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冬の寒さとモノクローム

夏の残りもの

長くて鬱陶しかった夏にだって終わりは来る。
私たちも終わった。私から終わらせたはずだ。

お互いが別の時間を過ごして、別の人を思って、この先もう会わないんだろうなと思った。

そうでも思わないと、私は永遠に夏に取り残されちゃうから。
自分で終わらせた、夏の終わりに。

あれから、実家に帰っても口を開けば、彼の話ばかりだった。
夜ご飯に作ったものを、彼が喜んでくれたとか、
彼が最近撮ってる人が可愛くて妬いてしまうとか
彼が…彼が…とばかりで。
世界一自分が格好悪かった。

フィルムで撮った彼の家

冬は待ってくれない

そんな夏に取り残されてたって現実は待ってくれない。
あっという間に暑さが恋しい季節になってきた。

「久しぶり。俺、やっぱりちゃんの写真が撮りたいです。」

私のことを「ちゃん」なんて変な名前で呼ぶ人間なんて世界で1人しかいない。
彼からのLINEだった。

その日はあえて冷たく返信をしたが
ちょこちょこ、また連絡を取り合うようになった。

実は同時期に家の事情で一人暮らしをしなければならなかった。
とても困っていたのを見透かされたらしい。
「困ってるならうちに居ればいいよ」と彼は言う。

駅のホームと私

暖かくて重たいもの


どうして?どうしてそんなに優しくするんだろう。狙いがあるのか?と思ったが彼がそんなことを考えるはずもない。

もし一緒に住むとしたら、ちゃんと言葉にして伝えようと思っていた。

1年間共に過ごしてきて「同居人」なんてものは無理だから。
誰が見ても呆れるようなくだらないことで盛り上がったり
寝相の悪い私に布団をかけてくれたり、ご飯の心配をしてくれたり


男とか女とかそう言う話じゃなくて
家族みたいなもっと重たくて暖かい気持ちが自分の中にはあるから。


長ったらしい、けど自分の思いの丈を綴った手紙を泣きながら読み上げた。
読み終える前に涙と鼻水でぐしゃぐしゃの私を抱きしめてくれた。


暖かくて重たくて。愛おしい。

冬の寒さとモノクローム 完

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