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GAPマンダラはじめます

アグリキュレーターとしての情報発信を始めます

そもそもアグリキュレーターとはアグリカルチャー(農業)とキュレーターを組み合わせた独自の造語ですがキュレーターの元になるキュレーションについては佐々木俊尚著「キュレーションの時代」の中の定義によります。

「無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与えそして多くの人と共有する」となっています。

自分がサラリーマン時代に身に着けたことや個人事業主として様々な農業現場の方々と接してきて感じたことから今の農業界に何か役立つ情報発信ができるのではないかと思い始めることにしました。

GAPマンダラはGAP(Good Agricultural Practice)を実践するノウハウを理解するための道具です。

タイトルにあるGAPマンダラはGAP(Good Agricultural Practice=適正農業管理)を実践するにあたってマンダラートという手法を使った解説を行おうという試みです。GAPというと昨年行われた東京オリンピック・パラリンピックでは選手村で提供される食材については「”持続可能”な方法で栽培・収穫されたものということで国際水準のGAP認証基準を満たしたもの」という調達基準が設けられたことで少しはマスコミ等でも取り上げられていました。生産現場ではこの認証を取得する動きが盛んになったのですが本当の意味でGAPを理解し実践している農場がどれほどあるのか疑問に思っています。そこで思いついたのがマンダラートという手法をつかってわかり易く全体像を理解できるような道具を提供することでした。

マンダラートは大谷選手も使っていた目標達成の手法として知られています

ではマンダラートとは何かということですがこれはデザイナーでもある株式会社ヒロ・アートディレクションの代表今泉浩晃氏が考案した発想法です。大リーグで大活躍の大谷翔平選手が高校時代に目標達成シートとして作成していたことで昨年注目されました。マンダラートの紹介や使い方、大谷選手が使った具体的な内容等については以下のリンクが分かりやすいと思います。

この手法を使うことで全体を見渡しながらGAP実践のノウハウをわかり易く伝えることをはじめます。今回の記事のタイトル画像には中心となる9コマのマンダラートを挙げています。通常のマンダラートの使い方とはすこし違っていますが、この周囲の枡がブルーとイエローに色分けされている所もポイントになっています。

ブルーの部分はGAP実践の4本柱とも言われている
①食品安全 
②労働安全 
③環境保全 
④農場管理システム 
で構成されています。農林水産省は5本柱と言っていますがこの4つに⑤人権・福祉を加えていますが今回は労働環境、農場管理の仕組みの一部として④の農場管理システムに含めて考えることにしています。

イエローの部分はGAPを実践するにあたってその背景にある考え方について述べています。ブルーの部は What to Do(何をするか),How to Do(どうやってやるか)について述べているのに対して、Why to Do(なぜそれをやらなければならないのか、実践するためにどのような考え方が根底にあるのか)ということを述べることにしています。こちらも4本柱で構成されています。
①GAPとはなにか
②リスク管理という根底にある考え方とは何か
③GAPの実践を通じて農場の継続的改善を行うとはどういうことか
④GAPを実践することで何がどう変わるのか
ということを述べていきます。

2年前に元ネタがありました、見直して公開して行きます

2年前の2020年2月に静岡県からの依頼でGAP講演会で講演したことがあったのですがその時の講演タイトルは「GAPは農業界のイノベーションなのか?」というものでした。その時に参加者の皆さんに配布したのがこちらの9×9マンダラートでした。

これから定期的に投稿するGAPマンダラに関する記事はこのGAPマンダラを元に作った最新のGAPマンダラに沿って発信する予定です。2年前とは内容を見直し中ですのでまだ全体像は公開できませんが近々に公開する予定です。中心にある9枡のマンダラートに対して周囲には64に枝分かれしたストーリーがあるので今後は64話で全てのマンダラを解説していくことになります。年内の完結を目標にしていますが順不同で発信して行きます。

マジカルナンバー3や語呂合わせなどを多用して分かりやすく解説します

この数年、GAPのコンサルや審査、研修会講師として全国各地の生産者の方々や自治体の職員、農協の職員の方々と接してきました。GAPの実践や普及に苦労なさっているのは良く分かります、中には「GAPについては極力時間を使いたくない」とはっきり仰る普及員の方もいらっしゃいました。GAPというのは栽培技術や農法のことではないので生産現場の関係者にとっては”余計な事”という思いもあるのかも知れません。時間を掛けて理解するという事も難しいのだと思います。抜け、漏れなく実践するために気を付けるべき視点というものがあると思っているのでそれを紹介しようと思います。私は大企業(製造業)に30年ほど勤めていたのですが多くの従業員に対して会社の方針や行動指針について浸透させるために様々な工夫を行っていたと感じています。その代表が”3ナンチャラ”です。普及していると考えられるのは現場の”3S”でしょうか。整理・整頓・清掃の頭文字をとって3Sです。まずはその視点で見ることで漏れなく適切な行動ができるという事だと思います。ネットで調べるとマジカルンバー3というのが検索できます。人の短期記憶に残るのは4±1個のことだというものです。64枡の各話題のタイトルは極力このマジカルナンバー3や標語、語呂合わせを多用して長い文章を理解しなくても重要な視点が記憶に残るような表現を大切にします。専門家からみると安易と思われるところもあるかもしれませんがGAPの全体像を漏れなく伝えたいという意図があることをご理解ください。

今後の投稿にご注目ください

今回の投稿は書籍で言うと”はじめに”に相当するものでしょうか。なぜこんなことを始めたかということが伝わっていれば幸いです。GAPというのは農業高校の教育課程にも加わり多くの農業高校がGAP認証を取得しています。JGAP審査員の私もいくつかの農業高校の審査やコンサルに入ったことがあります。これから発信する内容は農業高校の生徒の皆さんにも伝わるような内容にしていきたいと思っていますので指導者の皆様にも参考になればと考えています。今後ともよろしくお願いします。

【コラム】GAPの定義、Madalart

◆GAPにはさまざまな定義がありますがここでは農林水産省の定義と国連の組織であるFAO(国連食糧農業機関)の定義を紹介しておきます。
【農林水産省作成「これからはじめるGAP」より】
「GAPは、Good Agricultural Practiceの頭文字をとった言葉で、直訳すると「よい農業のやり方」という意味ですが、一般的には「農業生産工程管理」と呼ばれています。 工程管理というとちょっと難しそうですが、言い換えれば、「農産物を作る際に適正な手順や物の管理を行い、食品安全や労働安全、環境保全等を確保する取組」のことです。」
当該サイトはこの5月にリニューアルされました
【FAOの定義】
Good Agricultural Practices are “practices that address environmental ,economic and social sustainability for on-farm processes, and result in safe and quality food and non-food agricultural products” .
環境、経済、社会の持続可能な農業を行うこと。それは安全で質の良い食用及び非食用の農産物をもたらすことになる。(日本生産者GAP協会による訳)
◆マンダラートの創始者である今泉寛晃氏のHIRO ART DIRECTIONSによるマンダラートサイト、詳細な解説を見ることができます。




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