OpenAIとは?歴史や注目されている理由、ビジネスに活用する方法など
「OpenAIって聞くけど、何がすごいの?」
「ChatGPTを作ったOpenAIってどんなところ?」
こんな疑問を持っていませんか?たしかにChatGPTをきっかけにOpenAIの名を聞く機会は増えましたが、具体的にどんな組織なのか分かりませんよね。
そこで本記事では、OpenAIとはどのような組織なのか、歴史や注目されている背景、与えた影響などの面から解説します。
AIの最前線を走っているOpenAIについて、理解を深めてみましょう。
OpenAI(オープンAI)とは
OpenAI(オープンAI)はカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、高度な人工知能(AI)技術の研究と開発に特化した企業です。当初は非営利団体として発足しましたが、現在は営利企業になっています。
「Tesla」や「SpaceX」を創設したイーロン・マスク、「Loopt」や「Y Combinator」で活躍したサム・アルトマンらによって設立されました。
OpenAIは、AI技術をオープンソースで提供し、全人類の利益に貢献することを目的とした団体です。GPT(Generative Pretrained Transformer)シリーズなど、多くの革新的なAIモデルを開発しており、これらの技術は世界中で広く使われています。
特に、ChatGPTは、文章生成や翻訳、要約など、多様な自然言語処理タスクで応用されています。また、教育、医療、金融など幅広い分野での利用が進んでいます。
また、DALL·Eは、テキストから独創的な画像を生成する能力を持ち、クリエイティブな分野での利用が期待されています。
AI全盛期とも呼ばれる今、AIを語るうえでOpenAIは欠かせない需要なピースの一つとなっているのです。
OpenAIの歴史
OpenAIはこれまでさまざまなAIモデルを開発し、AI界に幾度となく革新をもたらしてきました。
OpenAIの主な歴史は、以下の通りです。
2015年 OpenAI設立
2016年4月 OpenAI初となる強化学習の開発用ツールキット「OpenAI Gym」のベータ版を公開
2016年11月 マイクロソフトと提携
2016年12月 AI学習プラットフォーム「Universe」公開
2018年 イーロン・マスク氏退任、自然言語処理モデル「GPT-1」公開
2019年11月 「GPT-2」公開
2020年6月 「GPT-3」公開
2021年1月 テキストから画像を生成するAIモデル「DALL・E」公開
2022年9月 音声認識AIモデル「Whisper」公開
2022年11月 対話型AI「ChatGPT」公開
2023年3月 「GPT-4」公開
OpenAIの歴史は、AI技術の急速な進化と拡大を示しています。設立からわずかな年月で、OpenAIはAI分野において重要な役割を果たす組織となりました。その影響は今後も続くでしょう。
OpenAIが注目されている3つの理由
OpenAIは今現在、大きな注目を集めています。AIにかかわっている人はもちろん、そうでない人もOpenAの存在を知っている人は多いでしょう。
OpenAIがここまで注目されている理由として、主に以下の3つが挙げられます。
・世界中の有力者が注目している
・ChatGPTを公開した
・人工知能をオープンソースで提供している
OpenAIは他の企業と何が違うのか、見ていきましょう。
世界中の有力者が注目している
OpenAIには世界中の有力者が注目しており、創業にあたって名立たる起業家や投資家が名を連ねました。
そのメンバーはイーロン・マスクやサム・アルトマンに加え、世界最大規模のビジネスSNS「LinkedIn」共同創業者のリード・ホフマン、決済サービス「PayPal」共同創設者のピーター・ティールなどです。
創業は2015年で、まだそれほどAIに世間が注目している時期ではありませんでした。しかし、世界中の有力者から10億ドルもの出資を得たため、話題になりました。
その後、Microsoftなどの大手企業がOpenAIとのパートナーシップを結んでおり、影響力がさらに拡大しています。
今これほど大きな注目を浴びていることを考えると、当時OpenAIに出資した有力者たちの判断は間違っていなかったと言えるでしょう。
ChatGPTを公開した
ChatGPTの公開は、OpenAIが人工知能分野で画期的な進展を遂げたことを示し、広範囲にわたる注目を集めました。
ChatGPTは、2022年11月に公開されたAIチャットサービスです。先進的な自然言語処理能力を備えており、人間のように流暢で理解可能なテキストを生成できます。
これは当時大きな反響を呼び、AI関連のニュースサイトのみならず、テレビのニュースやバラエティ番組でも取り上げられるほどでした。
その後、ChatGPTは教育やビジネス、エンターテイメントなどさまざまな分野で応用され、今なお活用は続いています。
たとえば、教育の現場ではChatGPTを利用して、質問への回答や学習資料の生成などに活用していたり、企業がChatGPTを利用してカスタマーサービスの強化や、商品説明・マーケティングコンテンツの生成に活用したりしています。
このような状態を見ると、ChatGPTの公開は一つの時代を築いていると言っていいでしょう。
人工知能をオープンソースで提供している
OpenAIが人工知能技術をオープンソースで提供していることは、AI分野における革新と協力の促進に大きく寄与しています。
通常、自社で開発したサービスを外部に公開すると、技術を活用されて自社のライバルになり売上が落ちるなどのデメリットが考えられます。そのため、基本的に自社の技術をオープンソースで提供することはありません。
しかし、OpenAIはもとが非営利企業ということもあり、AI分野全体のためにオープンソースで技術を提供しているのです。
オープンソース化により、世界中の研究者や開発者が最先端のAI技術にアクセスし、使用できます。これにより、AI技術の普及と進化が加速されるでしょう。
また、新しいアイデアやアプリケーションの創出を容易にし、広範囲の分野でのイノベーションを促進する効果もあると考えられます。
現にChatGPTはさまざまなアプリケーションやサービスで利用されており、新しいビジネスモデルやツールの開発を促進しています。
AI分野全体の成長と発展に寄与していることは、OpenAIが注目を集める理由の一つと言えるでしょう。
OpenAIが開発した5つの主要AIモデル
OpenAIはこれまで、数多くのAIモデルを開発してきました。そこで、今一度OpenAIが開発したAIモデルにはどんなものがあったのか振り返ってみましょう。
OpenAIが開発した主要AIモデルは、以下の5つです。
・GPT-4
・OpenAI Codex
・DALL-E2
・CLIP
・Whisper
それぞれどんなAIモデルなのか、一つずつ見ていきましょう。
GPT-4
GPT-4は、2018年にOpenAIによって開発されたGPT-1の進化版である最先端人工知能モデルで、自然言語理解と生成の能力が大幅に向上しています。
GPT-4はChatGPTにも搭載されており、文章の要約や翻訳、小説・脚本の制作など幅広い処理が可能です。
GPT-4は教育ツールとしても利用されており、個別の学習支援や教材の作成などに活用されています。
GPT-4を含むGPTシリーズは、今後さらに進化が期待されるAIモデルの一つです。
OpenAI Codex
OpenAI Codexはテキストで指示するだけで、プログラミングコードを生成する革新的なAIモデルです。自然言語処理と数十億のコードでの学習により、この技術を実現しました。
OpenAI Codexは、複数プログラミング言語に対応しています。たとえば、PythonやJavaScript、PHPなどです。
ただ、この技術はGPT-3の派生形であり、GPT-3.5以降を推奨とするため2023年3月に非推奨となりました。
しかし、専門知識が乏しくてもコード生成ができる技術を開発したことは、プログラミングの未来に新たな可能性をもたらしたと言えます。
DALL-E2
DALL-E2は、テキスト入力だけで高品質な画像を生成する先進的な画像生成AIモデルです。2021年1月に公開されたDALL-Eの後継で、より複雑で詳細な画像を生成できるようになっています。
「ゴッホ風のウサギ」や「ムンク風の虎」など、さまざまなテキストで画像を生成可能です。一つのテキストに対して複数の候補を提示してくれるので、お気に入りの作品を見つけやすくなっています。
著作権には気を付ける必要がありますが、新たなアイデアや素材の画像生成など、使い道は無限大と言えるでしょう。
CLIP
CLIPは、画像とテキストの関係を理解することに特化したOpenAIの先進的なAIモデルです。大規模な画像とテキストのデータセットを用いた深層学習により開発されました。
CLIPは、画像とそれに関連するテキストを同時に分析し、両者の関係を理解できます。ラベル付きデータを必要としないことが特徴で、明示的な注釈がなくとも、大量の非構造化データから学習できるのです。
たとえば、従来は「猫」というラベルをつけると猫の画像を分類しますが、イラストの猫や「猫」というテキストは分類できませんでした。しかし、CLIPではそれが可能になり、画像と関連性の高いテキストを紐づけられるようになったのです。
汎用性も高く、ビジュアル検索やコンテンツの分析に革新をもたらしています。
Whisper
Whisperは、OpenAIによって開発された革新的な音声認識AIモデルであり、高い精度と多言語対応が特徴です。音声データからの文字起こしもできます。
Whisperは、大規模なデータセットを用いた深層学習を通じて訓練されており、さまざまな環境下や多様なアクセントの音声を高い精度で認識できます。
オンライン教育や動画プラットフォームで、Whisperを使用してリアルタイムの多言語字幕を生成することも可能です。
WhisperはAPIが公開されているため、さまざまな場面で文字起こしツールとして活用されています。
OpenAIが与えた影響
OpenAIはさまざまなAIモデルを開発してきましたが、それによりAI分野は大きな影響を受けています。
OpenAIが影響を与えた主なジャンルとして、以下3つが挙げられます。
・自然言語処理
・画像処理
・強化学習
それぞれOpenAIがどのような影響を与えたのか、一つずつ見ていきましょう。
自然言語処理
自然言語処理はAI技術の中でも特に急速な進歩を遂げている分野であり、その成長にChatGPTが寄与しているのは間違いありません。
最新のGPT-4が発表されたことにより、非常に高い精度で情報を出力できるようになりました。ChatGPT用のプラグインも開発され、自然言語処理分野は一気に注目を浴びることになったのです。
ChatGPTの発表を皮切りに、GoogleのBardやBingのBing AI、NotionのNotion AIなど、多くの自然言語処理モデルが誕生しました。
ChatGPTによって教育やビジネスの現場に革命をもたらした功績は、OpenAIにとって大きなものと言えるでしょう。
画像処理
AIによる画像処理は、コンピュータビジョンの分野において重要な進歩を遂げており、画像の解析や編集、生成において革新的な成果を示しています。
この進化には、OpenAI が開発したDALL-Eの影響が大きいと思われます。DALL-Eではテキストから画像を生成できるようになり、画像そのもののクオリティもアップしました。
AIによる画像処理能力が向上したため、今や医療現場でMRIやCTスキャンの画像を分析し、異常を検出するのに使われています。
これは、DALL-EをはじめとしたAIの画像処理能力向上がもたらしたと言えます。今後、さらに他のジャンルでの活用も期待できる技術です。
強化学習
強化学習は、AIが環境との相互作用を通じて最適な行動を学ぶ方法であり、自動化と意思決定の分野で重要な役割を果たしています。
OpenAIはOpen AI Gymという、強化学習のシミュレーションができるプラットフォームサービスを展開していました。準備されたゲームから、非常に簡単に強化学習のシミュレーションを試せたのです。
今これを読んでいる方の中にも、Open AI Gymを使ってみたという方がいるのではないでしょうか。
かつてAlphaGoという囲碁のAIが、プロ棋士に勝利を収めたこともありました。これも、強化学習によるものです。
身近なところで言うと、車の自動運転にも強化学習は使われます。自動運転は、まさに世の中が変わる技術と言ってもいいでしょう。
強化学習の面においても、OpenAIの功績は大きいと言えます。
OpenAIが開発したAIモデルをビジネスに活用する方法
OpenAIのAIモデルは、企業の効率性やイノベーション、顧客エンゲージメントを大幅に向上させる可能性があります。そのため、ビジネスへの活用を積極的に考えた方がいいと言えるでしょう。
それでは、いったいどのようにAIモデルをビジネスに活用すればいいのでしょうか。
まず、ChatGPTのような自然言語処理AIモデルならば、翻訳や文章の校閲、チャットサービスなどで活用できるでしょう。商品のキャッチコピーなどのクリエイティブな仕事でも、案の一つとして活用するのはいいのかもしれません。
DALL-Eのような画像処理AIモデルならば、ウェブサイトや広告のデザイン、商品ロゴのベース案として活用できるでしょう。
もちろん最終的には人間の手で作り出したものを採用すると思いますが、ゼロから考えるよりはアイデアが出てきやすいのではないでしょうか。
Whisperのような音声認識AIモデルならば、会議内容や電話内容などの文字起こしに使えるでしょう。これにより、後から再度音声を聞いて文字に起こす時間が省けます。
このように、AIモデルにはさまざまな活用方法が存在します。企業はAIモデルを活用することで、デジタル変革を推進できるのです。
OpenAIのツールを活用する際の注意点
OpenAIのツールは非常に優秀ですが、活用する際にはいくつか注意点があります。OpenAIのツールを活用する際の主な注意点は、以下の2つです。
・情報が間違っている可能性がある
・専門性の高いジャンルには対応できない可能性がある
情報が間違っている可能性がある
AIモデル、特に自然言語処理を扱うものには、情報に誤りが含まれる可能性があります。なぜなら、参考としている情報がすべて正しいものであるとは限らないためです。
たとえば、ChatGPTはインターネット上のニュースやブログ記事などから学習し、情報を提供しています。ただ、インターネット上にあるすべての情報が正しいわけではありません。
そのため「バナナは辛い」といったように、ときには誤った情報を出力してしまうこともあるのです。この例だとすぐに間違いだと分かりますが、専門的な内容や軽微な間違いなど、すぐに気づけないこともあるでしょう。
これに対処するには、最終的な確認を人間の目によって行う必要があります。「AIツールは優秀だが完全ではない」ことは覚えておきましょう。
専門性が高いと対応できない可能性がある
AIモデルは優秀ですが、限界もあります。特に、専門性が高く複雑なジャンルにおいては対応できないこともあります。
なぜなら、学習していないことについては答えられないからです。
たとえば、「A中学校の数学のテストにはどんな傾向がある?」という問いに対して、ChatGPTは正確に答えられない可能性があります。
これは、A中学校の数学のテストについて、十分に学習できておらず、インターネット上にも情報が少ないからです。
おそらく、A中学校の数学の先生やテストを受けてきた先輩たちに聞いた方が、正確な情報を得られるでしょう。
このように、地域やジャンルが限定的になると、対応できない可能性があります。
また、「熱があり関節が痛むのですが、これは何の病気ですか?」と質問しても、ChatGPTは正確に答えられないでしょう。
これは、医療というジャンルは専門性が高く、適切な判断をするのが難しいからです。病院へ行って先生に聞いた方が、正しい判断をしてもらえるでしょう。
ビジネスに活用する際も、専門性の高いジャンルでは活用できない場合もあるので注意してください。
まとめ:今後もOpenAIから目が離せない
OpenAIは、2015年にイーロン・マスクらによって設立された、人工知能の研究と開発に特化した団体です。
最先端のAI技術、たとえば自然言語処理のGPTシリーズや画像生成AIのDALL-Eなどを開発し、これらをオープンソースで提供しています。
OpenAIが与えた影響は大きく、ビジネスでもAIツールを活用するのが当たり前になりました。今後も目が離せないことは間違いないので、AIにかかわっている方は、注目しておきましょう。
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