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ウチの猫が喋れたら聞いてみたいこと

ウチの猫の「まるお」には、変なクセがある。それは、外出などで家の中に誰もいなくなると発動する。

「うわ、まただ」

外出先から家に帰って、リビングの扉を開けると床に僕のパジャマのズボンがクルクルにねじれて落ちている。明らかにまるおの仕業だ。

「まーるーおー」

声を低くして呼んでみるが、当の本猫はソファの上で丸まって寝ている。実はこのパジャマのズボンを持ってくるには、とても手間ががかるはずなのだ。

僕の部屋は2階で、さらにパジャマのズボンは服が入っている棚の上にある。棚の高さはおよそ120cm。棚の隣にあるソファに乗り、更にそこからジャンプしないと届かないはず。
なのに、ご丁寧にそこからうまく1階まで持って降りてきている。冬はそこに置いていた防寒用の上着も一緒に持ってきていたので、その努力たるや、ある意味賞賛ものだ。
なぜ、そんなことをするのか。人間にはさっぱり検討もつかない。

ある時、外出先から帰ってきてリビングの扉を開けた。すると、まるおがリビングの中央で僕のパジャマのズボンをめちゃくちゃ噛んでいた。

「あ!まるお!」

思わず声を上げると、ハッとしたように動きが止まった。噛むことに夢中になっていて僕が帰ってきたことに気付かなかったようだ。そして「しまった」と言わんばかりに小さな声で「にゃ〜ん」と鳴いた。
まるおは、基本的に生活している上ではほぼ鳴かない猫だ。よほど驚いたのか、焦ったのか、普段分からない感情が垣間見えた気がした。

動物と人間の言語が共通なら面白いのになと、時々思う。動物が何に悩んで、何に喜んでとかが分かると、もっとコミュニケーションが楽になるのに。

ちなみにウチの8歳の息子は、まるおのことが少し苦手だ。近寄ってきたら噛まれると思って、声を上げたり、避けたりすることがある。
その姿を見るたびに「アンタも大変だねぇ」と、まるおを撫でる。当のまるおは、涼しい顔をして佇んでいることがほとんどだ。
今年で3歳。人間で換算すると28歳くらいらしい。息子よりはだいぶ歳上だ。年長者らしく、あまり動じない心持ちなのだろうか。

「ところでアンタ、なんでズボン持ってくるの?」

まるおが喋ることができたら、一番最初にぜひコレを聞いてみたい。

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