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夏の終わりとGR ③

はじめに

少し生々しい文章があるかもしれません。
ごめんなさい。


-あのあと-

帰宅するなり、彼からお礼のdmが来ていた。

「楽しかったです。ご飯までありがとね。」
その下に
「最後、ちょい寂しかったわ」
と意味深な一言。

私にはわかるのだ。なぜなら、楽しかったと言う気持ちとともに、同じような寂しさに包まれていたからだ。

「言いたいことわかりますよ」と一言返した。

GRに小さなストロボをつけて撮影。

-これはデートですか?-

次の日。たまたま2人とも空いていたので、動物園に行くことになった。


相変わらず彼はGRを持っていた。
でも、撮るのはスナップや飾らない私の笑顔。

これはデートなのか?という疑問と謎の期待を、蝉の音で掻き消すのに必死だった。


その後、夜ご飯をご一緒することにした。
映画を観ながらまったりと過ごそう、と言われた。

それは、男性の家に上がるということか。

私は緊張でこの時の記憶がない。


地元のスーパーで買い物をしてる途中、なんともタイミング悪くゲリラ豪雨か降ってきた。
夕立の中、走って帰ったのは覚えている。

家に到着したが、すでに私のお気に入りのワンピースは雨でぐしゃぐしゃで、髪の毛はずぶ濡れの犬みたいになっていた。

勇気を振り絞って言ってみた。

「すみません、着替えを貸していただいてもいいですか?」

-雨のせいである-

全くこんな予定ではなかった。普通に撮影をし、普通に動物園に行き、ご飯を食べて…天気は晴れてるはずだった。

なのに、今私は人様の家のシャツを借りている。しかも、男性の、ものである。

私はいろんな感情でぐしゃぐしゃだった。

これからどうなるんだ、
そして、
どうやって好きと伝えよう

しかしありがたいことに彼が選んだ映画はホラー。ロマンチックのロの字もなく終わった。

・・・・

-それはきっと、恋じゃない-

…その後寝てしまっていたようで、起きたら彼の布団が私にかかっていた。

朝マックを一緒に食べて、ジャッキーチェンの映画を観た。

特に愛の告白をしたわけでも、されたわけでもないけど、その日から何度も共に過ごすことになった。
会うたびに彼は素敵な曲や映画を見せてくれた。

そうか。私愛されているんだ。



2023年10月2日

今日、私は失恋した。彼の家に置いてあるたくさんの荷物と思い出を持って、実家に帰った。
一年と一ヶ月と一日。大好きだった。


最後、見送ってくれたけど、
彼の手元にはGRはなかった。


夏の終わりとGR  完

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