遠野-花巻紀行2023_3日目 宮沢賢治
3日目-マルカンデパートへ
3日目のKanaさんは若干怒っていた。昨日、牛の博物館に行ったのに、乳製品にありつけなかったことに。そして、晩御飯も朝ごはんも若干量が少なかったことに(ちなみに、大沢温泉の朝ごはんの「白米のうまさ」はびっくりした。大きな釜で炊いているのだろうな。。。)
思わず花巻駅に向かう送迎バスで、「花巻 ソフトクリーム」とか検索してみると。予想外にすごいのが出てきた。しかも、全部同じ製品。どこ、ここ駅前?
…場所は…マルカンビル。花巻駅から徒歩1.2km。もうね。いくらでも歩きますよ。僕は。初日11km、2日目は12km歩いてるんですよ。1kmなんてちょこざいですよ。(今回本当に一人旅でよかった…と思いながら。)
マルカンビルが開く11時にはあと30分もありますしね。
駅前で、花巻駅軽便鉄道駅舎跡をみて「そういえば、賢治って花巻が生まれで軽便鉄道や羅須地人会は有名だけど、生家とか聞いたことないなぁ。」とか思いながら、マルカンビルに向けて歩き出したのですが、そこで目ざとく看板を見つけるのがKanaさんですよ。
花巻は、イギリス海岸の往復しかしたことなかったけど、ひょっとして昔の中心部はマルカンデパートがあった方面なのかしら?急に賢治関連の看板を見つけて、さらに…そばにある賢治関連マップを見ると…
そして、右下に、賢治の生家を発見!!!!しかも、今目指しているマルカンビルのすぐ裏じゃん!!スリザリンに+100点ですよ!!!
彼方にマルカンビルが見えてきました。ビルの少ない土地で目立つ圧倒的存在感。昔は相当なものだったのでしょうね。
それにしても、上階にずらりと並ぶ食堂の窓が期待値をあげます。
そんなわけで賢治の生家跡にも寄ることができました。賢治の生家跡は、いまでも、宮沢家の方がお住まいだけど、昔の面影などはないので、立ち入らないでくださいとのこと。なるほど。それは配慮しなくてはいけませんね。
(※ちなみに今のお宅も情緒があって素敵でした)
3日目-マルカンデパート大食堂のソフトクリーム
賢治のウチからぐるっとまわれば、マルカンデパート。さて、上の大食堂に向かいますよ…。と何気なく見たエレベーターのボタンが実に悲しい。。。
入口で食券を買うところから始まり、自由に席を取ってから、フロアのあちこちにいるウェイトレスさんに、食券を渡す。東京では見ることのできない、フロア全てが客席の昔のデパート最上階の大食堂感。
ソフトも大変おいしかった。コーヒーのおかげで、キーンってならないし。
コーヒーのスプーンで、ソフトをすくえて一石二鳥
…だけど…、
奥の席の出張らしきサラリーマンが、ちゃんぽんと、ソフトクリームを一緒に頼んで(食券制なので、容赦無く来る)ちゃんぽん食べ始めたタイミングでソフトが来て、普通に食べてても暑くて溶けるの早かったから、サラリーマン、まず、必死でちゃんぽん食べつくそうとして無理〜となり。ソフトが溶け始めたので、そっちも食べなくてはならず、すごいスピードで両方一辺に食べることになってしまった。それが延々目に入ってくる。うう…辛い…。
3日目-マルカンデパートから花巻駅に戻る
さて、ソフトを食べながら時計を気にしつつ。30分後に花巻駅から、バスが出発します。また、45分後に花巻駅から新花巻に向けて、電車が出発します。
1、バスならば直接、宮沢賢治記念館のバス停に停まります。
2、電車なら、新花巻でおりて、新幹線の駅でロッカーに荷物を預けて、身軽になって20分ほど歩くと宮沢賢治記念館にたどり着くことができます。…どちらを選ぼうか。
この旅最後の大きな二択です。
Kanaさんの選択、今から歩き始めて、バスに間に合ったらバスに乗る。バスに間に合わなかったら電車に乗る。どっちにしろ20分かけて駅まで戻るのだから。そして昨日のような愚かなミスはしない。
…いっそマルカンデパートまでバスが来てくれればいいのに…。繁華街なのに。とぶつぶつ言いながら、駅に向けて歩く。(←死亡フラグ)
翌週大きなお祭りを控えているらしく、各町会で巨大な山車が作られてるのすごいな。1週間ずらしておくべきだったか。いや、だから今週がすいてるのかもしれない。すごい祭りになることは想像に難くない。
駅までの道を歩いているとめっちゃ気になるお団子屋さんを発見。佇まいがいい。看板の色がいい。ソフトクリームで体が甘さで飽和してなければ買うのに…涙。
(検索したら、中から黒蜜が飛び出すお団子って書かれていて、ジョジョリオンを思い出した。)
唐突にあらわれる銀河鉄道の文字。このお団子屋さん…。ジョバンニが通ってた活版印刷所のモデルの跡地なの!!?こんなところに、ジョバンニの痕跡が!!?こんなに適当に歩いてぶつかるものなの?(+100点)
つまりは、春と修羅は、ここで刷られたのか。いや。この道歩いて本当によかった。
3日目-バスで宮沢賢治記念館へ
バスの到着より3分早く着いてしまったので、そのままバスに乗ることに。
荷物は重いけど、もう、あまり歩きたくない。
そしたら、まさか、今乗り込んだバスが…。今歩いてきた道に沿って戻っていき、マルカンデパートの前を通り過ぎたのですよ。
え、なんのために駅前まで20分かけて戻ったの??5マス戻るみたいなやつ??路線にまでは気が付かなかった…悔しい(-50点)(歩いたから活版印刷跡を見れたことは別にしてなんか辛い…)
バスから流れる景色を見ていると、至る所に、賢治に関するイベントや、モチーフのモニュメントがあって、一人の人間のその土地に対する思いや思想、イマジネーションが、100年経って、逆に土地のブランドになり、日常に根付き地名にまでなるの。ある意味、この土地の神様のようだなと。
遠野で強く感じたけれど、形のないものへの信仰というものが、身近にある土地なのかもしれない。(新しく生まれていくという意味で)
3日目-宮沢賢治イーハトーブ館
さて、宮沢賢治記念館のバス停で、降りる時、運転手さんがおもむろに「このチケットがあれば、5つの施設で入館が無料になります。」とバス利用者の施設優待券なるものをくれました。まさかのバスで来て大正解!!
なんだろう。ジョバンニの緑のキップのような嬉しさ。幻想第四次までいけちゃう?バスを選んで大正解!(+70点)
バスを降りて、まずはイーハトーブ館へ。
ここでは、ますむらひろしが今描いている「銀河鉄道の夜」の漫画の複製原稿を置いているとのことだったが…(以下オタク特有の早口
わたしが、最初にますむらひろしの漫画の「銀河鉄道の夜」を、アニメーション映画として見たのは子供の頃である。
高校の頃はMOEで彼のアタゴオルシリーズを愛読していた。
彼が描いた宮沢賢治の作品を漫画にしたシリーズの愛蔵版も持っていた。(人に貸して返った来なかった。)
しかたなく銀河鉄道の夜の新旧版の漫画は新たに買い直した。
そして今、ますむらひろしが描いているのは、3回目の漫画化、最新の賢治研究の考察と、賢治自身が没にした部分なども含めて、初期版、後期版、組み合わせて、描いている。その最新の重要な考察点をいくつかピックアップしてパネル展示しているのだ。これはただの複製原画展ではなく、最新の銀河鉄道の夜の研究発表の展示会なのだ(←オタク特有の早口
一通り、反芻しながら会場を一周する。同意できる理論と、同意できない理論が同居する。読者の数だけ解釈が変わる。それが銀河鉄道の夜。
そして、ショップには、『「銀河鉄道の夜」の原稿のすべて』…。欲しい。でもすぐに活用できないから、ここは涙を飲んで諦める。(←復活フラグ
3日目-宮沢賢治記念館へ
そしてお隣の宮沢賢治記念館へ…。近道の階段。367段。雨が降っているので、屋根付きなのはありがたいのだが。
記念館にたどり着くと、最高に奇跡的なことに、宮沢賢治記念館の特別展が「銀河鉄道の夜」(+200点)
改めて、この時代ごとの膨大な研究が、愛されてる証拠だなと、実感できるわけで。
ところで、さらっと記されていたが、受付でこの特別展の冊子を配っているらしいのだ。受付に行っても、それらしい表記がなかったので、お姉さんに「銀河鉄道の夜の冊子を…」というと、カウンターの裏からすっと取り出して「これですね」とニコっと渡された。…秘密の書類を受け取ったような高揚感だ。(+200点)
これは、裏クエストクリアのような。嬉しさがある。先ほど買わなかった本の要約版みたいな感じで、こんなものをいただいて感無量。
3日目-旅の終わり
さて、予定していたクエストは全て、終えた。頑張った。あとは、バスを待って、新花巻でバスを降りて、切符を購入して東北新幹線に飛び乗るだけだ。10分の猶予があるので、問題ないはず。
…先生…バスが…時間通りに来ません。バスが新花巻に到着した1分後に新幹線が出発する形になり。そこから1時間、新幹線はない。切符を買おうと思ったら、もう発券機に、その新幹線は表示されず。目の前で発車してゆく。このギリギリの悔しさは一体(-30点)
駅に立ち尽くしていても仕方ない。落ち着ける場所を探す。近くの農協がやってるお土産屋さんと、その2階の山猫軒(分館)があるとのこと。200m歩くのも辛くなっている。
そして、食べていなかったお昼ご飯を食べる。遠野に来て最初のご飯もカレー。花巻を去る最後の食事もカレー。
1時間後の新幹線にのり、無事帰路へ。ちょっと出発早すぎたかなと思ったけど、もう次の新幹線がほぼないのだ。
旅のまとめ-最後に
さて、旅をまとめてみよう
歩行距離、
初日:11.7km(レンタサイクル歩行換算含)
2日目:12km
3日目:7.5km
…3日合計…30.7km
そんなつもりじゃなかったんだ。もっと緩く各地を回って、ゆったりサイクリングをして、ゆっくり温泉につかって…。
それでも、今回は旅の目的は全てコンプリートしたので、
あとはどうやれば、気心しれた仲間とゆったりと回れるかを研究して次回に活かすべきではないか。(無理じゃない?)
そういえば、現実世界で、宮沢賢治や古い温泉や、遠野が好きな友人や恋人には出会えたことはないなぁ。と。私は、好きな場所にいっぱい行けて幸せでも、興味なくそれに付き合ってくれる人は、楽しくないかもしれない。
そういう意味で、一人旅というのは、自分が好きな場所を、自分と一緒に、巡る旅なのだろうなぁと。今回は思ったのでした。
誰かと行くことで、違う視点の発見もあるかもしれない。誰かと一緒に行くことで、感動を分かち合えるかもしれない。
でも、一人で行くことで、無理な行程が許される。気分で予定を変えられる。そのトレードオフは永遠の課題なのだろうな。でも次は誰かと行きたいな。
オチ:今回旅の予定を早めたのだけど、1週間後に、自分が推す、アーティストが、遠野花巻紀行をしていて、ちょっと嬉しくなった。…この季節に「遠野物語と呪術展」を目指して、遠野に旅立つ人間は、多分みんな仲間だ。身近にはいなくても、同じような気持ちで旅を楽しんでいる仲間はいっぱいいるのだ。
おしまい。
参考資料:旅の内訳。…半分が交通費だったりする。
オチ:旅の点数つけてたのどうなったの?というツッコミはですね。。。あれは気分の上下の表現でして、ほら…合算はやめておこうよ…。それが幸せというものだよ…。(←計算結果がマイナスだったりしたら、悲しいじゃない、ということに気づいたらしい)
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
あなたの旅の参考になりますように。
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