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書について

お習字を習いはじめた幼稚園児の頃。
赤いお習字セットを持って、先生の家の二階にある教室に入る時、まず、引き戸を開けて、正座をして、手をついて挨拶をすることを教わりました。
厳しいけれどわりと楽しく友達と毎週教室に通い、季節ごとの言葉、お菓子を紙で包む方法、お正月のしつらえや帛紗の折り方など、文字だけでなく、行儀作法を学んでいたように思います。
ひらがな・カタカナから、漢字楷書、行書、草書、古典臨書。大学生になる頃仮名文字をはじめ、師範免状を取得。
蘭泉という雅号を頂きました。

大学卒業後、フランスへ留学したため、書の道からはなれていましたが、2018年に古代文字アートと出会い、白川静氏の字説から甲骨文字・金文を学び、アート表現する活動をしています。

漢字の起源と言われる甲骨文字が、中国夏王朝・殷王朝の遺跡から発見されたのは約3300年前。
神と人とを繋ぐ言葉として、亀の甲羅や牛の骨、青銅器に刻まれた表意文字。甲骨文字から金文、篆書、草書、行書、楷書と変化していきます。
仏教の伝来と共に奈良時代頃日本に伝わり、日本語の音を合わせた万葉仮名となり、平安時代にはひらがなが使われるようになりました。
江戸時代まで、変体仮名やくずし字が使われていましたが、明治時代にひらがな一音に一文字ずつ50音に定められました。
漢字は中国では簡体字となり、古来の形をとどめているのは台湾や日本だけとなっています。

甲骨文字で漢字を、英語圏やヨーロッパ語圏の人に説明すると、意味を深く理解してもらえることがあります。
古の人が文字に込めた意味や想いは、人種や国籍を超えて通じ合うことがあります。
また、ひらがなが生まれた平安時代の古今和歌集は、紀貫之による「やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける」の言葉で始まります。そして、和歌こそが天地を動かし、人の心を和らげ慰めるものとしています。
表意文字としての漢字の起源である甲骨文字や、日本語の音を美しく表現しているひらがなと和歌の世界、その奥深さや楽しさを分かち合いたいと思っています。

筆と墨で文字を書く書道レッスンから、文字の成り立ち、ことばのしくみや日本語の起源など、興味ある方と交流できる場になれば嬉しいです。

蘭泉書オンラインサロンページ


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