見出し画像

恋愛の百人一首

13番歌
筑波嶺の 峰より落つるみなの川
恋ぞ積もりて 淵となりぬる /猿丸太夫

◇筑波嶺の峰から流れ落ちるみなの川が積もり積もって深い淵となるように、私の恋心も深くなるばかりです。

14番歌
陸奥の しのぶもちずりたれゆゑに
乱れそめにし われならなくに/河原左大臣

◇陸奥産のしのぶずりの乱れ模様のように私の心も乱れているのは、他ならぬ貴方のせいなのです。

20番歌
わびぬれば 今はたおなじ難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ/元良親王

◇こうして思い悩んでいる今となっては同じこと、難波の澪標のように、この身を滅ぼしても貴方に逢いたいのです。

38番歌
忘らるる 身をば思はず誓ひてし
人の命の惜しくもあるかな/右近

◇貴方に忘れられる私の辛さは何とも思いません。ただ、神に誓った貴方の命が神罰によって失われてしまうのではないかと、惜しく思われてなりません。

39番歌
浅茅生の 小野の篠原しのぶれど
あまりてなどか人の恋しき/参議等

◇浅茅の生えた小野の篠原、その「しの」のように貴方への思いを忍び堪えているけれど、忍びきれません。なぜこんなに恋しいのでしょう。

40番歌
しのぶれど 色に出でにけりわが恋は
ものや思ふと人の問ふまで/平兼盛

◇忍び堪えていたけれど、とうとうその素振りに出てしまいました。何か物思いしているのですか、と人が尋ねる程に。

43番歌
逢ひみての のちの心にくらぶれば
昔は物を思はざりけり/言中納言敦忠

◇貴方に逢ってからの苦しい恋心に比べれば、昔の恋心の苦しみなどは、何も物思いなどしてなかったも同じようなものです。

53番歌
嘆きつつ ひとり寝る夜の明くる間は
いかに久しきものとかは知る/藤原道綱母

◇貴方が居ないのを嘆きながら寝る、夜が明けるまでの時間がどれほど長いものか、貴方はお分かりにならないでしょう。

63番歌
今はただ 思ひ絶えなむとばかりを
人づてならで言ふよしもがな/左京大夫道雅

◇今となっては、ただ諦めますという一言だけを、せめて人づてではなく、直接逢って言う術があってほしいのです。

89番歌
玉の緒よ 絶えなば絶えねながらへば
しのぶることの弱りもぞする/式子内親王

◇私の命よ、絶えるならばいっそ絶えてしまってください。このまま生きながらえていると、耐え忍ぶ力が弱って人に知られてしまうので。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?