新卒インハウスって、どうだった?

はじめまして、GenSです。
このnoteは裏 法務系 Advent Calendar 2022の6日目のエントリーです。
淺井健人さんからバトンを受け取りました。
(淺井さんのエントリーはこちら

表・裏とも勉強になるエントリーばかり量産されてしまう法務系 Advent Calenderですが、一つぐらいは「ためにならない」ものを書いても許していただけると信じて、私が新卒で入った企業での約4年のインハウス経験と、転職にあたっての振り返りをQ&A形式で書いてみたいと思います。

(追記:某W杯をリアルタイム観戦しながら書いた初稿が「ためにならない」を超えて「読むに堪えない」ものだったので、終業後に全部書き直した結果大幅に遅れてしまいました。大変申し訳ありません…!)

入った企業について

・大企業の子会社
・自社としても事業分野の異なる子会社を数社抱えており(入社時はデジタル広告やVR、Webメディア事業やAI開発など)、自社とあわせると600人ぐらいの規模
・キャッチフレーズは「〇〇スタートアップ」(ホントです)

Q1.なぜその会社に入ったの?

A1.法務の人たちに憧れたから

担当できる事業分野が複数あって、契約法務も商事法務(機関法務)も両方経験できて、(自称)スタートアップの割に法務の体制も充実していることなど(法務経験豊富な役員含めて5名)、良いところは色々とあったのですが、一番の決め手は事業部と真摯に向き合う法務、特に上長が魅力的だったことでした。純粋な気持ちで上長を目標にできたことは、仕事のやり方を模索するうえでも、モチベーションを保つという意味でも実に幸運でした。

…ただ、入社後に法務として順調に成長できたかというと全くそんなことはなく、最初は報連相もおぼつかず、事業部どころか法務内でも適切なコミュニケーションができず、入社して1~2年は本当にダメダメでした。
仕事がうまくできないときは、上長がどんなに忙しそうでも相談するのが部下の最低限の務めだと、昔の自分に言ってやりたいです。

Q2.「スタートアップ」って「キラキラ」してた?

A2.たぶんそう 部分的にそう(某人工知能風

そもそも「キラキラ」自体定義しづらいのですが、例えば
・オシャレなオフィスで、東京の夜景を眼下に望みながら同僚と談笑する
といった外形的な「キラキラ」は入社2年目で体験できました。

他方で、
・ゼロベースで新規事業の立ち上げをサポート
といったスタートアップ法務っぽい「キラキラ」案件は必ずしも多くありませんでした。このあたりは「新規事業」の捉え方にもよりますが、その企業のフェーズや成長戦略の影響も大きいと思います。
そもそも新規事業はとんでもない大仕事なので、新規事業のアイディアを聞くたびに「さてはおぬし、天才か…!?」と感動していました。

ちなみに給与面は全くキラキラしていなかったのですが、
「自分は3年後の自分のキャリアの価値を買っているんだ!」
自分に言い聞かせて納得していました。
(そのキラキラ感皆無の金額分の働きすら、最初はできていなかったというのが何とも格好がつかないところです…)

Q3.大企業に行けば良かったと思うことはある?

A3.思ったことは…あります!

性格検査で「一度もない」というと不合格になる類の設問ですね(笑)

ただ、「大企業なら〇〇」「スタートアップ(ベンチャー)なら××」と決めつけるのは危険だと思っています。
例えば「大企業の法務部なら着実にスキルアップできるだろう」という見立ては、全体的な傾向としては肯定できるとしても、結局は個々の企業によって千差万別です。事実関係の整理から契約書のドラフトまで事業部側に任せっきり、本社に沢山いるはずのインハウスはコメントしかしない…ということもあります。(こちらからは見えない事情もあるのでしょうが、成長機会が限られてしまう点は歯がゆいのではないかと思います)
そして新卒の場合、必然的に最初に入った企業の法務の諸々の所作、価値基準に染まる(最適化される)はずなので、染まって良いものか不安な場合は事前の情報収集で見極められると良いですね。(※できるとは言っていない)

Q4.法律事務所に(以下Q3.と同じ

A4.(以下A3.と同じ

これも基本的には「隣の芝生は青いよね」という話ですね。
(労働者なので、土日祝はちゃんとお休みもらってました)

ただ、転職活動中の最終面接で、大手法律事務所出身の法務部門長の方から「法律事務所で経験を積んでいない点が採用上の不安材料である」と明言されたことがあります。これに対して「事務所と同等のリサーチやドキュメンテーションができる」と返すのも色々な意味で無理があるので(そもそも役割が違う)、この場合は割り切って別の部分でアピールをする必要があります。

ちなみにこの面接がどうなったかというと、実はその場では上手な返しができず、「これは落ちたかも」と思ったのですが、後日その会社の法務ではないポジションを提案され、再選考で内定をいただき今月から転職しました。(再現性が低すぎる…)

Q5.新卒インハウスって、どうだった?

A5.楽しかった!

もちろん楽しかったことより大変だったことの方が圧倒的に多かったのですが、少しずつ会社のビジネスがわかってきて、事業部との信頼関係も積み重なって、信頼関係ゆえに相談してもらえて、適切な整理と手当てをして解決できる経験は、その大変さに見合うだけの価値がありました。

上記のとおり、転職して職種も法務ではなくなったのですが、引き続き事業部の良いパートナーになれるよう精進していきたいと思います。

明日はywitch(@ywitch)さんです!

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