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近未来麻雀小説(6)香港の萬田金次郎

これまでのあらすじ

#解離性同一症 #主人格 が新華強北町奉行の遠山金太郎で、 #交代人格 が『打ちの金さん』として知られている雀ゴロの率いる新華強北町奉行所の十八羅漢がマチルダたちをお縄にした。然し、お白州の公判を維持できなかったので、新華強北町百万石の『歳入(税収)』に相当する百万石を賭けて、麻将裁判所の『お白州麻将勝負』に上訴した。ところが、遠山裁判長はマチルダの【緑一色完全数】の33倍役満に振り込んで、新華強北町を財政破綻させてしまった。

年貢増徴(増税のこと)

 新華強北町の財政を一局一巡目で破綻させてしまった遠山裁判長の人工心臓は激しく鼓動し、その拍動は彼の耳鳴りと同調し、新華強北町奉行が主人格の遠山金太郎の意識は混沌とした霧の中を彷徨い始めた。彼の心は、この瞬間を逃れようと必死にもがいていた。突然、激しい頭痛と共に、脳埋込チップのE-MASK-Pentiumの内部で何かが弾けたようだった。遠山金太郎のE-MASKの奥深くから、別の声が囁き始めた。

 遠山金太郎の交代人格の『代打ちの金さん』が表れ、金太郎の混乱を鎮めようとしたが、敗北の重圧はあまりにも大きく、金太郎の精神はさらなる自己逃避を求めていた。

脳埋込チップのE-MASK-Pentiumの内部で何かが弾けた

 その時、新たな声が彼の内部で鳴り響いた。これは、今までに遠山金太郎が意識したことのない、未知の人格だった。彼は自らを『香港のミナミで金貸しをやっとる萬田金次郎っちゅうもんです。あんじょう頼みまっせ』と名乗った。

遠山金太郎の第二交代人格の萬田金次郎

 萬田金次郎は、自身が現れた理由をすぐに理解した。彼は遠山金太郎と代打ちの金さんの弱さに付け込み #トイチ (10日間で1割:単利で365%、複利なら3,142%)の金利で、新華強北町から荒稼ぎすることだ。

 遠山金太郎の心は、この三つの人格の間で引き裂かれていた。彼らは、同一の心を共有しながらも、まったく異なる存在として振舞っていた。遠山金太郎の謀略、代打ちの金さんのタカリ根性、そして萬田金次郎の強欲さが、彼の内部で複雑に絡み合い、新たな人格同士の戦いが火花を散らし、この戦いを制したのは、萬田金次郎だった。 

『麻将奉行はん、あないに簡単な #裏芸 #イカサマ のこと)見逃したらあきまへんなぁ。まぁ、遠山裁判長が判決だしてしもうたさかい、いまさら言うても仕方おまへんが、あないな技やったら、香港のミナミじぇ通用しまへんな』と、第二交代人格の萬田金次郎が、取ってつけたような関西弁で話し出した。

 麻将奉行は、遠山裁判長の第二交代人格の萬田金次郎のことなど知らないので、遠山裁判長の態度や話し方や容姿までもがこれまでとはまるで変っていることに戸惑いながら、『えっ、遠山裁判長⁉ 先ほどの一局のイカサマが見抜けたと仰っていますか?』と質問した。

『あかん、あかん。裏芸ツメるんやったら、その場でツメなあかんがな。まぁ、ワシとしては、どっちが勝ってもかましまへんのや。せやけど、新華強北町が幾ら百万石いうたかて、一発で100万PayPayポイント払わなあかんのやったら、そりゃぁ財政破綻確実でんな。麻将奉行いうたら公務員やさかい、財政破綻しよったた明日からどないして暮らして行きまんのや? 最近は電気代かて高いさかい、あんたかて充電できんかったら、あっというまにおしゃかやで』

 萬田金次郎の口車にまんまと乗せられてしまった麻将奉行は動揺してしまい『遠山裁判長、いや、遠山金太郎奉行殿には何かお考えが…?』と第二交代人格の萬田金次郎に不安げに質問した。

『あんたも、分からんやっちゃな。せやからワシは、ミナミの萬田金次郎て言うてるやないか。あんたじゃ話にならんさかい、勘定奉行はんでも呼んでおくんなはれ』

『分かりました。これから #WeChat で、勘定奉行にお繋ぎしますので少々お待ちください』

『WeChatはあかんやろ。通信内容バレバレやんか。よっしゃ、ワシがこれから #セキュア通信回線 で勘定奉行と直談判させてもらいまっせ』

 通信を受け取った勘定奉行は、『遠山金太郎奉行殿。連絡をお待ちしておりました。この勘定奉行、新華強北町の #PayPayポイント がマイナスになったのをリアルタイムで監視しておりました。早急な年貢増徴対策に緊急奉行会議を招集されては如何でござるか?』

新華強北町の勘定奉行

 ミナミの萬田金次郎はあきれ顔で、『勘定奉行はん。あんたアホちゃうか? いまの荒れまくった新華強北町で誰から年貢取り立てよう思うてるねん。そないなことしたら、遠山金太郎奉行が、SNSで #増税クソ奉行 いわれてえらいこっちゃ。いまの新華強北町で一揆でも起こりよったら、僧兵も一揆に加担して、ヘタ打ちよったらクーデターになることくらい分からんのかい?』と勘定奉行を諭した。

#レームダック #増税クソメガネ の時事ネタを書くくらいなら、 #ChatGPT #OpenAI #サム・アルトマンCEOを解任 した話でも書いた方が良いのではと思うかも知れないが、そんなことは #想定内 の話しなので、態々解説するまでもない。

 年貢増徴と地方債発行しか収入源を思いつかない勘定奉行は『確かに遠山金太郎奉行殿の仰せの通りかも知れませぬ。では、新華強北町債を発行するのは如何でござるか?』と提案した。

 想定内の回答を引き出した萬田金次郎は、内心『よっしゃ!』と思いながらドスの効いた声で『どあほ! いまどきどこぞの阿呆がそないなOpenAI地方債なんぞ買いよるんや? ここは、代打ちの金さんが、これまでえげつない闇麻将で荒稼ぎしといた100万PayPayポイントを、トイチで借りといたらええ話やないんか?』

#マイナス金利 しか知らなかった #勘定奉行 は、『トイチとはなんのことで御座りましょうか?』と萬田金次郎に質問した。

『なんや、おのれは勘定奉行しといて、トイチも知らんのかいな? トイチいうたら、10日で1割(10%)の金利っちゅうことや』

『そ、そんな無茶な! その金利を一体どこから #年貢 として取り立てるでござるか?』

『そないな小ぃさなことは、おのれが心配することあらへん。 #第三セクター で新中華麻将テーマパークでも作って、 #寺銭 10%払わせたらええんとちゃうんか? それから #雀士 #麻雀 で負けこみよったら、 #賭場の金利 #烏金 )はトイチが常識やさかい、新華強北町が取りっぱぐれることなんか、あらしまへん。せやな、新中華麻将テーマパークくらいやったら、30万PayPayポイントもあったら立派なもんが建つさかい、ここは代打ちの金さんから、トイチで100万借りときなはれ。ま、トイチの金利は頭っぱねが常識やさかい、100万で金消契約まいて10万頭っぱねで90万PayPayポイントを勘定奉行の口座に振り込んどくさかい、この金消に勘定奉行の電子スタンプ押しときなはれ。後は、普請奉行(土木)と、作事奉行(建築)から萬田建設に #随契 で20万ずつ払っときなはれ。そしたら後はワシの方で、あんじょうようやっとくさかい、頼んどきまっせ』と言い終わると、主人格が新華強北町奉行の遠山金太郎に入れ替わり、『おぉ、これは勘定奉行。久しぶりで御座る。拙者の居ぬ間に #財政破綻 を見事回避したようでござるな。後は、お主の采配に期待するぞ』と言い放った。

つづく…


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