ありがとう、わたしはわたしの道を行く。ってかんじだ。

4.25
布施琳太郎さんの『ラブレターの書き方』を会社早退して読む。えらいことになったな、と思う。自分がぐるぐると回っていた暗い道を明るく照らす街灯のようだった。今読まずにいつ読むのか、と没頭する。会社結構まずかったけれど気にしない。恋に落ちたみたいな感じ。

4.26
新刊が間も無くできる。腹がふわっと浮くような緊張感がありますね。『ラブレターの書き方』について喋りたいので一日ラジオの準備をする。こんなちゃんと準備したことないので渾身の回になると思う。うまくいけば。

4.27
外はずっと曇っている。東京に行くつもりだったけれど、体が動かなくって諦める。友達に会えばちょっとはおさまるかもしれない陰鬱さを放っておいて、ひとりで過ごすことを選んだ。家の近くの幼稚園で「剣の舞」が流れているのが聞こえる。運動会、徒競走、思えば一番になったことない。

4.28
昨日のラジオ、青松輝さんが聞いてくれていた。とても嬉しい。ストーリーで紹介してくれた。今日は東京にいって、友人と角銅真実さんのライブを観た。なんなんでしょう、あんなふうに自然でいれたらさ、格好いいよなあ、普通に影響を受けた。あと友達に「どうやってものを作って暮らしていきゃいいのさ」と悩みを打ち明けたら友達もおんなじことを悩んでいて、「てかみんなどうやって生きてるん?」と東京を行き交う雑踏にふたりしてクエスチョンを投げかけまくった。渋谷を行き交う人たちの7割くらいがわたし達の知らない給付金みたいなのをもらっているとしか思えなくなった。

4.29
弾きかたりライブの告知を出した。みんな来てほしい。わたしも歌うし。いや、わたしも歌うしっていうか、わたしの歌はどこかで実際に届けなくちゃ意味ないなって思ったから、実際にわたしの声で聞いてほしいというのがある。SNSのDMに連絡をください。

4.30
ガーっと仕事をする。なんだか仕事に向き合えなかった一ヶ月だったけれど、色々落ち着いたのかようやく体が動くようになった。日記を読み返して思ったけれど単純に風邪が治ったからかもしれないわ。
突然だけどエヴァンゲリオンってずっと自分の内面の話でさ、ずっとぐるぐるしてたところをマリさんが救う話だと思ってて、それでいうとわたしはマリさんをずっと待っててばっかいたんだけれど、「君はよくやっている」って、言ってくれるマリさんを自分の中に生み出せたらいいよね、って思った。ちゃんと「君はよくやっている」が聞こえる日々にすること。それはちゃんとしてなくっても自分を許すってこと。だし、それなりに体の動く日は真摯に1日を生きるってことだ。

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