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let my people go surfing(patagonia の全て)

           Don't buy this jacket

そう、パタゴニアの広告には書いてある。アウトドア会社が自身のブランドの服を買うな、そう消費者に訴えかけているのだ。なぜか。パタゴニアの本質であるmission statementではこう言っている。

“Build the best product, cause no unnecessary harm, use business to inspire and implement solutions to the environmental crisis.”

最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を慣らし、解決に向けて実行する。という意味である。実は創業者である、Yvon Choinard (イヴォン・シュイナード)は登山家であり、サーファーであり、地球を誰よりも愛している人間である。本社はカリフォルニアのベンチュラにある。パタゴニアの凄さは2つある。
 1つは環境に対する狂気的なまでの想いだ。先ほど述べた通りの企業使命宣誓でも環境になるべく配慮した上で最高品質のものを作り、環境問題を解決するために世界で抜きんでているということだ。1% for planet という活動もしており、売り上げの1%を寄付するというものだ。え、利益からではなく、売上から?と食いつく自分。すると、理由は利益は操作ができるが、売上はごまかしのきかない数字であるからこの基準を選んだという。凄すぎる。
 2つ目は実行まで落とし込むという点だ。環境について論じている人は多い。ただ、何かを語るだけなら正直誰でもできる。言葉と行動の間には大きなスペースがあり、この世界を変える・誰かの行動を促すための唯一の方法は背中を見せること、実際に自分が先頭立ってアクションするということだ。


 本書はシンプルにパタゴニアの歴史とパタゴニアの理念の2部構成となっている。その中でもパタゴニアの理念である、8つのガイドラインを紹介する。箇条書きにてテンポよくいく。

1、製品デザイン
・革新的か
・ラインナップはシンプルか
・グローバルか
・付加価値はあるか
・本物であるか
・美しいか
・本物であるか
・流行を追っているだけではないか

・柱となる顧客を念頭にイメージしているか
・手入れや洗濯は可能か
・不必要な悪影響をもたらしていないか
・オーガニックコットンか
・機能的か
・多機能的か
・耐久性はどうか
・修理可能か
・体にフィットするか

ざっと見ただけでも17個ものポイントがある。3つのポイントだけに触れたいと思う。
・グローバルか?はパタゴニアというブランド名にも反映されている。なぜなら世界のどの言語でも母音が入っているので読みやすいという理由もあって選ばれたからだ。
・付加価値はあるか? これは商売であるので自分たちがどんな特別な価値を提供できるのか、ということを考える。ただ、服を売るだけなら誰でもできる。しかし、環境にここまで徹底しながらも最高品の製品やアフターフォロー(修理を前提として製造デザインする)はどこにでもできることではない。
・本物であるか?

いかなるものであれ、’’完璧’’ とは加えるべきものがなくなった状態を言うのではなく、取り去るべきものがなくなった状態を言うのである。すべてを脱ぎ去り、一糸まとわぬ体となった状態だ。

                       ーサン・テグジュペリー

 星の王子さまで有名な人であるが、実はパイロットでもあるので製品の構造、とりわけ飛行機の設計に精通していたと考えられる。完璧=Simplicity (簡潔)とはマイナスの極致であると。まさに日本食の哲学と一致している。この哲学はどの分野においても応用できるのではないか。

2、製造
・コストよりも品質を重視する

3、販売・促進
・カタログ販売、イーコマース、リテール(直営店)そして卸売の4つのチャンネルがある。

4、マーケティング
マーケティング=ブランディングであり、唯一の戦略は ’’我々がどういう人間か語る’’ という極めてシンプルなものである。そしてその際に重要なのはストーリーを丸ごと語るということ。どのように?

・手書きのエッセイ
・インスタグラム、フェイスブック
・動画

5、財務会計
6、人材活用

・採用の第一原則;パタゴニアをよく好きで使用する人。
製品を作る側でもあり、製品を使う側である。メイカーとユーザーの垣根は存在しないのである。ビジネスは常に顧客ありきである。顧客のニーズに応えるというのは商売においてとても大切なことである。要は自分たちが顧客であるので、誰よりもニーズはわかっている、そして商品の結果はダイレクトに自分に返ってくるのだ。
→これは自宅で家族に料理を振る舞う時と同じだ。よくある問題点は自分が作りたいものがあり熱中しすぎるがゆえに顧客が欲しいものが見えていないことだ。(product out)  <-> market in 

7、経営指針
・家族経営
・MBA(Management By absence)不在による経営
・なぜ、なぜ、なぜ?
・変化
・行動主義

8、地球環境
・mission statement 
・実例として先頭に立つ
・食の産業を変える(パタゴニア プロビジョンズ)
・1% for the planet 
・inovation = 方向転換をして一歩を踏み出すこと


いかがでしたか?この本を読んでみて、Yvon choinardはとても自由でかっこいい生き方をしているなあと感じました。この地球という惑星を誰よりも楽しんでいる、最大の敬意を持ちながら。僕は将来食で世界を変えたいという夢がありますが、二つの指針があります。

1、好きなことをする
2、世界の問題を食とビジネスを通して解決する。

ではまた!

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