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まるで記念日の贈り物みたい

昨日、伊藤紺さんの短歌ワークショップへ行った。
はじめにいくつかの歌から参加者各々が好きな短歌を選び、理由を話す時間があった。とても尊い時間だった。
短歌の好きなところを話すことは、そのまま、その人の世界の見方の素敵さを話してくれているみたいで。

短歌を作るにあたって、「上手に書こうと思わなくていい」と伊藤さんは何度も言ってくれた。
その言葉はいろんなところで何度も目にしていた言葉だったけれど、参加者一人一人が短歌に向けた等身大の言葉をまるで記念日の贈り物みたいに喜んで聞いている伊藤さんの姿をみて、なんだかその言葉が「ほんとう」のことなのだと、初めて心から感じられた。

ワークショップのメインであるひとりで短歌を作る時間は、今まで短歌を作ってきた中でいちばん楽しい時間だった。素敵な世界の見方をする参加者の皆さんと、伊藤さんにみてもらえることがうれしくって仕方なかったから。

途中、ちょっと伊藤さんと話す機会があって、「こんな幸せな日があって良いんですか……」と伝えたら、「えへ〜うれしい〜もう今日帰って良いや〜」ってにこにこ笑ってくれた。こ、このひとの、こういうところだ。と、胸がほわっとなる。飾らないことの素敵さを体現してる方だった。

参加者の方々が作った短歌は、どれもその人のもので、最初の好きな短歌選びの時にみえた「その人なりの世界の見方の素敵さ」とどこかつながっていた。全部の短歌に向けて、どこが素敵かということを伊藤さんが喋ってくれる。
「上手に書こうと思わなくていい」ということを、言葉の上だけではなく、頭の中だけではなく、空気全体で感じ続けるような、幸せなワークショップだった。

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