『天気の子』観てきた話

※当然ネタバレ要素あります。自衛して。

天気の子を観てきたので感想をつらつらと書いていくよ。
ちなみにミッドナイト上映だったので、観終わってから駅前で初電を待っていたら丁度空が明るくなっていって中々エモかったよ。

肯定的な感想パート

前作の『君の名は』が大衆受けも視野に入れたクセの無いキャッチーな作りだったのに対し、こちらはよりコアな層を狙ったのかなという感じ。
視聴前にネットで『新海誠シナリオのギャルゲ』なんて感想を見たけど、確かに言いたいことはわかる。なんだったらルート分岐の選択肢が出てきそうなシーンも幾つかあった。
僕は満足できたけどこのあたりは個人の趣向の問題だろう。

総評、一言で言うと良かった。
多感な時期にゼロ年代アニメ作品や角川スニーカー文庫(主にムシウタ)で訓練を積んだ身故に、セカイ系要素やボーイミーツガールは大好物なのだ。
コードギアスの「キミを守るために、世界を壊す」なんてキャッチコピーも、当時は「やべーシスコンだなルルーシュ」なんて笑いながらも頭から離れなかったくらいには好きだ。
やっぱりいいよねボーイミーツガール。いいよねセカイ系。
インスタント感覚で世界を天秤にかけよう。
なーにが世界じゃ。世界で飯が食えるか。
たったひとりの女の子も幸せにできない世界に価値なんて無いのだ。
痔になれ。

まあ僕の中で缶コーヒーくらいの価値しか無い世界の話は置いといて、これは本当に個人の趣味趣向の話になっちゃうんだけど、異能に対する代償という要素は僕自身が創作をやる上でも絶対に外せない大事な項目だし、かなり性癖に刺さった。
力を使い過ぎて段々と存在が消えていく陽菜の姿は痛ましくもあり、美しくもあった。
そらそうよタダでビックリ人間になれるわけねーじゃん。
払うもん払わなかったら腹だって膨れませんよ。

あとはなんと言っても空が映るシーン。
これは誇張表現とかではなく本当に全部良かった。
この辺については後述。

ここから小言パート

そんなこんなで概ね満足な内容だったわけだが、やっぱり気になる点もあるわけで。
面白みのないことも書くからそういうの見たくない人は読まないでね。

先ずひとつは、夏美役の演技。
これはトレイラーが公開されたあたりでネットでも話題になっていたから、ある程度は覚悟していた。
まあ酷い。
終盤、夏美が警察に追われる帆高をカブの後ろに乗せて街を駆け抜けるシーンは爽快感もあってよかったんだけど、肝心の台詞が棒すぎて思わず笑ってしまいそうになり、唐突に現実に引き戻される感覚を何度か味わった。
没入させてくれ。頼む。
とは言うものの、個人的に目についたのはそこと「キミノソーゾードーリダヨ?」のくだりくらいだろうか。
全編通して棒演技ではあるのだが、他のシーンはまあ目を瞑ろうと思えばどうにかなる。
声優に俳優を起用した時点で自分の中のハードルが下がっている事も許せた要因かもしれない。

主人公・好敵手・黒幕といった重要キャラ全員に俳優を起用してもあのクオリティだったプロメアってやっぱり凄かったんだな。

次に、終盤の登場人物たちの処理というか立ち回りというか。
ちょっとみんな捨て身になり過ぎじゃないですかね。
帆高を助ける為にリーゼント刑事を拳で説得しにいった圭介は公務執行妨害やら傷害やら、夏美は前述の通り思いっ切り逃亡に加担しているし、元カノと今カノをデコイにして脱走した凪くんも順当に行けば保護観察だろう。
帆高が警察署を脱走するのはまあわかる。倫理観で考えたら全くわからないが物語としてはまあわかる。大好きな女の子を取り戻す為捨て身になるのはお話として美味しいし。
しかし一宿一飯どころじゃなく世話になった圭介に銃を向けるのは流石にやり過ぎでは?そんなところで序盤に捨てた銃の伏線を回収しなくていい。
その圭介もなんだかんだで帆高に感化されてしまうし。
会いたい人に会えない辛さをよく理解しているからこそ最後の最後で協力したんだろうけど、あんた数秒前そいつに実銃向けられてたんだぞ。
同情や友愛もあるとはいえ、他人の恋の為に結構あっさり己の人生を擲ってしまう人たちばっかりで正直ちょっと恐怖すらあった。

はい、小言終わり。

新海作品って空が綺麗だよね

正直そんなに詳しい訳ではないんだけど、新海作品は『空』『ボーイミーツガール』『セカイ系』といった要素が色濃いように思う。
ほしのこえ君の名はなどは言わずもがな、秒速5センチメートルはセカイ系の要素は薄い(ゼロ年代の作品を揶揄する意味としてはセカイ系に当てはまっているかもしれない)けれども、なんとも後味の悪いボーイミーツガールって感じだった。
ラストシーン付近のとても綺麗な青空が僕のやるせなさを時速50キロメートルくらいまで加速させたのは未だに忘れない。

天気の子も例に漏れず、綺麗な空は勿論、印象的なボーイミーツガール要素もあり、『ひとりの少女をとるか、世界の青空をとるか』なんて二者択一を迫られたりするセカイ系的な要素もある。
まあ二者択一と言っても帆高は最初から世界なんてどうでもよくて、清々しいほどに陽菜さん一直線で迷いなんて微塵も無いんだけどね。
おじさんには眩しい。

閑話休題。

僕にとって新海作品は、前述した3つのイメージの中でも特にのイメージが強い。
作品全てを見たわけじゃないけど、僕が見た作品はどれも綺麗な空が描写されていて並々ならぬ拘りを感じる。
今作はタイトルを見ても分かる通り、天気がテーマにあるので様々な表情の空が出てくる。
街を覆う重苦しい曇り空や、僅かな雲の隙間から広がる陽光、澄み渡るような晴天など、美しい空が何度も出てきては心を揺さぶってくる。
雨の表現も凄く綺麗だった。

繰り返しになるけど空が映るシーンは全部良かった。
なんだったら半分くらいは空が見たくて作品を追っているのかもしれない。
それくらい、新海作品が表現する空が好きだ。


想定より長くなってしまった。
終わり。

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