見出し画像

誘拐② 毎週ショートショートnote

「そのハンドル回してください。高すぎるっしょ?パピコのあなたには」
そんなもん回せやしない。
「あ、ハンドル回せませんね。私が♫やりましょう。やりましょう。お腰につけた片パピコっと」
ベッドはゆっくりと下がっていった。
「これでも上がれませんね。ここはアメリカ製保健室なんで、何もかもデカいから」
そういう問題じゃねーだろ。と突っ込んだが、相手は意に介さない様子だ。
片手でヒョイと私をベッドに載せた。
「今回は災難でしたね。誘拐されるなんて。お怪我はないようだが」
「ありがとうございます。助けていただいて」


そこにドアがギーっと音を立てて開いた。
「ここ、建て付けが悪いね。アメリカ製か?」
「あ!パパ、ママ。ハズいから帰ってよ。そんなにくっついて」
「ほっとけ。それよりお前の身代金要求があったんだ」
「え?マジで?で、どうするの?」
「払うしかないだろう。おまえは大事なひとり娘なんだ。溶けちまったらどうする」
よかった。狂言ってバレてない。
    410字

たはらかに さま
よろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?