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星の王子さま 4章

 とにかく、大人は数字が好きなのです。
数字という「外側」外見が全てなら
人里から1000マイル離れた砂漠に一人いるのと
変わりはない。大洋を筏で難破して漂う人よりも孤独。
星の王子さまがいたことの証明が、主観的なことは自分に正直な証
幸福のありかを示している証拠だと、ものごとの内側の大切さが語られる。
            ★ ★ ★
 こうして、わたしはとても大事な2番目のことが分かったのでした。この人の星自体が一軒の家くらいの大きさしかなかったのでした。
そのことで、わたしはそんなに驚きませんでした。地球や木星、金星以外にも名前の付いたものがあって、余りに小さい星なので望遠鏡で見つけられないものが数百もあることを知っていたからです。天文学者がそれらの一つを発見したときは、ゼロと名付けます。例えば、アストロイド3251星と言うようにです。(Pour nom un zero 名前の代わりにzeroを与える。)


星の王子さまがやってきた星がアストロイドB612だと、わたしが思うにはちゃんとしたわけがあります。

この星は1909年に、トルコの天文学者によって一度しか発見されたことがありません。そこで、この人は国際天文学会議でこの発見を発表しました。でも、この人の服装のせいで誰ひとりとして信じなかったのです。大人たちってこんな風なのです。

アストロイドB612の評判にとっては、幸いなことに、トルコの独裁者がヨーロッパ風の服装をしないと死刑にするとしました。1920年にその天文学者がもう一度発表することにしました。とても、上品な服を着てです。すると、今度は全員が彼の意見に賛成したのでした。

こうしてアストロイドB612の事を細かく言ったり、数字の事を打ち明けたりするのは、大人たちのやりかたにその訳があります。とにかく大人というものは数字が好きなのです。新しい友達について話すときにも、肝心なことを聞くということは決してありません。
「その人の声色はどんな感じ?」
「どんな遊びが好き?」
「蝶のコレクションとかしてない?」
大人たちはこんな風には尋ねません。
その代わりにこんな風に言います。
「何才なの? 」
「兄弟は何人いるの?」とか
「お金持ちか?」
「その人のお父さんの給料は?」
大人たちは、そんな事で人が分かったつもりになっている。
あなたなら、大人にこんな風に言うところなのにね。
「バラ色の煉瓦の素敵な家で、窓にはゼラニュームがあって、屋根には鳩が止まっていたよ。」
でも、大人たちにはこんな風に言わないと分からないのね。
「百万フランもする家をみたよ。」
すると、大人たちはこう言うのです。
「なんて素敵な家でしょう!」
「星の王子さまがいたことの証明。それは、あの人がうっとりするほど美しかったこと。そして、ひつじを一頭欲しがっていたこと。羊が欲しいと思ったらそれが、あの人がいたという証明なのです。」こんな風に大人たちに言ったら、肩をすくめて、あなたを子ども扱いするでしょう! けれども、「あの人はアストロイドB612から来ました。」と、こんな風に言えば、大人たちは気に入って、あなたに質問などしなくなるでしょう。
大人たちってそんなものなのです。うらんではいけません。子供たちは大人たちには寛容でなくてはなりません。
でも、生きることを理解しているわたしたちには、数字なんてどうでも良いことなんだよ!わたしはこの物語を、昔話のように始めたかったのです。わたしはこんな風にお話ししたかった。
むかし、あるところに、一人のちいさな王子がいました。住んでいるところはこの人よりも一回りの大きさの星で友達を探していました。
人生を理解している人たちにとっては、このほうが、より真実らしかったでしょう。
というのも、わたしは気軽にはこの本を読んで欲しくはなかったからです。この人との思い出に触れると、とても悲しくなるからです。あの人が、羊と一緒に行ってしまってもう6年にもなるのです。わたしがここで友だちについて書くのは、忘れないようにする為なのです。友だちを忘れるなんて悲しいです。誰もが友だちを持っているのではありません。

そう言うわけで、わたしは数字以外には興味がないような大人になっていった。そこで、色鉛筆をひと箱買ったわけです。6才の時に、ウワバミの外側と内側しか描いたことが無いような人が、この年で他の他の絵など描いたことが無いような人が、わたしの年で、また絵を描くのは厳しいことです。
もちろん、わたしはできるだけ似るように描いてはみました。
でも、うまく描けたとは言えない。一枚はうまく行ったけれど他のはあまり似ていない。星の王子さまの身長はちょっとごまかしている。絵では星の王子さまをとっても大きく描いています。彼の星ではとても小さいのです。彼の服の色についても戸惑いました。そこで可もなく不可もなく、手探りしたのです。そういうことで、結局、重要なところはあまり確かではないでしょう。けれども、そう言うことについては、許してはいけない。星の王子さまは、どうあっても説明ということをしなかった。多分彼はわたしを彼自身に似ていると思っていたのかも知れません。
不幸なことには、わたしにはあの羊の箱をとおして羊を見ることはできません。わたしももしかして大人たちに似てきたのかも知れません。
わたしも年をとる運命にある。

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