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Conte d’hiver

エリックロメールのConte d’hiverを見た。
今までモヤモヤしていたことが、目の前からさあっと晴れる瞬間、すべてがはっきりと見える瞬間、それは癒しでもあるという。
12月半ばから始まる物語。男が4人、女が1人。ひと夏の恋、離れ離れになった恋人。5年後シングルマザーとしての生活。慰めと期待の間にある2人の男性。なにが正しいかなんて誰に聞いてもわからない決断に迫られる。決められやしないのに、一つの選択しようともがくけど、迷い悩んでいるものは選んではいけないのだ。きっとそこには答えはない。自分を信じろと人は言うけど、信じて何かを待つことは時に辛い。確実なんてものはないのだから、不安や辛さを紛らわせてやりすごすか、自分が納得できる理由を頭で見つけるか。進むべき道というのはもっと単純で、もっとはっきり手に取れて、もっと目に見えて、耳で聞こえるものなのだと思いたくなる。でも、人生において、それはいつも曖昧で見落とされ、後悔したり、後悔することさえできないまま、流される方へ進むことがある。しかし、それすらもあらかじめ決まった成り行きなのかもしれない。

5年ぶりの再会。時がたったからこそ受け入れられる現実。
人はあれこれ考え、懸命に迷い、常に何かを選んで生きている気がするけど、ふとこういう瞬間を感じると、すべてはなるようにしかならない、あるべき流れなどないようにも感じる。
ただ、その覚悟があるかどうかだけ。

常に自分の心の奥底に耳を傾けることさえ忘れなければ、運命はなるように進んでいくのだから。

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