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パリ 25ans 13 juillet

13 juillet, 9 pm,  17e arrondissment?

バスを東駅で1回乗り換えて、30分以上揺られ、住宅地でおりてしばらく歩き、すでにどこにいるのかさっぱりわからなくなっていた。

通りには、綿菓子を持った子供たちケバブサンドイッチをほうばる家族連れがたくさんいた。そのとき、パーンと音がして、小さな花火が上がった。明日の革命記念日は、エッフェル塔のそばで盛大な花火の祭典が行われるが、前夜祭の今日は地域で家庭用にちょっと毛が生えたみたいな打ち上げ花火があがり、爆竹Petardが鳴らされて夜遅くまでにぎやかだ。

「Yuan!」と声がして、アジア系の大柄な女性が歩いてきてぎゅっとビズをした。「道に迷っているんじゃないかと思ったから、迎えに来たのよ」ずいぶん住宅街を歩いたと思ったら、迷っていたのか!とあきれながら、「はじめまして」と挨拶をした。マキさんの部屋の住人の友人で、韓国から声楽の勉強に来ているそう。「みんな辛いの大丈夫?今日は韓国料理をたくさんつくってあるのよ!」

パリ市内のステュディオにしては広くてきれいな部屋に、韓国人やフランス人が5人くらいいて、すでにワインが1本あいていた。私たちがつくと、さっそくテーブルにチジミやトッポギがならび、一通り自己紹介をしてから食べ始めた。パリ祭前日、韓国料理のフェットに加わることになるとは。

フェットfeteというのは、持ち寄りパーティーみたいなもので、外でピクニックのように集まるものもあれば、家に友達が友達を呼んで、知らない人が混じっていても気軽に受け入れてくれる。日本で友人を家に呼ぶといったら、知っている人しか来ないことが常識だったのに、こちらでは知らない人、たいがいは友人の恋人とか紹介したい人、がどんどん増えるので、はじめは驚いた。パーティーは知っている人ばかりの集まりのほうが盛り上がる、というわけでもなく、新しい人がいることを楽しむと輪が広がっていくのだ。

そうはいっても、知らない人ばかりだと共通の話題がなくて、結局あまり話が続かないこともある。今回は映画好きの集まりだったようで、私は年に1本か2本くらいしか見ないし、マキさんはそもそも会話についていけなくてほとんど黙ってニコニコしていた。

気づけば12時近くなっていて、彼らは朝まで消防署で踊ると決めていたらしく、私たちはあわてて帰ることにした。

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