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オセロ酔拳

10代の頃なんかは人並みにポケモンやらモンハンやら何やらはある程度通ってきたかな、と思うんですが、この頃はめっきりゲームというものをあまりやらなくなりました。周りの男の子なんかはスマホが登場してからパズドラだモンストだ、最近は馬を育てるとか任天堂Switchでどうぶつの森をやるとか。少しサブカルに傾倒している人なんかはボードゲームに興じて、最近ではボードゲーム専門のカフェなんかも出てるんですかね。そのへんは一切通らずに来ています。スマホの中にもほとんどゲームというものは入っていない。当然Switchもプレステも持っていなくて、この頃は割にゲームには疎い方なんですけどね。

それでも子ども時代から唯一続けているゲームがありまして、それがオセロです。リバーシなんて言われたりもしますが、小さいころは近所の友達とか、姉の友達とか友達のお母さんとか、世代を問わずに遊んでおりました。この頃はオセロをリアルで遊ぶ機会も随分減ってきましたから、iPhoneを使うようになってからはオセロのアプリを入れてオンライン対戦をやっています。近頃はオセロを現代風にデフォルメしたゲームアプリが出回っていますが、おれがやるのは質実剛健を地で行くシンプルなオセロゲーム。これを空いた時間にちまちまやっております。

オセロってどんなイメージです?おれも以前までは隅を取ったらだいたい勝ちなんでしょ?とか、序盤はあまり石を取らないほうが有利なんでしょ?くらいに軽く考えていたんですが、アプリを入れて何百、何千と対局を重ねるうちにどうも必ずしもそうではない、たいへん奥が深いゲームであることが分かってきました。

おれが入れているオセロのアプリは「オセロクエスト」というアプリなんですが、対局序盤に石を打つと「縦取り」とか「牛進行」とかポップアップが出てきます。何かっていうと、オセロにも囲碁・将棋なんかのように定石があるんです。虎定石とか兎定石とか、偉大な先人たちが何万・何千万とゲームをこなす中で見出した、「ここに打っておけばとりあえず不利になることはないパターン」と言いますか、特に序盤なんかは一手ごとに戦況が目まぐるしく変わりますから、ある程度間違いない場所、そう、食べログ3.5のお店を選んでおけば間違いないように、オセロにもそういう展開の仕方があって、このパターンをいくつか抑えておけば、ある程度は勝てる確率が上がるということです。

これが相当数定石として知られておりまして、三村流とか手塚システムとか、人の名前を冠しているものもあります。誰かはよくわからないんですがめっちゃオセロ強い人なんでしょうね。自分の名前が技の名前になる…シライとかイナバウアーとかと同じ世界がオセロにも広がっているのです!これめっちゃ憧れますよね。得意技に自分の名前つけてえ~!「さんしシステム」とかね。あんまり強そうじゃないですね。

ただ、ある程度以上になってくると、「定石を覚えていたもの勝ち」になってしまうというか、どこまでいっても戦況は五分のまま動かず決着がつかなってしまいますよね。そこで、ある程度は定石通りに打ちつつ、どこかで定石を外すテクニックが生まれるわけです!これによって相手に疑心暗鬼を生じさせて悪手を誘い込むという戦法なのですが、ここからゲームとしてのオセロの醍醐味が花開くというか、いつどこで定石から外れるかという駆け引きが上級者の間ではさかんに行われているということです。「覚えるのは一分、極めるのは一生」とうなぎ職人みたいな格言がありますが、オセロの魅力を端的に表しています。

オセロの華はどこにあるかというと終盤の読み合いといって差し支えないと思うんですが、先に挙げた通り隅を取ると有利とかっていうのはたいていの盤面では正です。いかに隅を抑えるかといったところで序盤~中盤の局面では駆け引きが行われるんですが、上級者になると必ずしもそうではない。敢えて隅を取らせておいて周辺の石をまとめて取るといったテクニックもまたさかんに行われており、隅を取ったからと言って必ずしも勝てるわけではないわけで、中盤まで隅を取られて一見不利な状況に自分を追い込みつつ、終盤のたたみかけで逆転勝利ということもままあるわけです。これもまたオセロにのめりこむ一要因と言えるでしょうね。オセロクエストでは一人5分の持ち時間が与えられています。終盤はこの持ち時間をふんだんに使いながらいかに自分に有利な戦況に持っていくか、勝ち筋を見出していくかといったことで、たいへんやり甲斐のある時間なわけです。

このようにオセロは親しみやすい一方でたいへん奥深く、30歳を目前にした今日のおれもまたたいへんにのめり込んでいるということなんですが、世の中的には扱いがいまひとつ不遇。その根拠として、公益財団法人 日本生産性本部が毎年発行している「レジャー白書」があります。

この中に「各種目の参加率・年間平均活動回数・年間平均費用・希望率」という項目があるんですが、たとえば余暇の時間にテレビゲームを遊んでいる人はどのくらいいるのか、とか競馬は?サウナは?とかそれぞれの遊び別にこれらの参加率等が割り出されているページになっているんですが、囲碁や将棋は独立した項目として算出されているんですが、オセロも当然一つの項目として成立しているかと思いきや、「トランプ、オセロ、花札、かるた等」と、一括りにまとめられてしまっています!日本国民の多くがルールを知っているゲームなのだから独立した項目であってもおかしくないと思うんですが、トランプとか花札とかと一緒にされているのです!マジで不遇じゃないですか。おれはこんなにのめりこんでいるのに。

それで、おれは朝の通勤電車の中とか、帰りの通勤電車、眠る前など暇な時間にやってるわけなんですが、このオセロクエスト、時間帯によって相手のレベルが大きく違うと言いますか、朝の電車や夕方の時間帯はほどよいレベル感の人が集まっていますが、夜が深くなるにつれて猛者たちが集まってくる。深夜3時の界隈なんてすごいですよ。オセロクエストは級・段が設けられていて、30級から十段くらいまであるんでしょうか、おれはいま3級なんですけど、深夜3時とかになると有段者しかいませんからね。マジで全然勝てない。勝てなくて悔しいから思わずアプリを消しちゃったりして、一時引退してしまうんですが、少し時間を空けて、数か月後とかに気が付けばアプリを再度インストールして30級からスタートするなんてことを続けてもう何年になるか。オセロは沼でございます!

20歳を超えて酒を覚えてからは酔っている時にオセロに興じることもあるわけなんですが、戦績を整理してみると酔っぱらっているときの勝率が非常によろしい!たまたまじゃないかと思いながら、オセロ以外のボードゲーム、それこそ将棋とか囲碁とかのアプリも広く出回っていますから、それらのゲームも試しにやってみるんですがこちらもまた成績がとても良い!

酔っぱらっているときは気持ちが大きくなりますよね。恋愛の面でもアグレッシブさが求められる際、お酒の力を借りるシーンというのがよくあると思うんですが、オセロはじめボードゲームにおいても同じことが言えます!酔っぱらっているときは、素面の時と比べて少し大胆な戦い方を躊躇いなく展開することができる気がします。すなわちおれは酔拳の使い手といって差し支えないと思うんですが、まさか恋愛とオセロが結びつくことがあるとはこれ書きながらさんしさん少し震えております!

で、少しオセロについて詳しく調べてみると、オセロ発祥の地はなんと日本にあって、それが茨城県の水戸市ということです。当然水戸市ではオセロを地域資産、観光資産として活用しながらまちづくりを行っているということで、まさにオセロの聖地、オセロのテーマパークと言っていいと思うんですが、オセロに深くのめりこんでいるおれは、軽率にも水戸にオセロの風を感じに行きたいという気持ちになっております!!オセロの風ってなんだよ。インターネットで調べてみると各種オセロ関連のイベントをまちおこしとしてさかんに行っているということで、巨大な盤面でオセロを楽しむといったイベント等が行われているのが確認できます。これ超やりたい。でっかいオセロ盤で4隅を取らせて大逆転勝利したら絶対気持ちいい。きっとおれは水戸に近いうちにオセロを求めに行くと思います。酔拳の使い手ですからもちろん泥酔した状態で。迷惑!そんな感じです。


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