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失点理由知ってんの会 ACL GS第4節上海上港戦

ようこそ「失点理由知ってんの会」へ。

今年の初め、Jリーグ第1節 H.G大阪戦において「これから毎節失点するたびにこの会を開きますよ!皆さんよろしくお願いしますね!」的な雰囲気を出しておきながら、蓋を開けてみればこれが第2回となります。
時の流れって早くて怖いですね。(自分が書かなかったのを他のせいにする)

この会を開くにあたってのあれこれは、第1回の時に書いているのでもしお時間があればお読みください。↓

https://note.com/aikeoffmarinos/n/nf3a1755664c4

さて、司会を務めさせて頂くのは「最近友達にAPEXとかPUBGなどのFPS系のゲームに誘われるが、三半規管がありえないほど弱いので2時間くらいすると気持ち悪くなってしまって、盛り上がってる雰囲気を一気に台無しにしてしまう」でお馴染みのアイクです。どうぞお見知り置きを。

それでは行ってみましょう。今回のテーマは…

1-2で敗戦した上海上港戦の失点シーン

まずはスタメンをチェックしましょう。

(マリノスのLSBが和田さんになっていますが、正しくは高野なので修正お願いします)

・議題1:1失点目(13分33秒〜)

・直接的な原因

→オビがシュートを止められなかった。

・間接的な原因

→相手のCKを伊藤槙人がクリアするが、それが相手に拾われてしまった。

→丸で囲まれた選手が二次クロスを上げるのだが、その時のプレスの掛け方は正しかったのか?

→二次クロスの時にオフサイドを取れなかった(取って貰えなかった?)

→オビが落下点予測を見誤った。

・考察
1失点目です。これは典型的なセットプレーからの失点だと思います。マリノスの選手は基本的に身長が低い人が多いのでセットプレーは弱い…なんてことはもう去年からずっと言われてることで、今季のJリーグでも何度もセットプレーから失点してました。

アジアの舞台においては特に「屈強な兵士」みたいな外人が多く、今回の上海上港を例に挙げればフッキはいなくとも相手の6番の選手は「あいつのボディプレスを受けたら上半身の骨は全部折れるだろうな…」くらいのデカさとゴツさがありましたよね。

そういったチームと戦う上で身長は無くとも守り方の論理を整理すれば、守り方のミスを無くせば失点は減らせるんじゃないだろうか、ということで今回のシーンを詳しくみていきましょう。

①今回の失点シーン。二次クロスからの失点という特徴がありましたよね。

これが、CK時の画像です。

マリノスの選手はこの画面内に全て映っています。対して、上海上港の選手はコーナーキックを蹴る選手含めて8人。ペナルティーエリア内には5人。人数では圧倒的にマリノスの方が多いです。
また、マリノスがCKで守備する場合「ゾーンディフェンス」と言って人につくのではなく、あくまで場所を埋める守備方法をしています。

ゾーンディフェンスを採用している理由としては主に2つあると思っていて

・マンマークディフェンス(相手1人に1人をつけて競わせる)だと、対人の強い屈強な選手が相手だと簡単に競り負けてしまう危険性がある。
・VARなどが導入されたことからもわかるようにセットプレー時に一対一の守備を意識しすぎると、手を使いやすくなりPKの危険性が増す。

こんな感じじゃないでしょうか。
前述したとおりマリノスは単純に身長差で負けていることが多いので「ゾーンディフェンス」を採用した方が守りやすいんだと思います。

しかしスペースを埋めるにしても、ただそこにいるだけでは何の役にも立ちません。

上の画像を見ても、緑丸の部分と紫丸の部分では失点に対する危険度に対して選手が余分に置かれている気がしませんか?

既にペナルティーエリア内で2人の選手が役割を失っている。すると上海上港は5人いるのに対しマリノスは8引く2で6人分の守備しかできてない。
ほぼ互角の状況になってしまっていることがわかると思います。いわゆるゾーンのようなマンマーク守備をしてしまっているのです。

またペナルティーエリア内に自軍の人数が多いと誰が競るのかが不透明になることもあり、決して人数をたくさん割けば良いという話ではないですよね。

例えば、前田大然が仲川と同じように跳ね返した球をすぐに拾いにいけるようなポジションを取っていたら次のシーンには繋がらなかったかもしれません。

②伊藤槙人がなんとかCKのクロスを跳ね返しますが、それは相手に拾われてしまいます。

そこから矢印の方向へ展開され、ほぼフリーの状態でクロスを上げられてしまった。

ここで気になったのが「プレスの掛け方」です。
オレンジ色の矢印の方向にボールが渡った後、以下のような状態になります。

クロスを上げる人に対して、2人行ってますよね。

一番近いところにいるのが仲川でその後ろに松原がいる状況です。
伊藤槙人がクリアしたボールを拾われた後から、クロッサーにボールが渡るまでで仲川と松原が移動した距離って多分2倍くらい違うんですよね。しかも松原の方がクロッサーの位置には近かったと思います。

良い言い方をすれば仲川が勤勉な守備をした。悪い言い方をすれば、その守備が見た目に出来てしまったせいでクロッサーに対するプレスが甘くなったとも言えます。

もう一度クロッサーにボールが渡る直前の画像を見てください。

この時松原は首の向き的にオレンジ色のエリアが視界に入っていたと思います。その中に猛然とプレスをかけにいく仲川が映った、だから松原はペナルティーエリアのライン上あたりでステイしたんじゃないでしょうか。
身体的な話で言うと、相手からしたら仲川がプレスに来るより松原がプレスに来た方が絶対に嫌だし中も見えづらい筈です。

これは二次クロスを上げられる際の対応として曖昧な点があったんじゃないかなと思います。
もう一度クロスを上げられそうな際に対応に行くのは誰か、細かいようですがここは整理する価値があるんじゃないでしょうか。

試合中はどうしても熱くなっているもので、「これ完全にオフサイドやんけ!」とか思ってたんですけど

改めて見ると微妙なんですよね。
奥のオレンジ色の矢印で示されてる仲川が何となく残ってる気もしなくない…のでこれはVARがない中で正確な判定をするのは難しかったかなと思います。

どうしてもオフサイド取りたいなら、ボールの位置にDFラインを合わせるとかそもそもあの状況でクロスを上げさせないとかしたら良いんですけど、今回の一連の流れはスピードが早いのと、CBコンビも實藤、伊藤槙人でまだまだこれからこれからなペアでもあるので今回の試合を教訓にしてまた話し合ってもらえればいいなくらいです。

CBペアは実践を積めば積むほどここは良くなっていくところなので、それよりも①とか②の構造的な話をした方が短い期間で結果が出ると思います。

④最後は個人の話。



このシーンでクロスに対してオビが前に出てしまうんですけど、届かない、というか競り合うことすら出来ず頭上を超えてしまった。まぁ分かりやすいミスだと思います。
クロスのスピードも早かったのでこれを教訓にして次に繋げていってもらえたら良いですね。受講料みたいなもんですよこんなの。

飯倉さんとかは特にクロスに対する反応が良くて、今回みたいなボールも颯爽とキャッチして 涼しい顔でマリノスの次の攻撃に繋げたと思いますし経験がものを言うと思うので、オビも一個一個課題に向き合って欲しいですね。

ゴールキーパーって「ただPK止める、スーパーセーブ連発する」だけじゃダメで細かいところまで完璧にこなして、DFとの連携もしっかりとって、チームの支柱となってこそ一流、しかもスタメンは1人しか出れない!みたいな吐くほど難しポジションなので温かい目で見守っていきましょう。
「一度ミスしてこそマリノスのゴールキーパー!!」

この辺でまとめておきましょう。
「ペナルティーエリア内に何人置くか」
「こぼれ球を拾う人の重要性」
「二次クロスに対するプレス方法はしっかり決まってるか」
「ゴールキーパーは難しいポジション」

では、皆さんの意見を聞かせて下さい。

・議題2:2失点目(54分10秒〜)

・直接的な原因


→オビがシュートを止められなかった。

・間接的な原因


→相手の9番がスピードに乗る前にファールでも止められなかったか。

→上のシーン時、守備に絡めていない選手が多い。
→相手がワンツーした際、CB2枚の守備が軽すぎる。

→オビは裏抜けに対して飛び出せなかったか?

・考察
2失点目です。
これは一見「相手の個人の能力の高さを際立たさせてしまって守備網を突破されてしまったシーン」のように見えます。しかし考え方を変えれば相手の良さを出させてしまったことは、マリノスの守備に問題点があったと言うことじゃないでしょうか。
ACLを戦い抜く上で理不尽なFWに対して組織で守っていかなくてはいけないシーンはこれからもあると思うので、しっかりと振り返っていきましょう。

①このシーンは相手の何気ないスローインから始まります。

そしてスローインが相手に渡る。

このスローインをもらった選手がゴール方向に向けてドリブルを始めることで、失点シーンが生まれます。(ゴールを決めるのはこのドリブルを始めた選手です)

写真を並べてみても、失点しそうな予兆は何もなくてこれがいかに脈絡のないゴールだったか分かります。

上の画像の際、高野と前田大然でドリブルしてる選手を挟んでいますが、相手の体格を利用してボールを持ち運ばれてしまいます。

ここで僕は「ファールしてでも」相手のドリブルを止めるべきだったと思います。

上の画像では、ボールより前にいる上海上港の選手は1人しかいないのに対して、マリノスの選手はボールより前に4人いる。そんな状況を振り返って「ファール覚悟で止めないのが悪い」と言うと結果論のように受け取られてしまうかもしれません。

しかし、上海上港の攻め方って漠然と言えば「組織で崩す」というより「一瞬の隙間を個の力でこじ開ける攻撃」じゃないですか。それはGS第3節でも感じてることで、そう考えるとマリノスが守備の時に意識するべきことは「枚数を置く」のではなく、「相手のリズムを崩す」「上海上港の攻め手のリンクを切ること」じゃないすか。

今回の場合では、前田大然か高野がイエロー覚悟で止めていれば、あそこからのFKに出来たわけですしそちらのほうが失点確率は低かったと思います。
ファールでも止める覚悟、それがこのシーンでは必要だったんじゃないでしょうか。

②ACLになってから審判のジャッジ、気になりますよね。

後ろから抉り取りにいく守備は基本的にファール。ボールに触っていてもその後相手選手の体に触れてしまって倒れられたらそれもファール。

Jリーグが意識高い笛を吹くようになって、それにアジャストするように強度が高い守備を敢行していたマリノスからしたらこの笛はありがたくないものとなっています。

このシーンを見て下さい。

後ろからの守備はファールをとられる。この位置だとファールしたらカードが出かねない。

そう考えると、対人の守備ができそうな位置にいる選手って

この3人くらいだと思いませんか?そうなんですよ。

このシーン、ドリブルで置き去りにされた選手そもそも立ち位置が遠すぎる選手がいるので、一見マリノスの選手が多そうに見えても「守備が出来てる位置、攻撃側からして嫌だと思う位置にいる選手」赤丸で囲んだ3人くらいじゃないでしょうか。とてもマリノスが有利な状況とは言えないですよね。

なんなら一番奥にいる高野は大外を走る上海上港の選手が目に入っていてCB伊藤槙人との間に距離を空けてしまっています。

つまり、このシーンを改善するなら「一人一人の立ち位置に意味をもたらす」ことじゃないでしょうか。

例えば、前田大然はドリブルしてる選手にただついていくのではなく、大外を走る選手を見る役割を担えば、高野は目の前のCBの人に対して安心して迎撃に行けたし、喜田さんがもう少し相手の9番に寄っていればワンツーするパスコースを限定できたかもしれません。

攻撃側が邪魔だと思う位置に全員が立っていることを意識するのは当たり前のようで意外と出来てないことだと思います。

③さっきと同じシーンの話になりますが、スルーパス通される時、實藤と伊藤槙人の守備が軽くありませんか?

これはワンツーで抜け出された直後の写真なんですが、實藤が後ろからついているのにも関わらずゴール方向にスルーパスが出されてしまっているし、伊藤槙人も裏抜けする相手に対して体をぶつければよかったのに、相手にするすると前にいかれてしまっています。
リーグ戦だとあまり見ない「軽さ」だと思います。

でもこれ絶対に理由ありますよね?そうです。
この時既にCB2人はイエローカードを貰っていました。また試合を通して審判の笛は「Jリーグと違う…」と感じる場面が多く、CB2人が前半イエロー貰ったのもなんてことないプレーからでした。

そのために實藤と伊藤槙人は強くいけなかったのかなと思います。やはり後半の初めにCBに交代枠一枚は使っとくべきだったと思いますね…後出しジャンケンみたいで嫌ですけど…笑

いずれにせよACLの審判の笛には慣れていかなくてはいけません。

④最後です。これは振り返りというより検証です。

ここがスルーパスを出された位置。

そしてこれがシュートを打たれた位置。

実際に測ってみるとスルーパスを出されてたからシュートを打たれるまで約3秒ありました。

そして画像で見比べてみると「スルーパスを出した位置とシュートを打った位置」の距離と「オビが最初にいたであろうゴールエリアの位置とシュートを打った位置」の距離を比べると大体同じくらいであることがわかると思います。

このことから、シューターがトップスピードになったことを加味しても、オビは飛び出して相手のシュートコースを狭めるための時間は十分あったんじゃないでしょうか。

これに関しては、ハイラインをやるならオビは慣れていかなくてはいけない点だと思います。
まぁ難しいと思いますけどね!温かい目で見守りましょう。

この辺でまとめておきましょう。
「ファール覚悟で止めることの重要さ」
「それぞれの立ち位置に明確な役割はあるか?」
「ACL独特のレフェリングに合わせなければ」
「ハイラインの裏を守るGK」

では皆さんの意見を聞かせてください。

・終わりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。やっと「失点理由知ってんの会」第2回を書ききることができました。
気付けば今年ももう終わりで、マリノスに残された獲得可能なタイトルもACLのみになってました。今年は本当に次から次へと試合が来る中で、シーズン通しての流れ1試合1試合を味わうことが出来なくて特殊なシーズンだったなと思います。ACLにおいてマリノスがどんな結末を迎えるか分かりませんが、最後まで見守り続けてこの特殊なシーズンを自分の中でまとめられたら良いなと思います。

ではまたの会でお会いしましょう。

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