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のんびり地学基礎 #39 補講. 付加帯

固体地球が終わったぞー!
と思いましたが、
大事なことが抜けておりました(。-人-。) 

日本の地質のほとんどの部分を占める
バームクーヘンみたいな地層、
付加帯をやるのを忘れていた!
とのことで、
今日はのんびり補講です。

付加体でも付加帯でも
どちらでもいいそうですが、
帯状に作られるものなので
ここでは付加帯で統一します。

海のプレートと
陸のプレートの境界(海溝)付近で、
海のプレートが沈み込むことにより
海溝に溜まった海溝充填物
プレートの上に乗っかっている海山、
堆積物、砕屑物などがはぎ取られて、
大陸側に押し付けられ、
陸が付け加えられていくことを
付加作用といい、
そうしてできた大陸部分を
付加帯といいます。

付加帯の断面を見ると
三角形のくさび状に発達しており、
そのため付加帯のことを英語では
アクリーショナルプリズム
と言います。
そっか、プリズムは三角柱でしたね。

付加帯の模式図


付加帯の形成過程

付加帯のでき方には
分かっている2つと、
謎多き1つの方法があります。

①、オフスクレーピング

海のプレートが海溝まで
辿り着く間に、表面には
海嶺でできた玄武岩と、
チャートなどの堆積物と、
陸から流れてきた砕屑物の
3種類が順番に乗っかっています。

これらは、海溝でガリガリと
海のプレートからはがされて、
陸のプレートの縁に
付加されていきます。
これを「はぎとり作用」
「オフスクレーピング」といます。

また、海底では繰り返し
巨大な海底地すべりが起こります。
海底土石流、乱泥流が起こり
砂、泥がもうもうと巻き上がって
海底深部へ流れ下り、砂と泥が
順番にどさーっと堆積します。
この乱泥流でできた砂と泥の
ワンセットずつの堆積物を
タービダイトと言います。

乱泥流のたびに
タービダイトは重なってゆきます。
これを繰り返されると
砂、泥、砂、泥の砂泥互層さでいごそうができます。

海底地すべりによらない
普段に溜まる泥岩は
タービダイトに含まれません。

綺麗なタービダイトのまま
付加された状態を
コヒーレントユニットと言います。
バームクーヘンのような地層です。

高知室戸岬 タービダイト層

地層は古いものが下にあり
新しいものが上に乗っていく
地層累順の法則があります。

海のプレートは斜めに
沈み込んでいるので、
新しくはぎとられるものは
前にできた付加体の下に
くっついてゆきます。
付加帯においては
古い地層が上に来て
新しい地層が下になる
という逆転が起こります。

また、タービダイトの
ワンセットの中では
累順になっていますが、
全体的には逆転している
というとても複雑な構造を
とるそうです。なので、
地上に現れた付加帯の
年代を調べるのはとても大変で、
地質屋さん泣かせ(T_T)
なのだそうです。


②、アンダープレーティング

もう少し深いところでは
沈み込んだ堆積物などが
下からペタペタと
押し潰されるように
付加されます。
これを「底付け作用」
「アンダープレーティング」
といいます。

強い圧力で押し付けられるので
オフスクレーピングのように
綺麗な地層にはなりません。

岩石はぐちゃぐちゃに
細切れに引きちぎられ、
押し込められてできた付加帯です。
これをメランジュ、
メランジュユニット
と言います。
下から大陸を成長させていきます。

四万十帯は海岸線沿いに
露頭が広く分布しているので
タービダイト層や
レンズ状に入っている
メランジュを見ることができます。



③、低温高圧型変成帯

もっと深いところまで
堆積物がくると、
低温高圧型の変成帯になります。

これらがなぜ上昇するかは
まだ解明されていませんが、
海嶺の沈み込みが起因して、
高圧型変成帯が上昇していき、
大陸の一部になると
考えられています。

海嶺の沈み込み!?

海嶺が海溝まで移動して
大陸の下に沈み込むんですか?

そうなんです。
プレートは、
テーブルの上に敷いた
テーブルクロスが
自分の重みで
ずるずるとずり落ちる
仕組みと同じ原理
(テーブルクロスモデル)で
動いているとされています。

地下からマグマが湧きだし、
活発な海底火山の山脈である海嶺も
プレートの動きとともに
海溝に引っ張られていきます。

海嶺で生まれた海洋プレートは
長い間冷やされながら
海溝まで辿り着くので
冷え切ったプレートが沈み込むと
低温高圧型の変成岩を作ります。

しかし、
海嶺も移動して
海溝に近づけば近づくほど
冷える時間がなくなるので
最終的には
海洋プレートは高温のまま
沈み込むことになります。

それが
低温高圧型変成帯を上昇させ、
大陸に付加させている
のではないか?
という研究がなされています。

ぜんぜんのんびり
じゃない補講でしたが(*_*)
固体地球の部がこれで
すべて終了です!
ありがとうございました。

次回からは、
大気と海洋の章に入ります。
「気象①」です。
これまた
終わりが見えないほど
長くなりそうです。


謝辞~星屑の子供たちへ~

やっとnoteの復習がリアルの講義に追いついてきました。
いまも気象を学んでいる真っ只中です。
大気の章の講義が全て終わりましたら復習の更新をいたします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

Geo Radio「のんびり地学基礎#39「補講. 付加体」


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