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智恵子の紙絵

高村光太郎
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青空文庫より、
高村光太郎の「智恵子の紙絵」
を読みました。

《ふわっとあらすじ》

智恵子が入院して半年が経ったころ
私は彼女にに千代紙を渡した。

精神病患者には
手工がいいと聞いていた。

智恵子は大変喜び、鶴を折った。
病院を訪れる度に
千羽鶴が増えていき美しかった。

ある時、私が訪問すると
智恵子が紙包みを渡してきた。
中を開けると、
智恵子が作ったという
美しい紙細工が入っていた。
それは大変すばらしかった。
いつの間にか、智恵子の作品は
芸術品のようになっていた。

それから智恵子は
体調の悪い時以外は
朝から熱心に切紙細工をしていた。

左右対称に切り抜かれた模様は
数枚の色紙を貼り付けると
十二単の重ねの色目のように美しく、
鋏で切り抜かずにおくと
下の紙の色がちらちらと透けて
非常に趣がある。

智恵子は次々といろんな
技巧を編み出して、
食事も後回しにするほど没頭し、
見るもの全てを切紙細工にした。

千数百枚に及ぶ
才能あふれた智恵子の切絵は
彼女のこの世への愛の表明である。

私は、
嬉し恥ずかしそうにこれらを見せる
智恵子の顔が忘れられない。


《語句解説》

手工:手先を使ってする工芸。
千代紙:紙に花紋など種々の模様を色刷りにしたもの。
紙灯籠:紙と糊だけで作られた灯籠。
意匠:美術・工芸・工業製品などで、
   その形・色・模様・配置などについて加える
   装飾上の工夫。デザイン。
紙細工:和紙や洋紙にさまざまな加工を施して、
    実用品や玩具(がんぐ)をつくりだすこと。
丸の内のはい原:日本橋にある1806年創業の和紙舗。
シムメトリイ:シンメトリー。左右対称であること。
布置:物を適当な所に置き並べること。配置。
カムバス:キャンバス。絵を描くための布。
妙味:なんとも言えない味わい。非常にすぐれた趣。
不可言:言葉では言えないほどすばらしい。
触目:みるもの。 目にふれるもの。
抒情:叙情。自分の感情を述べ表すこと。
機知:とっさに適切な応対ができるような鋭い才知。


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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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