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2022年下半期お気に入り音楽

 2022年下半期で良かった音楽作品紹介です。とっくに年明けてしまいましたが、一応備忘録として。来日公演も続々と決まり、コロナ前に戻りつつあるようにも思えますが、チケット代の高騰は、明らかに違っている点ですね。ただ、サブスクによって音源による収入が減ったことを考えると、コロナはライブ代金の値上がりを早めた契機に過ぎないとも考えられます。

 2022年の上期はこちらから。↓


『Hellfire』/black midi

 現代音楽シーンの異端児が、ますます異端の方向に外れていく痛快極まりない傑作。ロック・ノイズ的な部分だけでなく、ジャズ、ビッグバンド的なしなやかさも目立ち始めていますね。めちゃくちゃな勢いが衰えないまま、勢いだけではない知性を感じさせます。
 物凄く残忍な行為をするのにカリスマ性があって人気が出てしまう悪役キャラみたいになっていますね。ボスが殺し屋に始末を頼んだら、全てを巻き込むめちゃくちゃな事態になってしまい、「誰がここまでやれと言った⁉」みたいな展開の壮絶な作品です。来日公演もとてつもなく素晴らしかった。


『Special』/Lizzo

 M①『The Sign』の「Hi,MotherFucker♪」の歌い出しだけで、めちゃくちゃアガり倒してしまいました。とにかく踊れるし、とにかくポジティブな気持ちになれる作品。けど現実逃避ではなく、現代社会の病理に向き合ったうえで、それを吹き飛ばす力を与えてくれています。マイケル・ジャクソン的な音が古びることなく響くというのは、Lizzoがマイケルと同じくらいの人間力を持っているということだと思います。ライブ観たいので、ぜひフジロック出演希望!


『RENAISSANCE』/Beyoncé

 ビヨンセの曲を4つ打ちハウスにリミックスしたのなら別に珍しくもないはずなのに、最初からハウスミュージックとして作られたこのアルバムでは、何故か斬新な音楽に聴こえてくる不思議。この人も人間力の凄まじさがあるから、どのスタイルも自分のものにしてしまう器のデカさがあります。今作を皮切りに3部作で予定しているという話、本当なんでしょうか。とすれば、次回作もハウスになるというよりは、また別のブラックミュージックスタイルを提示してくるのかもしれません。


『Ice death planet's lungs mushrooms and lava』/King Gizzard&The Lizard Wizard

 上半期でも取り上げたキンギザでしたが、その後もなんと3枚(!)のアルバムを発表しており、今作はその第1弾。グレイトフルデッドがHRHMを経て、地獄でジャムっているようなサイケアルバム。演奏力も凄まじいですが、その飽くなき創作意欲には、敬意や恐ろしさを通り越して、呆れかえってしまいました。これの後の2作品もスタイルが全く違うという節操のなさが凄い。


『MTAATEM』/METAFIVE

 本来2021年の作品ではありますが、一般発売されたのは2022年ということで入れさせていただきました。前作でもそうでしたが、これほどソロで名のある特徴的なスタイルを持つメンバーが揃っていながら、ちゃんと各々の役割を守って音を鳴らすという「バンド」になっているのが素晴らしい。
 この作品の楽曲を演奏する高橋幸宏さんを観たかったです。やはり逝くには早すぎました。哀悼の意を表します。


『Long Voyage』/七尾旅人

 七尾旅人さんの近年の作品でも、かなり聴きやすく耳馴染みが良い楽曲、アレンジとなっていますが、歌詞で綴られている言葉は、驚くほどシビアなものになっています。夢見心地な気持ちにさせてくれながらも、しっかりと現実を見据える重要さを伝えてくれる音楽ですね。

 

『CAPRISONGS』/FKA twigs

 FKAの新譜が出たのかと飛びついたのですが、正確にはアルバムではなく「ミックステープ」という位置付けのようです。そのためか、いつものアルバムのような統一感はなく、FKA独特の世界観も薄く、割と世間で流行っているようなHIPHOP、R&B的な楽曲群が収録されています。ただ、それでもここまでレベル高いのかというほど1曲1曲は粒ぞろい。マジで来日して、その雄姿を魅せて欲しい!


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