「短歌人」2020年8月号 20代・30代会員競詠

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外の雨に耳から先に目が覚めて近く遠くぶつかるつぶ
UFOをみたのは冬で十二歳アパートの外階段のした
タバスコの緑のびんが食堂に緑のかげを作る 毎日
金色の心の人と話し合う逆算はしすぎるとあぶない
話してるあなたと私たのしそう壁が鏡になっている店
三十六歳ベストとベターが渾然となってきて生活も変わる
重力に逆らいながらタピオカがいくつもいくつも梅雨を通った
何が返ってくるとしたって早くても数秒後、数秒後は未来
ベンチの使用禁じられると座るのに良さそうな石の輝きが増す
女王は九十四で乗馬する 写真を明け方に受信した

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「短歌人」2020年8月号の「20代・30代会員競詠」にて掲載された、無題の10首。
このうちの9首目を「歌壇」2020年12月号の「二〇二〇年のベスト百首——十人十首選」という特集で石川美南さん選で採っていただいてうれしかった。今年は公私ともに厳しいイベントが多く、最悪の時間もあったのだけど、そのなかで作った歌が人の目に映った(と確かに知ることができた)のは、ごほうびのようなことだった。

UFOをみたのは本当。友達と一緒にみた。

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