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のんびり地学基礎 #20 生物岩

生物岩
生き物の営みによって作られた岩石。

生き物の遺骸や体の一部が
海や湖の底に溜まって
固まってできました。

代表的なものに
石灰岩とチャートがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①、石灰岩せっかいがん


主な成分は
炭酸カルシウムです。

運動場に白線を引く石灰や、
チョークなどは学校でおなじみです。

コンクリートの材料である
セメントも石灰石です。

具体的にどんなものが
石灰岩になるかというと、
サンゴや、貝殻、
有孔虫の殻
(星の砂、太陽の砂)、
石灰質ナノプランクトン、
などの遺骸になります。

エーゲ海に浮かぶ島々では
石灰石の壁を使った街並みを
見ることができます。
空と海の蒼に、白亜の建物が
よく映えて、とても美しい景色です。

ギリシャ、サントリーニ島

②、チャート


主成分は、
二酸化ケイ素です。
SiO₂エスアイオーツー、シリカ)

チャートは、
陸から離れた深海底で
放散虫というプランクトンの殻が
積もって固まった岩石です。

非常に硬いため
昔は火打ち石として
使われていました。

珪藻の殻が積もって
固まった生物岩が珪藻土けいそうどです。
同じSiO₂エスアイオーツーが主成分ですが、
珪藻土はナイフで削れるくらい
柔らかいです。

同じSiO₂エスアイオーツーなのですが、
チャートとは呼びません。

また、石英せきえいSiO₂
結晶化してできた鉱物です。
ちなみに、
石英の中でも
純粋に結晶化した
無色透明なものを
水晶と呼んでいます。

石英( クォーツ )

SiO₂、SiO₂、
うーん、、、、
SiO₂って一体何者!?

SiO₂エスアイオーツー シリカとは

ケイ素( Si )は、
単体で存在できないため、
必ず酸素( O₂ )と結びついています。
⇒ 二酸化ケイ素( SiO2₂)。
英語でシリカといいます。

シリカだけでできている
鉱物は、石英(水晶)です。

地殻内には大量の
シリカが含まれており、
約75%も占めています。

地殻だけでなく、
一部の植物や
プランクトンの骨にも
シリカが含まれています。

約6割の鉱物には
シリカが含まれており、
ガラスやコンクリート、
除湿剤のシリカゲル
などがつくられています。

石灰岩とチャートはなぜ混ざらないのか?

石灰岩もチャートも、
海の生物が沈んでできたものなので、
両方の生物の遺骸が混ざって
岩石になってもおかしくありません。

ですが、石灰岩とチャートは
ちゃんと分かれて出てきます。

なぜかといいますと、
岩石が作られる場所が
住み分けされているからです。

炭酸カルシウムは、
ある深度より深くなると、
水に溶けてしまいます。
なので、石灰岩は
海の比較的浅いところでしか
作られません。

反対に、二酸化ケイ素は
深海でも溶けることなく、
溜まることができるので、
チャートだけの層ができます。

でも、浅いところで
石灰岩とチャートが
混ざらないの??と、
思いますよね。

実は、チャートを作る、
放散虫の繁殖力は
とてもゆっくりです。

炭酸カルシウムを持つ
有孔虫などが
活発に活動できる
浅い海では
放散虫は生存競争に
負けてしまいます。
石灰岩を調べると、
わずかに放散虫の殻も
出てくるとは思いますが、
有孔虫が優勢なので
同等に混ざることはないのです。

石炭も生物岩?

石炭は、
大昔の植物が完全に分解される前に
地中に埋もれ、そこで長い間、
熱や圧力を受け続け、
石炭化したものです。
植物の化石のようなものですね。

次回は、
堆積岩の最終回、
「化学岩」です。

謝辞~星屑の子供たちへ~

急に現れました、SiO₂!!
この子があらゆる岩石に存在していることに驚きました。なぜ同じSiO₂なのにこんなに見た目が違うのか?納得できません。どうなってるの!?
そしてこの岩石シリーズ、SiO₂がこの先、どこまでもついて回るような予感がしています。頑張ります。

Geo Radio「のんびり地学基礎#20「生物岩」


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