日常の化学【ぬか床】
最近、知り合いのフードコーディネーターの方から「ぬか床について書いてほしい」と伝えられました。
私自身、日常の中の出来事が化学に通じることは面白いと思いますし化学の視点ではわからない『生活の知恵』を化学的な視点で紐解くのは楽しいと感じます。
1.酸味の原因
玄米を精米する過程で出てくる糠(ぬか)。
主だった菌類には乳酸菌がいます。それ以外に、酵母、酪酸菌があります。
また、いずれにしても植物性の菌類になります。
特に乳酸菌に関しては乳酸を生成しより酸味を強くしてしまいます。
あたりまえのように、ぬかには乳酸菌がいることは不思議なことだと思います。というのも乳酸とつくからには動物の乳に存在するかと思いきやぬかのように植物性のものがあったり、腸内細菌として存在したりと乳とは関係ない部分にもちゃんと乳酸菌は存在することができています。
2.対処法
ぬか床に酸味が出てきた際に鷹の爪(トウガラシ)を投入することで酸味が中和されます。
これは逆の関係から考えます。
辛い物って、みなさんは得意ですか?
私は苦手で食べると、いつもおなかを下します。。。
辛みを抑えるときに乳製品と一緒に食べるといいと聞いたことがありますか?
この説は確かに辛みを抑えることに有効であることが分かります。
辛みが収まる理由としては、カプサイシンの疎水基にカゼインが付着することで舌の辛み(痛覚)の受容体を介さずに体に取り込まれるためです。
ともすると、乳酸菌の多くなったぬか床に鷹の爪をいれることによりカプサイシンと結合させることにより乳酸を中和させるのだと考えられます。
確かに食べてみると、入れる前後での酸味に変化はありました。
ぜひ、ぬか床をお持ちの方はご賞味ください。
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