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SusHi Tech Tokyo 2024の恐怖!

 余程参加者が少なかったのか、様々な方からSusHi Tech Tokyo 2024というイベントに招待されました。SusHiは鮨とSustainable + High techを組み合わせた造語だそうで、 #環境 #エネルギー #カーボンクレジット も重要なテーマとして取り上げられていました。私は環境・エネルギーの専門家なので、専門分野の技術をいくつかデューデリジェンスし、日本の将来はもう終わりだと悲観してしまいました。以下にその理由を説明します。

 未来の眺めが、希望から絶望に変わります。いま世界で最もトレンディーな #ピコ太郎 を宣伝に使っている『SusHi Tech Tokyo 2024』 は、持続可能な新しい価値を 生み出すためのイベントです。

DACとは

 Direct Air Capture( #DAC )は、大気中から直接 #二酸化炭素 (CO₂)を取り除く技術です。この技術は、 #地球温暖化 対策として注目されています。DACのプロセスには以下のようなステップが含まれます。

空気の吸引:大型ファンを使用して大気中の空気を吸引します。
CO₂の吸着:吸引された空気は、CO₂を選択的に吸着する化学薬品や吸着材と接触します。このプロセスで、CO₂が分離されます。
CO₂の分離と濃縮:吸着されたCO₂は、加熱や化学反応を用いて吸着材から解離され、純粋なCO₂ガスとして取り出されます。
CO₂の処理:分離されたCO₂は、地下に埋めて長期的に貯蔵したり、化学品や燃料の製造に再利用されたりします。

 DACには様々な種類がありますが、現時点で最高性能のものでも、CO₂を1トン分離するのに1200~1300 kWhの電力が必要とされています。IEAや日本政府などは、この消費電力をベースとして、様々な政策を立てています。実際には、多くの研究者がこの消費電力をもう少し下げようと努力していますが、1000 kWhを下回るのは至難の業です。以下の数字を見ると、160 kWh/t-CO₂は少なそうに見えますが、これに4.4 GJ/t-CO₂の熱が必要であり、4.4 GJは1222 kWhなので、これに160 kWhを足す必要があります。

Climeworks:アミン系固体吸収材、9.0 GJ/t‐CO2(熱)、450 kWh/t‐CO2(電力)、600 $/t‐CO2
Carbon Engineering:KOH/Ca(OH)2水溶液、5.3 GJ/t-CO2(熱)、366 kWh/t-CO2(電力)
Global Thermostat:アミン系固体吸収材、4.4 GJ/t-CO2(熱)、160 kWh/t-CO2(電力)、150 $/t‐CO2

企業名 吸収材 所要エネルギー・コスト

 石炭火力発電に最もよく使用されるのは瀝青炭です。石炭を燃やすと、炭素含量に応じて二酸化炭素(CO₂)が排出されます。一般的な瀝青炭を1トン燃焼させると、約2.4トンのCO₂が排出されます

 この数字を説明すると多くの人が驚きますが、これは小学校の理科レベルで理解できる話です。石炭は燃えると灰になるので、排出されるCO₂の重さは石炭の重さの数十分の一だと思っている人がいますが、実際には、石炭よりも石炭を燃やした際に発生するCO₂の重量の方が重いのです。

 ここで小学校の理科の説明を繰り返すと、二酸化炭素はCO₂です。1トンの炭素(C)が燃焼すると、空気中の酸素(O)が二つ付いてCO₂ができるので、燃焼前の炭素の重量よりも、燃焼後の二酸化炭素の方が重くなるのは当然です。

 従って、1トンの一般炭(瀝青炭)が燃焼すると約2.4トンのCO₂を排出します。日本の『特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令』では、一般炭が完全燃焼した際の二酸化炭素排出量は2.409トン(2.409 kg-CO₂/kg)と定められているので、この約2.4トンで間違いないでしょう。

一般炭のLHV(低位発熱量)の40%が発電できた場合の発電量

 LHV(低位発熱量)は、燃料が完全に燃焼したときに得られるエネルギー量を示します。一般的な瀝青炭のLHVは約24 MJ/kgです。これを使って発電量を計算します。

 1トン(1000 kg)の一般炭のLHVは、24 MJ/kg × 1000 kg = 24000 MJ です。1 MJは0.2778 kWhなので、24000 MJは 24000 × 0.2778 = 6667.2 kWh です。このうち、発電効率が40%の場合、実際に発電に使えるのは 6667.2 kWh × 0.40 = 2666.88 kWh となります。従って、一般炭1トンから得られる発電量は約2666.88 kWhです。

 DACでCO₂を1トン分離するのに控えめに見て1000 kWh必要だとすると、1トンの石炭から排出される2.4トンのCO₂を削減するためには2400 kWh必要ということになります。一般炭から発電できる約2667 kWhからDACに必要な電力の2400 kWhを差し引くと、227 kWhしか残りません。さらに、DACで分離したCO₂は、地底に埋めたり、水素と結合させてメタンを製造するのに莫大なエネルギーが必要となるため、石炭で発電できる電力よりも、 #CCU #CCUS で使うエネルギーの方が多いということは、実証実験をする前から明らかです。

 それなら初めから発電しない方が良いと政治家、官僚、企業の誰も気が付いていないことが驚きですが、このような研究に巨大な税金をつぎ込んだり、環境問題の切り札などと絶賛しているのが日本のマスメディアの実態です。

御用学者列伝・第二弾のテーマは…#小宮山宏・元東京大学総長?

低炭素社会戦略センター(LCS)

#武智倫太郎

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