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JTCを救いたい その2 ~JTCのよいところ~

JTCの長所

前記事ではJTCの欠陥について構造的要因から考察しました。今回は、逆に長所について記述したいと思います。結論を先に書くと、成長環境こそJTC最大の長所というのが私の意見です。

JTCの長所と言うと、どのような点が想像されるでしょうか。世の中の情報を参考にすると。以下のような点が挙げられています。

  • クビにならない

  • 倒産しない

  • ある程度の収入が見込める

  • 分業化が十分に成されている

・・・分業化を除けば、「最低限は満たしている」という風にも聞こえますね。気になる人に「良い人」と褒められた時と同じような感情になりました。

良い人

それはさておき、これらの長所も前記事と同様、JTCの構造に起因するものだと考えられます。前記事には下記のようにあります。

大規模投資を前提とした業態を中心に経済発展した結果、合意形成のインパクトが大きくなり、また、苛烈な勤務の許容により時間の価値が低下したことで、大人数の時間を消費するデメリットが薄まり、会議だらけの働き方が生まれた。また、パンチを打つリスクが高い故に、意思決定の迅速さより慎重さ、若さより経験が重要視され、終身雇用スタイルとなった。

JTCを救いたい その1 ~JTCの欠陥?~ 著者:わたし

終身雇用スタイルにより、解雇の心配は大きくなく、収入も一定レベルは見込まれる。これにより人員が確保できる為、分業化も可能になる。更に大規模投資を前提とした業態である以上、参入障壁は非常に高く、企業の安定性も比較的担保される。このようなロジックではないでしょうか。終身雇用については昨今色々と言われていることはありますが、参入障壁については、少なくとも国内では今後も不変と考えられます。これらの長所について、私の経験も踏まえて個別に説明していきます。

クビにならない

事実と思います。法に触れるような行為をしない限り、解雇までは至らないと思います。前記事では鼻孔ボーリングに勤しんでいてもクビにならなかった若手社員について書きましたが、こんなものは序の口です。若手社員が自分のものを盗んでいると主張し、警察を呼ぶ大騒ぎを起こしたヲジサンや、毎日出社即就寝、昼食後には派遣社員の方に仕事を投げて再び就寝という成長期ヲジサンを観測しましたが、彼らは今も変わらず働いています。前者のヲジサンは関連会社への出向が検討されたものの、先方が全力でNGを出した為、無念の残留を果たしたと聞きました。このような究極生命体(アルティミットシィング)も含めて雇用する度量がJTCにはあります。逆に言うと、他の社員が究極生命体を養ってあげる必要があります。究極生命体は排除したくてもできないので、考えるのをやめましょう。

考えるのをやめた私もまた、究極生命体(アルティミットシィング)なのである

倒産しない

安定しているという意味では事実でしょう。前記の通り、参入障壁による保護もありますし、規模に起因する体力も一つの長所かと思います。何かしらの原因で一時的に大ダメージを受けたとしても、走りながら修正することができるのは、JTCに限らず大企業の大きな長所かと思います。「個人のスキルさえあれば会社の安定性など必要ない」という意見もあります。勿論、時流に合った人材、抜きん出た人材は会社を変えながらでもうまく泳いでいけると思います。一方、そのスキルが万が一陳腐化した場合、一個人には多くが残らない可能性があります。会社であれば、人とモノが残ります。この違いはそれなりに大きいのではないか、と私は思います。

ある程度の収入が見込める

少なくとも一定以上の収入が確保できるのは確かでしょう。但し、最近は業績連動型の賞与が採用されるケースが多く、社の業績によって年収が大きくばらつくこともあります。私も年度によって年収が100万円ほどばらつきます。また、役員にでもならない限り図抜けた収入は見込めないでしょう。例えば私の会社では、役員未満の場合、最大でも年収2000万円ぐらいと言われています。これが高いか低いかは感性次第ですが、図抜けてはいないでしょう。私は収入に重要なのは継続性と考えている為、JTCの給与システムは悪くないと思います。一方、誰でも一定以上の収入が確保できるということは、前記のようなトンデモヲジサンもある程度貰っているということです。若手のうちはこの事実が非常にしんどいので、これを受け入れられるかどうかがJTC残留可否の分水嶺でしょうか。

分業化が十分に成されている

個人的には、成長環境以外ではこれが最も大きなメリットかと思います。JTCでは、例えば研究員が経理の仕事を兼ねるようなことはありません。縦割りの部門構成となっている為、個々の業務は専門化されています。JTCから規模の小さい企業に移った方が最も苦労されていたのがこの点のギャップで、中小では何でも自分でやらなければいけないので技術業務に割く時間が短い、と仰っていました。私個人としても、基本的に研究業務だけを実行していれば良い現環境は非常に心地よいです。

AIが考える「経理も研究もやる人」 つらそう

成長環境がある

箇条書きには挙げませんでしたが、私が思うJTC最大の長所は成長環境です。前記事に下記のように書きました。

JTCは多くの場合、短いスパンでキャッシュを獲得しなければ危険、という状況にはありません。つまり、走りながら社員を育成する体力はあります。その育成が上手く為されているかどうかはさておき、自分が成長を望むのであれば、それを実現する環境はあります。

JTCを救いたい その1 ~JTCの欠陥?~ 著者:わたし

 「走りながら社員を育成する体力がある」ということは、長期的なスパンで成果を評価してくれる土壌があるということです。評価者によってはそうでないこともありますが、私の周囲では、自分の基礎能力・基礎知識を高める為の提案は基本的に受け入れられます。そのため、社外の講習会や学会の聴講などは凡そ希望通りにできます。また、ある程度成果を出していれば、空いた時間に何をやっていても何も言われません。論文や参考書等を読み漁り、インプットを増やすことも可能です。更に言うと、大抵の分野は社内にスペシャリストが居るので、教えを乞うことや、繋がりのある教授に講演してもらうこともあります。このように、少なくとも研究所では、自分から動けば何とでもなる環境が整っています。
 加えて、これは私の周辺環境固有のものかもしれませんが、技術にこだわりのある方が非常に多いです。これは良し悪しで、例えば適当な内容でプレゼンをしようものなら恐ろしい勢いで炎上します。しかし、研究について相談した際には、そこまでしなくても、と思うほどに真剣に考えて下さり、有意義なアドバイスを頂けることも多いです。シンプルに優秀な方が多いということも手伝って、大いに成長の助けになっています。

まとめ

JTCの長所として、成長環境を一番に挙げたいと思います。会社によって異なるとは思いますが、インプットの機会や環境を望むのであれば、JTCも有力な選択肢の一つとなるのではないでしょうか。他にも規模や構造起因の安定性など、魅力的な部分があると思います。就活生、転職を考えている方は是非、JTCのことも調べてみてください。

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