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初めて平野紫耀を見た日と翌日のメモ。

「クロサギ」。第1話だけ観た。
わたしは平野紫耀に一切の先入観がない。なので直裁に語るが、かなり変わった役者で、そこが面白い。声も芝居もファニーで、二枚目じゃない。役柄的にメリハリはあるが、ダークネスもかなり浅漬け。

オリジナル「クロサギ」を演じた山下智久とは全くタイプが違う。ジャニーズの中でも異形。スタア性はほぼ封じられていて、演技アプローチはバイプレイヤー的、さらに言えば芸人が起用された時の凄みをちらつかせる。ジャックナイフのように。瞬間的に想起したのはジム・キャリー。あんな俳優は日本にはいないが平野紫耀はまさにそう。

基本的にお笑いの人が余技として見せてる芝居で、何なんだあの余裕は。冴えわたるのは(カムフラージュされた)日常描写で、普通の暮らしへの憧れをカジュアルに誤魔化す際のチャームはハンパない。ジムも母性本能くすぐる俳優だが、絶対に芝居を二枚目にしない。平野の表現エッセンスには余白がある。

おそらく演技の基盤が、普通の役者と別なところにあって、だから三浦友和と相対しても喰われることがない。友和も手加減なしで愉しんでるのがわかる。山本耕史とも互角に渡りあうだろう。何なんだ平野紫耀。アメーバ的でもあるし、グミっぽさもある。そこが生い立ち暗い詐欺師と絶妙にブレンドしてる。

ジャニーズには大抵色気があるのだが、「クロサギ」の平野には色気が漂わない。山Pなんて滴ってたし、中島健人もやっぱりイロっぽいじゃん。木村拓哉的なフェミニンもないし。かといって風間くんとか生田斗真ら演技巧者の系列とも異なる。亀梨くんみたいなスタイリッシュさでもない。何なんだ平野紫耀。



一晩寝て起きて、自分の中で氷解したことがあったので書きます。平野紫耀って、相手を二枚目にするんだよ。特に三浦友和。友和は『台風クラブ』以降ずっと個性派であろうとしてたけど本来は二枚目じゃん。その二枚目さが平野の前では出てるのよ。本気になることで本性が出てる。これは平野の「引き出す」特性だな。

船越英一郎も久しぶりにかっこいいよな。いや、あんなにかっこいい船越見たことない。親父の船越英二の面影もちらりと。あんなに情けない役なのに二枚目感出てんのよ。平野紫耀は己の色気を封印することで年上男性と対等になり、相手の本性を明るみにするクロサギ俳優なのだと思う。やっとまとまった。(完)

追記。

「クロサギ」の主人公の明るさは【演じられたもの】であるわけだけど、あの明るさが実は本性と思わせるものがあるのよ!この反転はすごい。ここがジム・キャリーなんだよ!!暗い境遇なんだけど、実は人間的には明るいんじゃないのか、あの主人公。で、おれにとっては平野紫耀も明るい俳優に映る。

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