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「8時間マシーン」「4時間マシーン」と呼ばれた私が、とある企業の採用担当になるまで



「4時間マシーンも休憩取ってやんないとキツイんだなー、油差す時間いるってことだな(笑)」

「4時間くらい集中して働いてほしいんだけど(笑)あ、出来ないから4時間マシーンか(笑)」


「お前の仕事はソイツら使うことなんだからさ。分かってる?自分の仕事。操縦士だから(笑)」

「お前、なんで今日2回もトイレ行ってんの?誰かに報告した?8時間マシーンのくせに、自分のやるべき事やってんの?今日の予算未達なの誰のせいなの?お前だろ?ソコで外に向かって自分のせいですって唱和しろよ(激昂)」


あーーーーー今思い出してもムカつく!マジ!!ムカつくーーーー!!!





自分でも嘘みたいだなぁと思うし、文字に起こしてみて今さらながら信じられない気持ちにもなりますが、私は新卒3〜4年目の頃、当時の上司にこのような言葉を浴びせられながら働いていました。

身バレしないようにはしてますが、ほぼ言われた通り、原文のままです。

平成末期、正社員として新卒入社した会社で出会った、私より10歳くらい年上の男性でした。

今思い出しても、ハラワタが煮えくり返る思いです!!!!!

最低最悪な人だと思うし、思い出してもいい気持ちにならないのであまり振り返りたくもないのですが、


■自分は一体どんな仕事がしたいのか
■何のために働くのか


悔しいけれど、この時の経験が仕事に対する意識や、その後の自分のキャリアについて考えるきっかけとなったのも、また事実なのです。


上司から8時間マシーンと呼ばれ、4時間マシーンの操縦士だと揶揄されながら働いた店舗勤務の私が、
とある企業の採用担当になるまでに考えたことや実行したこと、そしてこれからの自分自身へ約束したいことをまとめたいと思います。


◇前職での私の仕事、私が一番つらかったこと



少し長くなりますが、前提として。


私の前職は冒頭で書き記した通り、小売業の店舗社員です。商品がなくなったら陳列して、レジを打ったり接客する「おみせやさん」です。正社員として全国転勤で働いていました。

7年勤めて、私自身は6回転勤しました。そのような環境だったので、周囲も含めて、上司や同僚が変わるのは日常茶飯事でした。

だから、冒頭に書いたような上司からの理不尽な激昂も、物を投げられたり、1日のトイレの回数を数えられたりしたことも、



■私自身か、上司の転勤が決まるまでのこと
■一生は続かないこと
■いつか終わること


として、あーハズレの上司だ、と半分諦めていました。
(ここは当時の私にとって3店舗目で、5人目の上司だったのです。)



この人以前も以降も、これまでに出会った上司は大概が変わった人たちでしたが、後にも先にも、彼ほどに感情的な人には会ったことがありません。


理不尽な扱いも、いつか終わることとして諦めていた私にとって、私自身への攻撃はそこまで大きなダメージではなかったのですが、

そんな私が一番つらかったことは、一緒に働くパートアルバイトさんたちへの「4時間マシーン」という暴言でした。


そしてその時感じた怒りや、自分自身への羞恥の心が、いまに至るまでの私の原動力になっていると思うのです。



◇そもそも働くって、



そもそも、人はなぜ働くのでしょうか?

お金のため?
家族のため?
夢のため?


人それぞれ、色々な理由があると思いますが、そもそも私は、新卒で入社したこの会社も、全国転勤という働き方も、第一志望ではありませんでした。



なんとなく地元が好きだったし、親を喜ばせたかったし、当時地元に恋人もいたし、新卒時は地元の企業や、いわゆる一般職のような転勤がない職種の選考ばかり受けていました。

そして、ことごとく落ちました。


業界研究も甘かったし、自分のことを全然理解できていなかったので、いま考えると当然の結果だと思います。


そんな時に受講した、とある新卒向けの就活セミナーで聞いた
「自分がやりたいことと、自分の適性は違う」
という言葉に、すがるような気持ちでエントリーしたのが前職の会社だったのです。


「自分がやりたいことと、自分の適性は違う」、確かにそうだと思います。


働きたい場所も、働き方も、業種や職種も何もかも叶いませんでしたが、小売の仕事は私の性に合っていたと思います。

元々やりたかったことではないけれど、嫌々でもやってるうちに目標はできましたし、目標を達成すればボーナスの額にもダイレクトに繋がります。
会社からの目先の評価はやりがいにもなりました。


全国転勤という働き方も、ずっとココで働くわけじゃないから何かあってもリセットできると、すごく気楽に働けました。


だから、嫌われてもいいと思って、会社から与えられた目標数値達成のために、パートアルバイトさんたちへ無理なお願いも言ってきました。


完全に、自分本位、会社本位で仕事をしていたと思います。
そして想像力が欠如していました。



自分自身が「8時間マシーン」となじられて初めて、私自身も、パートアルバイトさんたちのことを何かの駒や、ピースの一つのように扱ってきたことに気付いたのです。




浅はかだった自分への羞恥心と、仮にも部下である私や、こちらが面接をして採用したであろう人たちを、人ではなくマシーン呼ばわりする上司に少しでも抵抗したい気持ちから、

私はパートアルバイトさんを新規で面接する際、必ず相手の夢や目標を聴き、そして企業としての目標や、私個人の夢を共有するようになったのです。


◇私が見つけた、一番叶えたい夢


もちろん、新規で採用する人たちだけではなく、すでに雇用しているパートアルバイトさんたちにも、時間をかけてこの「夢や目標の共有」を行いました。



■どうしてこんな作業が発生するのか
■この作業は企業理念のどの部分に繋がっているのか
■店舗とお客様にはどんな利益があるのか

■そして、あなたの夢や私の目標に、どのように影響するのか………


上記を行うために、私自身も、自分の夢や目標について改めて考えました。何せ、まったく志望していなかった仕事なのですから。

■いま売っている商品を自分で手掛けてみたい?
■店長になってみたい??
■それとも???

よーく、よーーーーく考えてみると、答えはすごくシンプルで、遠い未来の話ではありませんでした。



「私が転勤でいなくなっても、この地域での雇用が守られ、みんなが楽しく働き続けられること」



これが私の一番叶えたい夢だったのです。



◇やっと見つけた働く理由、やりたい仕事


パートアルバイトさんたちからすると、私はウザかっただろうなと思います。

実際に「ウゼーよ」と言われたこともありますし、面接中に怪訝な顔をされたこともありました。

けれど、恥ずかしそうに将来の夢を教えてくれたり、家庭の事情や個人としての目標を打ち明けてくれた方たちを採用し、
企業目標と、各々の夢や目標の両方を叶えるために働くことは、とても気持ちのよいことでした。



それに、私が見つけた一番叶えたい夢は、自分が転勤になる度、より強い目標となっていきました。


だから、その後の全ての転勤先でも面接時の方針は変えず、私は既存のパートアルバイトさんたちへの「夢や目標の共有」を徹底的に行いました。

会社から見れば、私が時間をかけて行ったことは、どうってことはなかったと思います。


商品の陳列方法を工夫してみたり、
在庫量を調整するような、お客様への直接的な売上対策(=CS)ではなく、
そこにいる人たちへの働きかけ(=ES)、ただそれだけのことです。

けれど結果的に、働く人をマシーンに例えた上司への反抗心から始めたこの取り組みは、
どの地方の、どの店舗においても、
売上の向上や接客の質の向上、そしてパートアルバイトの定着率向上に繋がりました。

先のきっかけの後だけでも、延べ百数十人の面接と、数百人のパートアルバイトさんたちの教育業務に携わり、


■手を入れれば入れるだけ変化が生じる「ヒト」って面白いな
■もっと色んな「ヒト」に出会いたいな


■楽しく働けるような雇用の場をもっと生み出したいな

と思い始めた頃、縁があって、現在のとある企業の採用担当の仕事に転職が決まりました。


◇未来の私と約束したいこと


さて、以上が「8時間マシーン」「4時間マシーン」と上司に揶揄されながら働いていた店舗勤務の私が、とある企業の採用担当になるまでの経緯となります。

ここまで読んでいただいて、


綺麗事だな

と思われた方はたくさんいらっしゃると思います。私もそう思います。

組織に属している限り、ピースの一つとして機械的に判断・行動しなければならない場面は、たくさんあります。


でも、同じ「働く」でも、ただ与えられた仕事をこなすだけの時間にするのではなく、

今日のこの8時間・4時間を、組織のために働きながら、いかに自分のための時間にするのか考えながら動く
方が、絶対に楽しい、と私は思うのです。


そんな思いに共感してくれる人たちの雇用の場を、全国で生み出すこと。


それが、今の私が自分の一日のうちの8時間をかけてでもやりたいことです。


そして、すべての出会いが積み重なって、いつか「この仕事が天職だ」と言えるように、

一人一人との出会いを大切にすること

を、未来の私に約束したいと思います。

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