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のんびり地学基礎 #25 火成岩④[マグマの分化]

岩石が溶けて
マグマができる方法については、
プレートテクトニクスの章でも
ちょこちょこ触れてきました。
おさらいをします(#^^#)

マグマになる岩石というのは、
上部マントルのかんらん岩です。

マントルのかんらん岩を
溶かす方法は3つあります。

①、温度が上がる

周囲の高温物質に温められて
マントルの温度が上がる。

②、圧力が下がる

地表に向かって
急速に上昇するマントル

温度はそのままに
圧力だけが下がります。

マントルが上昇する場所は、
a、海嶺
プレートが裂けて広がる場所なので、
地下ではマントルの上昇が起きる。

b、海溝
海溝でのプレートの沈み込みに伴い
マントルの対流上昇が起こる。

C、ホットスポット
地下深くの熱源から
パイプ状にマントルが上昇する。

③、水が加わる

海溝で沈み込む海洋プレートは
ある深さで水を吐き出します。
吐き出された水が加わると、
大陸側のマントルの融点が下がり、
かんらん岩の一部が溶けだします。

このどれか1つの理由が
当てはまれば溶け始めます。

溶けやすい鉱物、溶けにくい鉱物

マントルのかんらん岩は、
まるごと溶けるのではありません。
かんらん岩の成分中、
溶けやすいものから溶けだします。
これを部分溶解、
パーシャルメルティング
といいます。
部分溶解をしてできた
最初のマグマ、
初めにできるマグマを
初生マグマといいます。

かんらん岩の成分は、
かんらん石輝石
場合によって斜長石
などが入っていますが、
このうち、
主に輝石成分から溶けていきます。
かんらん石は溶け残ります。

こうしてできる初生マグマは
有色鉱物の成分でできた
粘性の少ない
玄武岩質マグマになります。

ということは、
初生マグマがまるごと固まったら
玄武岩ができるということです。


マグマの結晶分化作用

マグマが
マグマだまりの中で
ゆっくり冷えていくと、
溶けていた成分が
結晶となって現れ、
沈殿していきます。

溶けやすいものから溶けたように、
固まりやすいものから固まります。

玄武岩質マグマから
まず、かんらん石や
カルシウムに富む斜長石が
晶出します。

すると溶け残ったマグマは
安山岩質マグマになります。

さらに冷えると
輝石が結晶化し、
斜長石はナトリウムに
富んでいきます。

すると残ったマグマは
デイサイト質マグマになります。

さらに冷えると
角閃石が結晶を始めます。

マグマは流紋岩質マグマになります。

もっと冷えていくと
黒雲母、石英、カリ長石
ナトリウムに富む斜長石が
溜まり始めます。

初生マグマの結晶分化作用

晶出していった残液には
どんどんSiO₂が
増えていっていることに
お気づきだと思います。

ということは、
結晶が沈殿していくにつれ
マグマの粘性は強く、
色は薄くなっていきます。

このように、
結晶化がもたらす
化学組成の変化を
マグマの結晶分化作用といいます。

多様な火成岩をつくる
理由の一つとされています。


次回は、
謎多き「変成岩①」です。

謝辞~星屑の子供たちへ~

斜長石が、結晶分化の時にナトリウムに富んだり、カルシウムに富んだりコロコロ変わることが不思議です。
斜長石、黒雲母、角閃石、輝石、かんらん石などの鉱物は、結晶したときの温度や圧力によって、マグネシウム(Mg²⁺)、鉄(Fe²⁺)、カルシウム(Ca²⁺)などの金属イオンが様々な割合で入れ替わることができるのだそうです。
結晶構造は同じだけど、化学組成が自由に変化するこのような鉱物を|固溶体《こようたい》といいます。
石も人間も、環境や状況で臨機応変に対応できる方が生きやすいのですが。石から人生を学ぶことが多い今日この頃です。

Geo Radio「のんびり地学基礎#25「火成岩④」

上部マントルの組成はどこでも同じではない、そうです↓
がっつり地学08「上部マントルはどこも同じ組成?」


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