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回顧録⑨

私は店を開業してから3年が経過しましたが、なかなか思うように事が進まなかった時期でした。スタッフの雇用が難しく、特に委託販売契約という不安定であまり認知されていない雇用形態のため、スタッフの採用は難航しました。その結果、求人倍率が高い時期でもスタッフの募集は難しい状況が続きました。

応募者が来ても、私の店は主に訪問販売化粧品メーカーの製品を取り扱っていたため、化粧品の訪問販売員としてのイメージが強く、主婦向けの仕事として位置づけられていました。私自身は独身であり、主婦の生活の大変さを理解していなかったため、スタッフの育成には苦労しました。売り上げを立てられるようになったとしても、給与の問題でスタッフが辞めてしまうことが続きました。実際の問題は収入ではなく、私の経営力が不足していたことだったのです。人の気持ちやお金のことに関して理解が不足していました。

また、エステサロンを運営する場所も何度か変更しました。計画のない出費が積み重なり、経済的に困難な状況に追い込まれました。

そんな中、私にとって重要な転機が訪れました。結婚し、幸運なことにすぐに子供が授かったのです。これが私の人生において大きな変化をもたらすことになりました。初めて、「自分の努力だけではどうしようもないことがある」という現実に直面しました。この気づきが遅かったことと反省しています。それまでは比較的幸せな状況で過ごしていたのでしょう。男女の格差があるかもしれませんが、逃げ込める場所やお金の問題は何とかなると思っていました。恋人に振られても、夫がいなくなっても、何とかなると信じていました。しかし、子供に関しては違うのです。何ともならないのです。

どうにもならなくなっていった私を助けてくれたたくさんの人がいました。それまであまりコミュニケーションの取れなかった母、子供を背負ってものエステも笑顔で受けてくれるお客様、落ち込んだ時に話を聞いてくれた友達。自分で利益を出せるようになったのは、8年の月日が経過した後でした。それは二人目の子供を産んだ頃でした。

 

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