くまさんは驚きました。少しチビりました。どうかそれは内緒にしておいてください。
なにせ今までに見たこともない、大きくてグロテスクなものが、すぐそこに迫っています。とにかく逃げなければ！
さっき食べちゃいそうだったお嬢さんです。
「お嬢さん、お逃げなさい」
お嬢さんに続いて、くまさんは走ります。
ヘトヘトになって、大きな木の根元に腰を下ろしました。
くまさんは星の歌を歌いました。
お嬢さんは花の歌を歌いました。
くまさんは手を叩きながら振り返ると、そのままひっくり返って伸びてしまいました。
「どうしたの？くまさん」
誰かが捨てていった姿見に、かわいいお嬢さんが映っていました。