去年の冬、きみと別れ

面白かった。

物語の中で、真実を知ろうとする『僕』に様々な登場人物達ががぶつける言葉は、作者が物語を通して読み手に投げかける言葉のように思えてならない。

ー覚悟はあるのか

ーあなたでは無理ね、私達の領域にまで、来ることは出来ない

ー驚いたな、あなたには無理ですよ、彼の本を書くなんて

ー多くの人々が納得できることだけを書く。あなたにはそれがお似合いですよ


わたしは読書が好きだけれど、本屋で目に止まったものを買ったり、話題の小説を読んだりするくらいで、趣味が読書と言えるレベルでもない。

作家は読者を選べないから、わたしのようなフツーの会社員から、読書量が相当多い博学な人まであらゆるレベルの相手に自分の作品が読まれる。そして好き勝手に分析され、ネットに口コミとして書き込まれていく。

あなたは、私の書いた小説が理解できるレベルにいるのか?読む覚悟はあるのか?

この小説を読んでいると、作者から、そう問われているような気持ちになる。

もっと色々な本をよんで、もっと高いレベルで物語を楽しめるようになったとき、また違う面白さが味わえるのかもしれない。








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