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【AI頻出質問第2位】成功するAIプロジェクトの秘訣は? たったひとつの成功要因

こんにちは。AI MIRAIの児玉です。

気がついたら、前回の投稿からちょうど半年が経ってしまいました……。(下書きしたのが5月なので日付は5月ですが、投稿したのは11月です)

AI業界は、半年単位でいろいろなトレンドが移り変わっており、この半年の間にも本当にいろいろありましたね。スタートアップの曲がり角、大企業における内製化トレンドなど、語り始めたらきりがありません。

その辺はおいといて、前回の「内製と外注、どっちがいいの?」に対するシンプルな回答に続き、よく聞かれる質問シリーズ第2回です。

今回も、とてもよくいただく質問のひとつ

「成功するAIプロジェクトの秘訣は?」

に対する、私なりの結論をお話しします。


この記事はどんな人向け?

大企業の中で、AI活用を推進していきたい(推進すべき立場にある)皆様。

特に、十分にAIに関する人材や知見が社内になく、プロジェクトの体制の作り方で悩んでいる方。


成功の秘訣は、あります。

私たちAI MIRAIは、4年以上にわたり、合計60以上のAIプロジェクトを推進してきました。また私自身もコンサルタントとして、いくつかの顧客のAIプロジェクトに関与してきました。

うまくいったものもありますが、もちろん中にはとても成功と言えないプロジェクトや、下手したらお墓までもっていく系の案件も多々あります。

「成功するプロジェクトの秘訣って何ですか?」

「これは失敗するな、というプロジェクトの見分け方はありますか?」

「プロジェクト成功のために必要な条件って何ですか?」

これらは、もっともよく聞かれる質問第2位です(自社調べ)。

だいぶ価格についても一般化したとはいえ、AIプロジェクトは安くない初期投資で始めるので、できるだけ成功率を高めたいのは当然です。

では、AIプロジェクト成功の秘訣とか、成功に必要な条件って、あるのでしょうか。そんな「ここだけ押さえておけばOK!」みたいな、都合のいい勘所って、あるのでしょうか。

あります。

少なくとも今までの経験から、私は、あると思っています。


これは絶対必要、というたった一つの要因

それは、こちらです。

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はい。

「プロジェクトリーダー」が、たった一つの要因です。


「課題設定」とか「期待値の調整」とか「UX」じゃないの?

AI界隈でよく言われるコツに、このようなものがあります。

「AIで何を解決したいか、の課題をきちんと見つけることが大事です。川のないところに橋をかけることになってはいけません。現場とのコミュニケーションを通して、きちんと課題を見定めることが大事です」
「AIで何ができるか、の期待値調整が大事です。AIでできることを過大評価してはいけません。AIと人間の得意領域を見極め、協業モデルを設計することが大事です」
「AIにはUXデザインが大事です。作ったけど使われないAIシステムには意味がありません。ユーザーの動き、潜在的な課題を見極めてUXとUIを設計することが大事です」

どれも否定しません。どれも正しいことばかりです。

しかし、これらが絶対必要か、と言うと、少なくとも私の知りうる限りではそうでもない。

(どちらかというとコンサル会社がこの「大事」な部分を発注してほしくて甘言を弄し……っと、これ以上はやめておきます)

私たちはいままで60以上、私の把握していない範囲での取り組みも含めればさらにたくさんのプロジェクトを見てきました。

中には、課題の設計が甘いまま走り出して、しかし期待される以上に成果が出ているものもあります。

一方で、技術の理解が十分で、現場のニーズもしっかり把握しているにも関わらず、まったく使われずにクローズになってしまったこともあります。

この違いは何か?

それらを俯瞰して出した結論、それがプロジェクトリーダーです。

極論すると、プロジェクトリーダーが「ふさわしい人物」であれば、残りの要素はどうにかなるケースが多いです。

リーダーがしっかりしていれば、課題の設定はプロジェクト中にどんどん具体化され、あるいは柔軟にピボットできる。期待値調整もあとからできる。UXを考慮したものに、あとから寄せていく。そのセンスこそが、リーダーにふさわしいかどうか、ということができます。

では、どのような人物がプロジェクトリーダーに「ふさわしい」のでしょうか。


プロジェクトリーダーに求められるものとは?

DX人材教育が花盛りです。

AI教育は非常に一般化してきました。価格破壊が起き、ほぼ無料で優れた教材にアクセスすることが可能です。そして企業内でも研修をして、AIをはじめとするテクノロジーリテラシーの高い人材を育成していく動きが広がっています。

一方で、どれだけ教育をしても、芯を食った改革ができない、という悩みも昨今増えてきました。

それはつまり、育成する人材が「リーダーにふさわしい人材」を育成していないから、と言えます。

ならば「リーダーにふさわしい人材」に求められる要素は何か。

端的に、2つ紹介します。

①AIプロジェクトの経験

逆説的ですが、これが最大の要素だと私は考えています。

一度でもAI活用を進めたことのあるメンバーは、二度目はうまくいく可能性が高い。スタートアップと同じです。

実際AI MIRAIでも、一度プロジェクトを終えたメンバーが「おかわり」してくるケースが多いです。そしてその「おかわり」は、成功率が非常に高い。えこひいき、という視線を覚悟で、優先的に承認していきます。

②コミュニケーション力

「出た……」と思う方も多いでしょう。あえて補足しませんが、しかし成功してきたプロジェクトのリーダーを思い浮かべると、話がうまく巻き込み上手な人ばかりです。

各所で言われているとおり、AIプロジェクトは一部署で完結するものではありません。社内外のさまざまな人と話し、巻き込んでいく。そのプロセスで、コミュニケーション力は絶対に必要となってきます。

③やる気

最後はやる気です。

リーダーに熱意がないプロジェクトは絶対に失敗します。

時折、プロジェクトリーダーに、妙に高い役職の人が入っているケースがあります。その場合は強く警戒します。本当にあなたがやるのですか?

プロジェクトリーダーは、とても大変です。技術のキャッチアップをしながら、社内を巻き込み、説得していく。理想とする精度が出なかったとき、開発を続ける? 実装を目指す? 勇気ある撤退をする? 意思決定も出てきます。

時には、データの成型を自分のPCでやらなくてはならない。契約、発注、支払いなどの事務処理も、AIに不慣れな組織であれば誰かに振ることもできず、最後は自分で見ることになるでしょう。

しかしこれらをすべてクリアせねば、AIの活用はできません。

本当にその人がやりたいと思っているのか、そのためには泥臭さもいとわずやれるのか。熱意は非常に重要です。

(ちなみにプロジェクトリーダーに妙に高い役職の人が入っているものの、成功するケースはありました。彼は職階にかかわらずさまざまな打ち合わせに顔を出し、現場メンバーの一員としてきめ細かく対応してくれました。言わずもがな役職の問題ではなく、熱意の問題です)

経験値。

コミュニケーション力。

やる気。

これら以外の要素は、後付けでもどうにかなります。

最も不要なのは、逆説的ですが、(プロジェクト開始時点での)テクノロジーの知識です。ふさわしい人物であれば、リーダーとしての責任感に突き動かされ、きちんと学習していくらでもキャッチアップするはずです。

一方、自分から志願してAIを勉強したならまだしも、会社や上司から言われるがままAIを勉強し、一通りの知識を身に着けただけの人は、リーダーはおろか、メンバーであっても不要とすら言えるでしょう。


まとめ:AI人材育成は、AIリーダー育成に他ならない

まとめると、AIプロジェクトの成功率を高めようとしたら、

熱意とコミュ力のあるメンバーにAIの経験を積ませる

というのが最短ルートだと私たちは考えています。

最大のファクターがリーダーの経験値である以上、十分に経験を積んだリーダークラスの人材をどれだけ育成するか、がAI人材育成のKPIとなるはずです。

そのためには、まさに「勉強代」と割り切って、たくさんのチャレンジをすることも求められるわけです。

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次回のAI問答では、よくある質問第1位「AIって儲かるの?」について、お話しをしていきたいと思います。

お楽しみに!


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