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てれび

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#広瀬すず

丁寧に生きても、上手くいかないことはある。「夕暮れに、手をつなぐ」の真実。

丁寧に生きても、上手くいかないことはある。「夕暮れに、手をつなぐ」の真実。

 丁寧に生きても、上手くいかないことはある。

 「夕暮れに、手をつなぐ」は、この真実を、深刻ぶらずに、人肌のぬくもりで紡いでいるドラマである。とりあえず第三話までは、そのように描かれている。今後、変わっていく可能性はあるが、生きるということの残酷さに、決して残酷には映らない筆致で迫っていく肌ざわりは、おそらくキープされるだろう。

 学生時代から付き合っていた婚約者にフラれた九州育ちの女性と、東

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夕暮れに、手をつなぐ。side音

夕暮れに、手をつなぐ。side音

音を謎の人物として捉えると、このドラマの位相は大きく変わってくる。

音は積極性に欠ける人物として描かれていた。どこか受け身で、だからセイラの存在も受け入れた。
創作に対しては頑固かもしれないが、彼は誰に対しても優しい。セイラにも。磯部真紀子にも。響子には従順で爽介には憧れていた。だが、それは本当の優しさなのだろうか。

状況が滞りなく進むことを何よりも優先しているように思える。すべてを肯定するの

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夕暮れに、手をつなぐ。side空豆

夕暮れに、手をつなぐ。side空豆

夕暮れに、手をつなぐ。

複雑で、ビターな味わいの幕切れだった。

空豆と音が積み重ねてきた轍をおもえば、ふたりは結局、ピークで結ばれることはなかったのだと気づかされる。

まわり道、ではなく、喪失。それを受け入れることで、二人は一気に老けこんでしまった。

ラストカットの空豆と音は、もはや老後。

すれ違いの代償は、邂逅のときめきをもってしても、どうにもならなかった。

お互いの諦めの上に、今が

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