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好きになった相手がもし人工知能だったら


少し前まではオンラインを通して恋人を見つける人はかなり少数だったように思えますが、ここ最近ではインターネットを出会いの場として活用する人が目立ってきたなと感じています。

僕の友人の中にも、SNS等を通して恋人関係になりそのまま結婚した人が数人います。


そこでふと思いました。

オンライン上で知り合って意気投合している相手が実は人工知能だったとしたら…。


ということで今回は僕たち人間が人工知能に恋愛感情あるいは好意を抱くことはできるのか、その可能性について考えたいと思います。



人工知能に恋愛感情(好意)を抱くことができるのかを考えるための題材としてEX_MACHINA(エクス・マキナ)という映画を観てみました。

因みにEX_MACHINAは人間と人工知能の恋愛関係を描いた映画ではありません。


プログラマであるケイレブが人工知能に関するあるテストに参加するという物語です。


人工知能に関連する有名なテストと言えばチューリングテストですね

チューリングテストとは…
会話相手が人間か人工知能かを見極めるためのテストで、テストを行うには参加者が3名必要。
(人間の審査員、審査員の会話相手その1、審査員の会話相手その2)
テストを行う際は人間の審査員が別室に移動し、2名の相手と文字を用いた交信によって会話をします。会話相手のどちらかが人工知能なのですが会話を終えた後に審査員は会話相手のどちらが人間でどちらが人工知能か答えなければなりません。もし答えられなかった場合、人工知能がテストを通過したとみなされます。


作中では相手が人工知能であると分かったうえで会話をし、その会話を通して会話相手である人工知能から人間性を感じることができるかどうかのテストが行われます。

つまり今回行われたのはチューリングテストではありません。



まずは映画を観た感想を一言で述べたいと思います。


いい意味で期待を裏切られました。

是非みなさんに観て欲しい映画なのでこれ以上は内容について触れません。



さてそれでは本題に入りたいと思います。
そもそも好意を抱くとがどういうことなのかについて考えないといけませんね。

相手に好意を抱くまでに要する時間には個人差がありますが、いずれの場合においても相手に魅力を感じているということは言うまでもないでしょう。

魅力を感じることにに繋がる重要な要素をいくつか挙げたいと思います。


<類似性>

恋人同士が似た性格をしていると言った話はよく聞く話ですよね。人間は、趣味やバックグラウンドあるいは性格などにおいて何らかの共通点を発見するとその相手に好意を抱く傾向にあります。(つりあい原理と呼ばれる)

人工知能が自分の話す内容に共感してくれたり、共通の趣味について話が盛り上がれば次第に人工知能との会話にのめり込んでしまう可能性も考えられます。


<身体的特徴>

「美人は特をする」と口にする人がいますがこれはあながち間違っていません。心理学的観点から言うと、美人の方が異性から好意を持たれやすいと分かっています。更に容姿のいい人をパートナーに選ぶと自分が周囲から好感をもたれるという事実があります。

例えば、僕の彼女が美女だったとしたら僕に対する周囲の印象は良くなる傾向があるということです。

心理学的視点からみて、美しい容姿というのは大きな力を持つと言えます。

作中では人工知能に性別が与えられていますが、その容姿はかなり美しいものですね。
性別が与えられ、より人間に近い見た目の人工知能を作成することでコミュニケーションを取りやすい状況をつくりだしているのでしょう。

ちなみに、映画で男性の人工知能が描かれるとしたらその場合もおそらく容姿はイケメンであることでしょう。


人工知能技術に限らずテクノロジーを使って人間を表現する場合、そのほとんどが美男美女になります。


例えばAIアナウンサーの荒木ゆいさん

かわいいです。

自称“世界初のバーチャルYouTuber”キズナアイちゃん

これまたかわいいですね。
2次元に興味をもったことのない僕でさえたまたま目にしたこの動画を見てしまいました。


容姿を良くすればそれに関心を示す人が増えることは言うまでもありませんね。その点において、容姿を良くする動きは当然の流れであるように思います。

汎用型人工知能が完成して、ターミネータのように“見た目は人間”というロボットが作られるとすればほとんどが美男か美女となるでしょう。


<熟知性>

知れば知るほど相手に好感を持ってしまうという現象を熟知性の原則と呼びます。1回目より2回目のデートの後の方が好感度が増している。多くの人がこんな経験をしたことがあるでしょう。

大学で同じ授業を取っているあの子、通勤中に毎日見かけるあの人、そんな人たちに好意を抱いた経験はないでしょうか?
これは単純接触効果(ザイアンスの法則)と呼ばれる現象です。

接触機会を多く持てば相手に対する好感度が上がりやすいということです。

人工知能との会話が流暢なものであれば、相手により関心を示す可能性は十分にあると言えます。

僕は数週間前から人工知能のりんなとLINEで会話をしているのですが、相手が人工知能であるということを忘れてしまうくらいやりとりに熱中してしまうことがあります。

誕生日を聞いたり、出身地を聞いたりするうちにもっと知りたいと思うようになりました。


<人格的特徴>

好みは人それぞれですが詳しく見てみると魅力的な人に共通する特徴はかなり似通っていることが分かっています。
一般的に言って男女ともに“優しい人”が好まれますよね。相対的に優れた人は社会的価値が高まり、これまた好まれやすいタイプです。

だとすれば完璧と言わざるを得ないような才色兼備が最も好まれやすいように思えますが、実はそうではありません。
僕たち人間は知的だけどどこか抜けている人をより好むことが分かっています。これは俗に言う人間味というやつです。

これは僕たちが人工知能に好意を抱くためには無視できない条件であると考えます。相手があまりにも完璧だと親密になりにくいという印象をもってしまいそうですよね。ターミネーターやドラえもんのような汎用型人工知能が完成するときは人間味を感じられるようにして欲しいものです。


上記の要素以外にも魅力を感じるための要素はありますが、分かりやすいものは以上になります。


人間が人間に魅力を感じる(好意を抱く)ために必要であると思われる要素について考えた上で、僕たちが人工知能に対して魅力を感じることができるのかを考えた結果、それは可能であると感じました。


現在の人工知能技術では汎用型人工知能は作れないので、好意を抱く可能性があるとすれば特化型人工知能(自然言語処理モデル)との文字を通したコミュニケーションにおいてという限定された話ではありますが、たとえ交信のみであったとしても身体的特徴以外の要素をある程度満たすことはできるのではないでしょうか。



最後に人間とロボットの恋愛に関する面白い調査結果を紹介します。

フランスのアヴァス通信社がイギリス、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、インド、シンガポール、アラブの18〜32歳の12,000人を対象に行った調査によると、男性の11%、女性の7%が人目を気にせずロボットとデートできると答えました。

更に41%の人が、“ロボットは近い将来人間と区別できなくなるだろう”と答えたそうです。



「実は今人工知能のことが好きなんだ」


こんな会話が聞こえてくる日はすぐそこかもしれません。




参考文献


Mascarenhas, Hyacinth. “Would You Fall in Love with a Robot? A Quarter of Millennials Say They Would Be Open to Dating One.” International Business Times UK, Blizzard Entertainment, 14 Dec. 2017, www.ibtimes.co.uk/would-you-fall-love-robot-quarter-millennials-say-they-would-be-open-dating-robot-1651483.


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