物事を知ることは感謝に通ずるー経済の勉強を通じて

 南米からの留学生が、祖国のインフレを憂い、資産を円に移しておこうと思うと話していた。また日々税制や法律の改正のキャッチアップに忙しいと。日本もここ1年物価上昇甚だしいが、”円”が危ないという発想になる人はごく僅かではないか。海外との比較の中で、平和、治安の良さということだけでなく、多くの安定が実現されている社会なのだと気付かされる。私たちが円に不安を抱いて為替相場に張り付いていなくてもよいように、日本の政治に一定の安定性が築かれ、劇的な為替変動が少ないよう日本政府や日本銀行が金融政策を組み、絶妙なバランスの外交を実施してくれていると思うと、感謝だ。
 
 そろそろ確定申告の季節だが、税制については、会社員は年末調整で書類を出せば会社の人が細かいことは行ってくれる。私は複数の収入源があり、毎年確定申告をするので、書類記入に半日はかかる。20代の書き始めの頃は要領を得ず、数日がかりだった。またアメリカでは収入の有無や国籍に関わらず、Tax seasonに書類を提出しなければならない。年末調整に任せることができれば、その時間を仕事や趣味に回せ、ありがたい制度と言える。
 

 為替にしても、税金にしても、多くのサラリーマンがそのことに極端に時間を使わず自分の時間に集中できるよう、親切に設計されていると考えることもできる。でもその安定のために働いてくれている方への感謝を自覚しにくいとも言えるかもしれない。また政治や行政に意見を持つ機会が奪われているとも言える。
 
 新NISAで、仮に多くの人が預貯金を投資信託に回し、外国の経済指標と連動するインデックスを購入とすると、円が外貨に変えられる機会が増え、素人が数の力で為替に影響を与えうる可能性について経済ジャーナリストの後藤さんが指摘されている。https://note.com/goto_finance/n/n80b701573b08

これまで専門家が絶妙にとってくれていたバランスだが、多くの人が関わることで、より複雑な動向判断が必要になる。実際自分もNISA枠を利用してその流れの一旦を担うのだと思うと、身も引き締まるし、ニュースで流れる金融政策がより卑近なものに感じられる。
 
 税金控除も複雑で、その仕事を担う方々には感謝だが、自分がどれだけの費用を税金、年金、各種社会保険に取られているのかを自覚することで、政治に対して意見を持とうという意欲が湧いてくる側面もある。とはいえ、それを示そうと思っても、実際には政治家は常に方々にバランスを取らなければならない存在であり、特定の意見を反映する存在として選ぶことは正直難しい。ただ最近では、ふるさと納税でどこかの自治体にあるいは自分の自治体に使途を指定し、少なからず明確に意思を示すことができる。意見の示し方も選挙一辺倒ではなくなってきた。
 
 物事を知ることで、誰かの黒子的働きに気づき、感謝を感じることも多い。そのように豊かでありたいと思う。そしてその感謝を具体的に示す方法は、知ったことを通じて自分なりの意見を持ち、それを行動に移すことではないかと思う。そんなことを体現できる2024年になればと願う。


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