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『走り抜ける師』 十二月十一日


隣にピアノ

みんな好き好きに

話しかけてくれないけど無視ではない

基本気に気にしてるのが伝わってきちゃう

自分のままでさえいられたら?

自分を探しに行かなくても 

ひとりだって大丈夫

全部今ここにあるから大丈夫

でも寂しいも辛いも悲しいもあるものもあるよ

だから多分絶対とは言えないけど

多分まずここに来れば自分の望むものに出会うことができるはず

それが喧嘩であれ不快感であれなんであれ

だから自分が自分じゃなくなったときに

ここに来ると面白いことが起こるよ

例えばここに一例を

変なおじさんに絡まれて

怒鳴られて言い返してを繰り返して

いつの間にか時が過ぎて三千年

日本語の源へと漂流して

「ずいぶん遠いとこまできたんですね?」

「お前それ本気で言ってるのか?」

「もちろんそんなわけないじゃないですか挨拶です」

「お前の冗談は本当にわかりづらいから説明を省いてもっと感じさせろ」

「好きなように自分の冗談を展開して何がいけないんですか?」

「別にあんたの自由だからそこは好きにすればいいけど俺はそれは好きじゃない」

「じゃぁ試しに冗談言ってみてくださいよ」

「いいですよ」

って

ここで平気で面白いもつまらないも関係ないことを展開する

そういうコミュニケーションがあなたを待っているはず

既に裸足で逃げ出したい位面倒臭い笑笑

大切なのはギャグが面白いかどうかではなく

そのギャグと一緒にいるかどうか

そのギャグをいとおしいと思えるかどうか

小学生のようなあなたのギャグが好きだった

それは今も変わらない好きだよ

どうかずっと変わらないでそのままでいてください

なんて絶対に過去形になんかするもんか

推敲なんてクソくらえ

今のはギャグですすみません

失礼にもほどがありますからそれはいけないと思います

そういう塩梅を学びながら

時間をかけて何かがゆっくり変わっていく

多分いつか僕は政治家になります

いやもうすでに政治活動を始めています

具体的には河原に行って動植物の言葉が理解できるようになりました

いきなり入口で私の演説をアウトにしないでください

と自分で自分をアウトで連打しながら街をさまよっていたあの時

ここに行けばピアノがあって

どんなことをピアノでしゃべっても

団地の軒下のピアノが美しい音色に変えてくれた

誰にも言えない恋心も

誰にも言えない怒りも悲しみも

ただピアノが真っ直ぐに聴いてくれた

ただピアノが透明でいてくれている

 

 

ピアノの名前をポエムと呼ぶ

誰かを好きになる意味が今わかったよ

ここからは推敲も何も関係ない即興朗読の説明です

誰かを好きになると言う事は

相手が透明なピアノで

自分が透明なピアノになってて

その響きに感動すること

その間で作り換えられる音にハマること

同じ歌手の同じアルバムを聴き続けるみたいに

それならバンドを組んで即興でずっと変わり続けようと思うみたいに

あなたと一緒にいることが音楽だった

あなたの透明を通過した私の色が私を変えていく

あなたの色を通過した透明が私を変えて行く

人を好きになること

好きだなと思う理由や感覚

人間という名の秘密を

全部言葉にしたい病に犯され

今も詩人としてここにあるけど

もうすぐ卒業できそうな気がしてきた

 

私が私になる時

詩と世界の誤差がなくなる





僕が僕のプロでいるために使わせて頂きます。同じ空のしたにいるあなたの幸せにつながる何かを模索し、つくりつづけます。