見出し画像

【ショートショート】 「タコゲーム機」

「タコゲーム機?」

 教授は言った。

「ええ。例の21世紀の文献に出てくるのですよ」

 25世紀のユタカタ大学で、教授と助手くんが文献の話をしていた。

「イカゲームという当時流行していたドラマがたしかあったな」

「ええ。丸とか三角の記号があのドラマでは重要な意味を持っていまして、そのこととも関連がありそうなんです」

「イカじゃなくて、タコ、と。パクリってことかな」

「オマージュということはありそうですね。あるいは揶揄して言った、などの可能性も」

「だが、『ゲーム機』なんだろう? ゲームじゃなくて」

「そこなんですよ。イカゲームを勝手にテレビゲーム化したものを扱い、商標の関係から、イカをタコに変えたんじゃないでしょうか。この文豪は」

「うむ、それだと矛盾なく読めるな。ということはこれは日記かエッセイかと思っていたが、どうやら小説のようであるな」

「だとすると、未発表作品ということになりますね。大発見です!」


*            *            *


 作家、京号太一は、コントローラーの操作に四苦八苦していた。

「プレイステーションの操作、めんどくさすぎる! こんなん手が二つじゃ足りんわ! タコゲーム機だ!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?