春が近づいてきました。
雪が解けて、庭の雪に人型が現われました。
凍った若い女性の死因は明らかに絞殺です。
でもこの山奥にはまだしばらく警察も来れません。

若いということから、裏の山下君を疑いました。
でもどうしてうちの庭なのでしょう。残された雪の中に引きずった跡はありません。凶行はうちの庭で起きたのです。雪の日、裏の家とうちを間違えたということは十分ありそうです。

首を絞めたロープは杉の枝打ちに使われるものでした。
林業事務所に赴き、名簿を拝見します。冬の間、ここに留まっていたのは、夫の他には高山君と奥さんの由紀さんだけです。この若い夫婦の間に、あの被害女性を巡るトラブルがあったのでしょうか。

高山君のお宅を訪ねると、由紀さんがにこやかに現われました。高山君は昼間だというのにお風呂に入っているといいます。しばらく立ち話をして帰路につきました。

何てこと。自宅の死体はもう片付けてありました。
親切な暗殺者はテレビを観ていました。
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たはらかに 様
今週もよろしくお願いします。