見出し画像

ラマダンと旧正月が重なる時の影響は?

 2024年の中華圏の #旧正月 は2月10日に始まりました。一方、 #ラマダン は2024年3月10日の夕方に始まり、4月9日の日没で終わりました。これにより、2024年には旧正月とラマダンは重なりません。しかし、ラマダンが毎年約11日ずつ早まるため、数年にわたって徐々に旧正月の時期に近づいていきます。

 2024年は4月10日(イスラム暦の10月1日)から、3日間にわたってラマダン明けの #イード・アル =フィトル #イード )が始まりました。

 旧正月は太陰太陽暦に基づいており、毎年西暦の日付が異なりますが、通常は1月末から2月初めに掛けてです。ラマダンは #イスラム暦 #ヒジュラ暦 )に基づく純粋な太陰暦であり、西暦に対して毎年約11日早くなります。ラマダンは9番目の月で、日没後から翌日の日没まで断食を行います。この期間は約1ヶ月間続きます。

 一年間は閏年を除いて365日なので、ラマダンが西暦に対して11日早くなるということは、約33年の周期で西暦を一周することになります。

 2024年の旧正月が2月10日から始まり、ラマダン開始日の3月10日まで29日(2024年は閏年)の差があります。これを29日÷11日で計算すると、約3年後の2027年には、旧正月とラマダンがほぼ同時に始まることになります。旧正月やラマダン、 #クリスマス の当月や前月には消費財や贈答品などの特需が発生することが知られています。

 つまり、2026年から2028年にかけて、以下の問題が顕著になることは避けられないでしょう。これらの問題は1990年代にラマダンと旧正月が重なった時にも指摘されていました。重要な点は、前述の33年周期でイスラム教徒の人口を比較すると、1990年代は約10億人だったのに対し、2024年現在は約20億人に達しており、世界人口の約25%がイスラム教徒になっているということです。人口が倍増すると、食料特需だけでなく、飛行機、電車などの交通機関の需要も急増します。日本の盆休みや正月休みと同様、ラマダンや旧正月は同じタイミングで一斉に帰省ラッシュが始まります。

消費財に対する需要の急増
 旧正月とラマダンの期間中は、特に食品、飲料、贈り物に対する需要が急増します。1990年代も今日も同様に、この需要の増加は価格の上昇や一時的な品不足を引き起こす可能性があります。1990年代には、砂糖や植物油などの食品原材料や、航空券などのサービスが特に高騰しました。

物流と供給の圧迫
 両祭りが重なることで、製造業や物流業界における労働力の不足が発生する可能性があります。特に中国や #イスラム 諸国では、祭り期間中に企業が閉鎖されるか運営が縮小されるためです。1990年代にグローバル化の影響で国際的なサプライチェーンが形成され始めた時も、このような状況は特に影響を与える可能性がありました。

社会的・文化的な影響
 旧正月とラマダンが重なることで、異なる文化間の交流や理解が促進される機会や、食文化や祭りの伝統に関する関心が高まる可能性もあります。しかし、これらの期間中は旅行や集まりが増えるため、交通渋滞や公共の場の混雑が発生し、食料やエネルギーの争奪が懸念されます。

 実際の影響はその年の具体的な日付や経済状況、地域によって異なります。1990年代はインターネットやソーシャルメディアが今日ほど普及していなかったため、情報の共有や影響の観測は限定的でした。また、当時は現代ほどグローバルなサプライチェーンが発展していなかったため、影響は地域的なものでした。それにもかかわらず、これらの期間に起こりうる経済的・社会的影響についての理解は、将来的な対策や計画に役立つ重要な洞察を提供します。

 両イベントが同時期に重なると、特に以下のような事態が発生する可能性があります。

消費財の需要急増:旧正月とラマダンの前には、特に食品(砂糖や植物油など)、贈り物、航空券などの需要が高まります。これらが同時に重なると、これら商品の世界的な需要がさらに高まり、価格が上昇する可能性があります。

供給網への圧力:多くの企業がこれらの期間中に休業する場合があるため、製品の生産と配送に遅延が生じる可能性があります。特に中国や東南アジア、中東地域ではこの影響が顕著になる可能性があります。

航空運賃と旅行費の上昇:旧正月期間中の帰省や観光、ラマダン終了後のエイド・アル=フィトル(断食明けの祭り)での家族訪問や祝祭行事への参加を目的とした旅行が重なると、航空券の需要が高まり、運賃が上昇します。

#コモディティ 取引に従事する方々は、ラマダンや旧正月の特需による穀物相場の高騰を既に織り込んでいます。彼らは、作付け面積、世界中の穀倉地帯での旱魃や自然災害、イナゴの大発生、疫病(植物、家畜、人間)、紛争や戦争など、さまざまな要因を一年先まで見越しています。しかし、 #イスラム教徒 が世界人口の25%を、中国本土および #華僑 が20%を占める中で、これらの大きな人口集団が同時にラマダンと旧正月を迎えることは前例のない事態です。この前例のない事態が発生するのが、2~4年後です。

 上述したコモディティトレーダーの考慮事項を踏まえると、2年後のイベントに向けて投資家は今から準備を始める必要があることが解ります。

#武智倫太郎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?