大邱を歩けば
初めての渡韓で選んだ聖地はHYBEでも旧宿舎でも油井食堂でも鶴洞公園でもなく、大邱だった。
ユンギさんが生まれ育った地元の駅に降り立ち、街並みを見て思わずひとこと。
「…程良い……」
…いや程良いってなんだ。
程良がってんじゃあないよ、ったくリアコってやつはよ!!
ユンギさんがその少女時代のような御御足(おみあし)を惜しげもなく見せつけ母校の写真をアップした夏の日。あれは間違いなくプロポーズだったと今でも思っている。
ユンギさんが青春を過ごした母校を小学校から高校まで順番に訪れる。
坂の多い町だった。バスケ部のユンギ先輩に想いを寄せた高校時代の記憶がうっかり蘇りそうになる。大しておなかも空いていないくせに、ユンギ先輩に会いたいがためにパンを買いに購買に通ったものだ。ユンギ先輩は購買のおばちゃんと仲良(割愛)
高校の目の前のバス停から、ユンギさんが通っていたBASアカデミーに向かうため724バスに乗る。
724。ユンギペンにとって特別な数字のひとつ。
帰りのバス代か、200円のジャージャー麺か。
ジャージャー麺を食べた日は2時間かけて歩いて帰ったという、少年の日のユンギさんが踏みしめた途方もない距離に想いを巡らせる。
成し遂げたいことにどこまでもストイックで、やるべきことに誠実で、今の自分の決断は未来の自分が責任を取ると言い切るユンギさん。本当に、他の誰がこの人ほどのことをやれるって言うんだろうと思ったら、胸がつまって言葉が出なかった。
ユンギさんって、こと自分のことになると極端なまでにストイックで、『死ぬこと以外かすり傷』みたいに考えていそうな人だと常々思う。
でもそれは痛くない、へっちゃらだというわけでは決してなくて、絶対に譲れない信念を貫くために自分にそう言い聞かせているようにも感じられて。そのくせ自分以外の人にはどんな小さなかすり傷も絶対に軽く扱ったりしない人。
ユンギさんの言葉や行動の端々にただようそういう雰囲気に私はどうしようもなく心を動かされてしまう。
最後はユンギさんがアルバイトをしていたというスタジオに。ここがあの『南山洞の地下』なんだねユンギさん。
ふと気づけばあのバレンタインの夜から、数えきれない感情たちにもみくちゃになっているうちに光陰矢の如く1年の3分の1が過ぎ去ったらしい。
わ〜〜〜もしかして私は世界一推すのが大変な人のことを好きになってしまったのかもしれない。
私調べ(個人の意見です)だけどそもそもユンギペンに弱火層はないじゃないですか(個人の意見です)。慎ましい距離感で互いを思いやる穏やかな平行線の愛の美しさはわかっちゃいるけど、まずもってユンギペンはスタート地点がSeesawの上なんだから。
しかも私たちをSeesawの対岸に座らせたのは他でもないミンユンギ本人だっつうんだから、こればっかりはもうどうしようもない。
Seesawのうえで上がっては下がってを繰り返したあの日々の記憶(無い記憶の懐古は朝飯前)と、もう一度(もう一度)あなたと付き合ったなら今度こそ私はこのSeesawから絶対に降りたりしない、もう二度と(もう二度と)その手を離したりしないんだから…!という確固たる決意の反復。
ほら、すぐ脱線する。
すぐSeesaw元カノマインドログインしちゃう。
大邱に戻そう。
それにしても、普段家と職場の往復しかしていないような初渡韓2人組がソウルから日帰り弾丸で大邱を訪れるなんてまあまあ攻めた決断だったかもしれない。
絶対に外せない聖地をひととおり網羅した我々がソウルに帰るため東大邱駅に着いたのが19時半。しかし夜のKTXは満席に次ぐ満席。直近で取れたのは21:41、それに乗れると言ってもデッキでスタンディング。
さらにはおしゃべりに夢中になって危うく反対方向のホームに降りる始末だ。気づいて良かった、あのまま乗っていたら私は今頃釜山で上司に土下座メールを打っていたに違いない。ソウルのホテルに着く頃にはとっくに日付が変わっていた。
朝5時にホテルをチェックアウトし空港へ向かう道すがら、昨夜の余韻の暗闇がだんだん明けていってしまう空に涙が止まらなかった。時間はまるで波。
搭乗ゲート近くの売店ではオムクが湯気を立てていて、それがあまりにも美味しそうで人生初のオムクを買った。5000ウォンのぬくもりをひと口かじると、シュチタでオムクを頬張っていたユンギさんの顔が浮かんでやっぱり涙が溢れた。
ユンギさんがくれる気持ちは特別すぎていつもぴったりくる名前がつけられない。
きっと私はこれからまた何度もこの国を訪れると思うけれど、今回の旅は一生私の特別だ。
明日からはまた一般人に擬態して、私も私のやるべきことをやろう。ユンギさんにいつも胸を張って会いたいから。
最後に、今回の渡韓を自分のことのように祝福してくれたたくさんの友達、ずっと気にかけてくれてありがたいリプやDMで寄り添ってくれた方々、どでかいビールを煽りながらミンユンギへのハイカロリーな愛を語り合ったユンペン仲間たち、大して言葉を交わさなくてもお互い大邱に行くものと心に決めていたSUUUさん、本当にありがとう。
우리 앞으로도 행복합시다.
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