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41|一番に手を伸ばす

『筆者の気持ちを答えなさい。』

現代文が好きだった。簡単だった。

読んだら分かるから。
この人がその状況でどんなことを感じ、考えているのか、私にはすぐに感じ取れたから。

だから国語は勉強しなくてもできた。


私は昔からよくできる子だったと思う。


毎日授業を受けて、勉強しなくてもテストは平均以上にできたし、行事で絵を描いて行事に貢献したり、前に立つことも好きでずっと学級委員をやっていた。部活も真面目にやってきた。泣きながらたくさん練習した。


でもいつも一番にはなれなかった。


勉強はある程度できるけど、最上位ではなかった。
美術の作品は廊下に飾られたりしたけど、絵が上手い人は他にもたくさんいて、美術コンクールに選抜されることはなかった。
学級委員はやってたけどヒラだった。
部活は立場的には部長になったけれど、演奏面ではいつまでも戦力になれてない。

みんなはすごいんだ。
眩しいんだ、すごく。みんなが。

そこで負けじと手を伸ばしていたら。
伸ばす勇気が私にあれば、
未来は変わっていたのかもしれないけれど、

私には手が届かないと悟って、でもそこから背伸びはしなかった。諦めた。と言うより、一番にならなくても別にいいかなと思った。

夢を掴むためにひたすらに手を伸ばし続けられる人は綺麗だと思う。まっすぐに。

でもそれは、私には届かない。一番は私じゃない。

なのに「どうにかできてしまう」自分の能力。
中途半端だなと思う。嫌だった。

昔書いた。これ

現代文のテスト、信じられないかもしれないけれど、みなさんの想像以上になんっにも対策していかず、それなのに余裕こいててまあどうにかなるでしょと思ってた。

そしたら何故か本当に220人中4位という好成績を出してしまった。

焦った。

嬉しかったのに、情けなくて泣きそうだった。

そして聞きに行った。

「先生、これは私がとっていい点数ではありません。」
何もしてこなかった私なんかよりもずっとたくさん勉強してきたみんながいるんです。

私はやってこなかった。
手を伸ばす努力もしなかった。

「だからこの点数は私がとってはいけません」
と。


今思うとだいぶ支離滅裂なことを言ってますが、
この時は本気で思ってました。素直に喜べばいいだけの話。
だからどうして欲しいのかと問われてもわかんなかったし、もちろんテストの点を下げるなんてことは出来ないわけだからそのままなんだけど、

でもちゃんと伝えないとって思ったんです。
私は一番になってはいけないのだと。

先生はさぞ困惑したでしょう。
でも暖かい言葉をくれました。

あなたはがんばってたよ。がんばりを先生は見てたよって。
詳しい話は、先程の過去の日記からご覧下さい。


たとえ一番になれなくても、

一番になろうとする私になりたかった。

夢へ手を伸ばせる私でいたかった。

できなくてもいいからがんばろうと行動できる人になれると思ってた。

でも少なくとも、感じたことを伝えられる人にはなりたいと思っている。
私から見える世界を。
綺麗なところも、くすんだ色も、
私が伝えるということ。

それだけは上を目指すのではなく、地に足つけて踏ん張りたい。


私の世界をみんなに伝える。

私ができる一番の表現で、それを伝える。

私にとって、一番の私になりたい。

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