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パリ 25ans 13 juillet

13 juillet, 7 pm, au Boulevard de Sebastopol,

2区レアールの近くの交差点で、マキさんと待ち合わせた。彼女が1ヶ月だけ借りている部屋にかかってきた電話の男はとても早口だったとのこと。約束の時間は、6時半と聞こえたそうだが、すでに30分近くたっている。

「シザーエドゥミ、っていわれて、シザートラント?って確認したの、あってるよね?6時半だから、6時30分だし、だから間違ってないと思う」

場所は地下鉄のレアール駅を出て、 Boulevard de Sebastopolという大きな通り沿いのカフェ「Au petit Boulevard」の前。目の前の赤いファサードにちゃんとそのお店の名前が入っている。消防署のパーティーにむかうドレスアップした人や、仮装した人たちが通り過ぎ、革命記念日の前日だけあって、街の中心部であるこの界隈はとても賑わっていた。

セバストポル大通りのひっきりなしに通り過ぎる車を眺めながら、あと10分待ってこなかったら私たちだけで近くの消防署のパーティーを見に行こう、そう話していたとき、カフェの前に1台のタクシーがとまった。

中からでてきた背の高い男性は、ドライバーと何か話しこんでいたが、後ろからクラクションを鳴らされ、タクシーは走り去った。眼鏡をかけて細身で伸びた髪を後ろで結んだフランス人が、こちらに向かって手を振った。「マキサン?」「Monsieur Yuan?」「Oui! Je suis desole de mon retard..」と遅れたお詫びがはじまり、どうもタクシーの運転手が道を間違えたからみたいなのだけど、マキさんはよくわからず、私に助けを求めた。

「ユアン、こちらリコ。彼女はフランス語はなせるの。」「はじめまして。タクシーの運転手のせいで遅れたんですね。」「そう、ほんとにごめん。リコはフランス語うまいね!」にこっとした彼の瞳はとても優しかったが、眼鏡のレンズが割れているのをセロテープで止めていることに気づいて、一瞬この人大丈夫?と思った。

「フェットの家は17区なんだ。もうかなり遅れてるから、バスで向かおう!」彼はものすごく遅刻してきたくせに私たちを急がせて、やってきたバスの方に走り出した。お祭り前夜の浮き足立った街の雰囲気にのまれて、どこの誰ともわからない、眼鏡をセロテープで止めているフランス人についていくことになった。



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