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パリ 25ans 15 juillet

15 juillet, 0am  rives de la Seine

「どれがいい?」そういって袋から色とりどりのロケット花火や、ねずみ花火、線香花火を取り出した。色も形も日本の家でよくやる花火と変わらない。Yuanはどこからか空き瓶を見つけて、セーヌ河の水を入れて足元に置き、キャンドルに火をつけその横に立てた。そして、こちらに背を向け、一本の花火に火をつけた。シューっいう音がして、七色の火花がパアっと暗い川面に飛んだ。

「これがいい」手持ちの花火をキャンドルに近づけると、ピンクの火がつきパチパチと小さな花が咲いた。「ちょっと地味だね・・」燃え尽きた花火を瓶の中に入れると、足元にねずみ花火が飛んできた。「きゃあ!」飛び上がった私を見てYuanはものすごく嬉しそうに笑った。私もロケット花火を火に近づけようとしたら、「リコ!あぶない!それ逆」と取り上げられてしまった。近くの木にぐるぐる回る花火を取り付けたり、ロケット花火を川に飛ばしたり、ちょっと不発な打ち上げ花火にどきどきしたり、エッフェル塔の花火が見れなくてくやしかったなんてすっかり忘れてしまった。

「あーおもしろかった!」「まだ花火あるよ」「うん、もう十分楽しんだ。一緒に花火してくれて、ありがとう」「どういたしまして」

二人で片づけをしおわったころには、もうメトロも動いていない時間になっていた。火薬くさくなった手をつないで、Pont des Artsの 水面にゆれる街灯を眺めながら、シテ島に向かって歩いた。



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