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鉱物資源の秘密:地質学と宝石学の世界(7)

 このマガジンのテーマである鉱物資源学は、地球内外の鉱物資源の起源、性質、発見、利用、持続可能な管理などを研究する学問です。 #鉱物資源学 は、 #地質学 #地球化学 #環境科学 #経済学 など多岐にわたる学問と関連しています。また、 #鉱物資源 の探査、抽出、処理、利用に関する技術や方法論も含まれています。そのため、このテーマについて説明すると、私が情報工学だけでなく、環境・エネルギー・資源・経済学など広範囲にわたって精通している理由と、日本の研究者に多い一分野だけの専門家の見識では浅すぎることが、海外では通用しない理由を説明するのに恰好のテーマだと考えました。

 しかし、日本人の見識の狭さは研究者に限らず、一般人にも同様の傾向が見られます。私は日本よりも海外での滞在期間が長く、 #国際ビジネス だけでなく、国際的な学術会議や専門分野の会合にも出かけています。その関係で、少なくとも世界の数十カ国から日本を訪ねてくる人々を見ています。

 海外からの来客に『何が食べたいか?』と質問すると、大抵は日本の特徴的な食べ物を希望します。そこで、鮨屋、蕎麦屋、うどん屋、天ぷら屋、鰻屋、穴子屋、焼き鳥屋、とんかつ屋、ラーメン屋、鋤焼き屋、しゃぶしゃぶ屋など、平成以降の日本食の典型的な店に連れて行きます。すると多くの外国人から『なぜ、日本食は一つの店で一つの料理しか作らないのか?』と質問されることが良くあります。

 日本人は、例えば、鰻料理を極めるには『串打ち3年、裂き8年、焼き一生』のように、長年の修行が必要だと考える #職人気質 に疑問を抱くことは少ないですが、海外から見るとこの職人気質は異常に見え、なぜ蕎麦屋とうどん屋、あるいは鰻屋と穴子屋を分けるのか理解できないということです。

 日本人の職人気質は確かに素晴らしいものですが、海外の人々との対話を通じて気付かされることがあります。専門分野以外を知らないことは、変化が激しい現代社会に適応する能力を欠いていることを意味し、それは危険な気質にもなり得ます。これからは、専門性を持つと同時に幅広い知識を有することが重要です。

 これは食に限らず、光学レンズの世界でも同じです。光学設計を極めようと思えば、一生かけても時間が足りないほど奥深い分野です。これは、鍛冶屋、宮大工、瀬戸物、華道、茶道、書道、武道などでも同じで、何かを極めようとすると一生かかるものです。

 私自身は職人気質なので、職人技や匠の技の世界が大好きです。たとえば、将棋の駒を作る名工として知られる山形県天童市の職人から、子供のころから90歳になるまで将棋の駒以外は作ったことがない伝統工芸士の作品を購入することもあります。しかし、すべての日本人がこのような職人気質だと、国際社会では生き残っていけないかもしれません。

 実際、多くの日本の社会人は、酒蔵、農家、医師、弁護士、会計士など、一生同じ職業に就くことが当然と考えているかもしれません。先祖代々の家業を継ぐことで伝統を守る貴重な業種は日本に多く存在します。しかし、一般的な会社員や公務員の場合、少なくとも3つ以上の専門分野を持つことが望ましいでしょう。

 多くの人が公務員は一生安泰だと考えているかもしれません。しかし、アメリカの #政府封鎖 や日本の年金問題などを考慮すると、公務員が必ずしも一生安泰な職業だとは断言できないかもしれません。これらの問題は、公務員という職業の安定性に対する新たな疑問を投げかけています。

 一般的には鉱物資源学を学ぶ順序は以下の通りです。

基礎科学の理解
物理学、化学、生物学などの基礎科学の理解が必要です。特に地質学や地球化学の基礎は鉱物資源学の土台をなす重要な分野です。

鉱物学と岩石学の基礎
鉱物と岩石の識別、特性、成因を学びます。これらは鉱物資源の基本的な構成要素です。

資源地質学
鉱物資源の生成、分布、探査技術について学びます。資源の経済的価値と探査方法についても触れます。

環境と持続可能性
鉱物資源の開発が環境に与える影響と、持続可能な開発方法について学びます。

応用技術と管理
抽出、処理技術、資源管理、政策、法規制などについて学びます。

 初学者には、基本的な地質学や化学から始め、徐々に専門性を高めるアプローチが推奨されます。また、実地の #フィールドワーク を通じて、実際の鉱物資源の探査や管理の現場を体験することも重要です。理論だけでなく、実践的な技術や #問題解決能力 を身につけることが、この分野で成功するためには不可欠です。

 以上はあくまで基礎知識であり、前述の関連分野だけでなく、地質データや地震や津波や土砂崩れのシミュレーション、計測やセンサー技術などの #情報工学 も知っている必要があります。

 フィールドワークでは、土木の実務だけでなく、盗掘者との紛争に巻き込まれることがあるので、 #サバイバル技術 #戦闘術 #逮捕術 なども身に着けておく必要があります。大袈裟な話と思うかも知れませんが、採掘現場には病院がないことが多いため、採掘現場での事故や病気に対応できる #救急医療 技術は特に重要です。また、日本語も英語も通じない現地の部族語しか通用しない採掘現場も多いため、異文化に対する高い #コミュニケーションスキル も必要です。

つづく…

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