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ときめきはギャップに宿る②

前回、かっこよさはギャップに宿るという話をしましたが、
ギャップに宿るのはかっこよさだけにあらず。

あらゆる感動が、ギャップに宿る。
ので、今回は「ときめき」について少しだけ。

唐突ですが、私は百人一首が大好きです。

リズム、表現、情景が雅で、ある意味インスタントに
「日本語って美しいなぁ」を感じられる作品だと思うんですよね。

中でも、私は、50番の藤原義孝の歌がそれはもう超絶大好きです。
聴いたことがある人もいるかな?

君がため 惜しからざりし命さへ
長くもがなと 思いけるかな

すでに、この語感も好きだけれど、意味はもっとすごいんです。

「君のためなら死んだっていいと思ってたけれど、
君に出会った今では、もっと長く君と生きていたいと願う」

なんとなんと、少女漫画ばりのかなり情熱的な歌。

ここでギャップその①。

和歌とか昔の人の堅苦しいやつでしょ〜、
どうせ国語で習ったやつでしょ〜と思ってたのに、

え、少女漫画ですか?ってくらい、きゅんきゅんさせてくるところ。
ちょ、恋バナ聞かせなさいよ?って思わず言ってしまいそうになるところ。

この、"1000年前の古臭い伝統作品"だというのに、
「わかる〜〜〜」とか「いやめっちゃ好きじゃんそれ〜〜」と
共感してしまうところが、最強のギャップなわけです。

そしてギャップその②。

なんと作者の藤原義孝さんは、
当時ではかなりの美少年でモテモテだったのに、
結構真面目なタイプで、仏道の勉強で夜も寺に通っていたらしいです。

そして、さらに、21歳で病で亡くなってしまうという、
いわゆる美人薄命なタイプ…!

そんな、薄幸で美少年でだけど真面目な彼が、
こんな熱いラブレターみたいな歌を一体誰に書いたのか…。

それは永遠の謎だそうですが、
この作者と歌のギャップも、これまた素敵ですよね…。

と、今回はときめきのギャップでしたが、
古典的な作品は、ちょっと最初は入り込みにくいからこそ、
こういう「共感できる」みたいなギャップがあると
一気に好きになりやすいなぁと思います。
(多分落語とかもその類な気がする)

知ると世界は広がりますね。
他にも色んな好きな作品を紹介していきたい!

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